連載小説
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【初任務】








翌日の朝。昨日は5人でお互いの親睦を深めるため、様々なことを話した。
そして今日、会議室にてそれぞれの部隊の代表2名ずつが集められている。そして、モニターの前にはバルムンクが。

バルムンク「今日集まってもらったのは、他でもない。この中には、新たに部隊を結成した者や、他の隊に移った者もいるだろう。そういった者達も含め、早速任務に出てもらおうと思っている。」
そう言うと、モニターに映像が映し出される。
そして、バルムンクからどの市にどの部隊を向かわせるか、そこでの任務を伝えられ、各々の部隊で準備を開始する。
イルゼの特殊部隊は、B市へ向かい第3討伐部隊の補佐を任される。


ヴィネ「初任務かぁ…なんだか、緊張するなぁ……」
B市へ向かう最中のイルゼ達。ヴィネが少々緊張してる様子でそう言う。
シズマ「そうだね……」
エンジュ「……」
シズマはヴィネに同意し、シズマの後ろをついてきてるエンジュも頷いて、同意している。
ロクドウ「データなら、SとSSレートの悪魔のみ。俺達なら大丈夫だ……だが、油断はするなよ。」
3兄妹の長男というだけはある…やはり、しっかりしている。それに、実力はこの中では一番……頼れる存在。先頭を歩いているイルゼは、ロクドウを見つつそう思っている。
そのイルゼの隣にヴィネが歩いてくる。
ヴィネ「イルゼも、緊張してる?」
イルゼ「いえ……こういうのは慣れてるので。それより、ヴィネさん…私との約束、覚えてますよね?」
約束とは……それは、出撃前に遡る。



















ヴィネ「対魔武器よし……準備って、こんな感じでいいのかな…」
一応出撃の準備は終えた様子のヴィネ。そのヴィネのところに、イルゼがやって来て
イルゼ「準備はできましたか?」
と、ヴィネに尋ねる。
ヴィネ「うん、できたよ。初任務、緊張するなぁ…」
イルゼ「…そのことですが……」
イルゼが、ヴィネに近づき

イルゼ「ヴィネさん…なるべく戦闘では、悪魔の力は使わないでください。使っても、漆眼と闇だけです。」
ヴィネ「え、どうして…?」

イルゼ「…記憶を失った以外、何らかの症状があるかもしれない…核は使わず、様子を見ようと、伝えられました。」
ヴィネ「そっか…うん、わかった。」

















ヴィネ「うん、覚えてるよ。」
出撃前の準備が終わった時に、相手との約束を思い出して、覚えてると答えるヴィネ。
イルゼ「それならいいですが……と、そろそろ到着しますよ。」
B市が見えてくる。
そのB市に入る。特に異常はなく、至って普通……でも、この市のどこかに悪魔はいる……。

第3討伐部隊は、複数に分かれて行動するようだ。
ロクドウ「隊長、俺たちはどうする?」
ロクドウが、隣にいるイルゼに指示を聞く。
イルゼ「私達は、二手に分かれましょう。私とヴィネさんで1組、ロクドウさん、シズマさん、エンジュさんの3人で1組で行きます。そちらは、ロクドウさんをリーダーとして、任務を遂行してください。」

ロクドウ「あぁ、承知した。」
指示通り、二手に分かれて捜索を行う。






ヴィネ「……」
イルゼと共に見回りしている際、ふと空を見上げる。そこには、鋼色の空が広がっていた。何故だかはわからないが…ずっと見てしまう。
イルゼ「前を見て歩かないと、危ないですよ。」
横を並んで歩くイルゼが、ヴィネにそう言う。ヴィネは空からイルゼに視線を移し
ヴィネ「ごめんごめん、なんかさ…」
もう一度、鋼色の空を見上げる。
ヴィネ「あの空、前にも見たことがあるような…そんな気がしてね。」
イルゼ「………」
イルゼも、同じように空を見上げる。無限に続く、鋼色の空を……


そういえば…イヴさんと初めて会ったあの時も…あんな空、だったっけ……。

立ち止まり、じっと空を見上げる。初めて出会った……自分のためにと、己の命を犠牲にするような嘘をついた、優しい悪魔……最近のことなのに、懐かしく感じる、その光景が空に重なって見える……。

ヴィネ「イルゼ…?」
イルゼ「…!」
ヴィネの声で、空を見上げるのを止める。
ヴィネ「大丈夫?私もだけど、ずっと空を見上げてたから…」
イルゼ「…いえ、大丈夫です。」
ヴィネ「そう?よかった。…それより」
ヴィネの目つきが少し鋭くなり、ある方向を見ている。

ヴィネ「…この先に、いる…」


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17/11/03 19:33更新 / 青猫
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