第6話『洋子』



「あー嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だーーー
 何故私がお見合いなんぞせにゃならんのだっ!!
 あの糞オヤジめー今度会ったら2・3発ヤキ入れてやる!!」
怒りに打ち震えるはの葉月の担任教師である皇洋子(29歳独身)である
洋子先生は彼氏いない歴29年のつわものであり、その男勝りの性格から
学生時代はファイナルウエポンの名が付けられていた程である。
「まーまー落ち着いて〜父上さんも洋子先生の事思って
 今回もお見合い話持って来たんじゃないの」
「それはそーなんだが、私が言いたいのはそれがお節介と言うヤツなんだよ聖先生!!」
洋子先生の愚痴を聞かされているのは、同僚である聖蓮先生(実はセイレン)である。
「ザマスザマスそーザマス〜
 男なんて物は掃いて捨てるほど居るザマスよ〜
 その様な物達なんぞ我々美しき女教師の毒牙にかかり死んでしまえエエザマスのよ
 おーーほほほほほ」
「(リリスあんたねー…一応黙っておくけど…)」
この小うるさい女教師はリリスの分身である女教師リリスである
彼女はセイレンと一緒に赴任して来たって事にしていて、
実情はリリスがセイレンのお目付け役として使わせた使い魔の役割であった…
が、見ての通りめちゃくちゃな女教師リリスを逆にセイレンが面倒見てる感じとなっている
「いや…リリス先生の言う事も、聖先生の言う事ももっともだ
 しかし…私も今年で30だ…世間様から見たらうぅ〜」
洋子先生はアルコールが回り出すと泣き上戸になる性質があるらしく…
「あ…洋子先生…(くぅーこの女また泣き始めたわね〜こうなると始末に終えないのよー
 なんであたしばっかこんな目にあわなきゃいけないのよーキーーー)」
毎回飲み屋に付き合わされるセイレンは毎回の如く
洋子先生の酒の後始末をさせられてる様で…
「さー夜は長いザマスよーーおほほほほーーーー」
「あーもう最悪…」
同じく女教師リリスにスイッチが入ると…
「もーーあたしの人生返してよーーーーー」
「ひっくっ、聖先生はいいですよねぇ〜美人で若くて〜あたしなんかとは大違い
 あーあたしも聖先生のような…ひっく綺麗にひっくっ
 生まれて〜〜ふにゃららら〜」
「…酔いつぶれてるんじゃないわよー誰が毎回連れて帰ってると思ってるのよーーー
 あーーーーリリスのバカーーーー」
セイレンの悲痛な叫び声が今日もネオン街にこだまするのであった


「へ…ヘ…へ…へっくしょん」
ボカっ
何故かくしゃみをする伊織ちゃん(リリス)の頭の上に酒樽が落ちてきて…
「…何故…!?」
頭にたんこぶを作っる伊織ちゃんだった
「姐さんまた変な噂されてるんちゃいます(ニヒヒヒヒ)」
「…」無言でケンちゃんを握り潰すリリスちゃんこと、伊織ちゃん
「姐さんぐるじい〜何でワイに八つ当たり〜あーーぐるじーーじぬー」
プチ…

チーン




さてさて、そんこんなで洋子先生のお見合いの日がやって来た
「今回で洋子先生の11回目のお見合いね〜楽しみだわっ」
初美は嬉しそうに物陰に隠れながら伊織達と何やら企んでる様子
「あのー相手の方来ませんね〜」
ビデオカメラを撮影するのに借り出されたのは葉月の親友のミコト
だが彼女の心情は…今日は葉月の撮影する予定だったのに〜〜
だ、そうだ。
「ふふふ女教師リリスの情報によれば、相手の男とは10時に待ち合わせの筈よっ」
こう言う時の伊織と初美のコンビネーションは無敵であった
「お姉ちゃんワクワクだね〜今回は私は成功する方に3万!」
「ほほー賭けに出たわねおでこちゃん!
 ならあたしは失敗する方に10万!!」
「ふふふお姉ちゃん〜後悔しても知らないわよ〜」
「おう、望む所よ!!(ケンちゃん、上手くやりなさいよ!)」
伊織ちゃんは毎回初美に賭けで負けてるので、今回はケンちゃんに自分が勝つ様に
指令を与えてるのであった…
「(ふふふ〜甘いわね〜お姉ちゃん、私が何もしないと思って)」
初美の顔が一瞬小悪魔の表情になるのだが…ミコトはそれを見のがさなかった
「(初美さん…また何か企んでるのね…何もなければ良いのだけど)」

「あー困った〜困ったで〜」
「どーしたどーした」ドンドンドンとコゲちび
「あーもー集中してる時に毛引っ張らんと居いてーなっ

 あーマジどないしよーー
 リリス姐さんからは、見合いが失敗するようにしろー言われてますし
 イヴはんには、成功させろよコラっと脅されてますし…あーどないしよ」
実はケンちゃんあの姉妹両方に裏工作を命じられてるらしく…
「あそぶあそぶ」
ついでに、コゲちびの面倒まで見させれてる不憫この上ない状況…


「おっ来た来たーーミコトばっちり撮影するのよーー」
「はいはい、伊織さん任せてください!(こうなりゃヤケだ)」
「へー相手の男の人かなり色男みたいね〜」ニヤニヤ
こう言う時の初美の男を見る目は限りなくおばさんに近い…

「申し訳御座いません、子供を母のところにあずかって貰う所、少し微熱があった様で」
「お子さんいらしゃるんですか?」
「あーハイ…本当の子供じゃないんですけど…」
「それは大変な…あっ申し遅れました、皇洋子です」
「あーこちらこそ、挨拶が遅れて申し訳御座いません神埼和彦です
 このたびは…そのこの様なお話を頂き…」
洋子の見合いの相手は気さくで人当たりの優しそうな男性で、洋子も一安心の様である
「でわでわ〜立ち話もなんですから〜お二人はあちらの席で〜」
忙しなく仕切るは我らのセイレン先生。洋子がむりやりつき合わせてる様だ
ちなみに、女教師リリスは休日はお休み…って出番あれだけかいっ

「それでは、毎日お子さんを保育所に送ってから出勤なんですか〜」
「はい〜全くお恥ずかしい事で…自分は母も体が弱く面倒見てくれる方もおりませんので」
「(はは〜ん成る程〜こんないい男が洋子と見合いなんて変だと思ったケド
 成る程〜訳有りって訳ね〜ふふふ、これは面白くなって来たわね〜)」
嬉しそうに二人に見つめるセイレン…こう言う時は表情はリリスそっくりである(笑)

「で、何話してるか聞こえないじゃないのよっ!」
「それはまーガラス越しな訳ですし〜流石に声は聞こえないんじゃ?」
「ふふふあーな〜るなるふ〜ん」
「おでこちゃん!聞こえるの!!」
「ううん、全然」ニコリ
「…じゃその動きは何なのよーーーー!!」
「あー伊織さん騒ぐとばれますよーー」
「(でも、唇読めば何話してるかくらい分かるんだよね〜)」
初美は二人の会話を楽しそうに見守るのだった

「今日は本当に楽しかったです…
 今度よろしければお子さんと一緒に会いたいですね」
「え…あっはいっよろこんで!」
洋子先生は相手の男性が気に入ったらしく常時ご機嫌だった様子
これはひょっとすると、ひょっとするかも
「あの…」
「はい」頬を染める洋子先生
「今日は凄く楽しかったです…
 貴方の様な女性にもっと早く出会えていれば…私の人生も…
 あっいえ、何でも有りません」
相手の男性は少し含みのある言葉を残し去って行った…
「和彦さんっ今度こちらから連絡しますね〜」
洋子が彼の背中に叫び彼も手をふって帰って行った

「あら〜洋子先生〜何かいい感じじゃありません事〜」
セイレンは洋子を嘗め回すように言った
「…ごほんっその何だ、そうそうだよっ
 お子さんが大変だからだな…その何か私に出来る事があればと思ってだな」
「それって結婚したいって解釈して良いのかしら洋子先生」
「うぅ…別にそう言う意味じゃなくてだな私はーー」
そんなこんなで、空は夕焼けに染まっていた
夕焼け空がそう見せているのか、洋子先生の頬は赤く染まって見えた


「あーもームカツクーーー
 あのままじゃあの二人くっついちゃうじゃないのよーー!!
 あーもー面白く無いっ!!」
今回も賭けに負けそな伊織ちゃんはご機嫌斜めだった
「でも〜あの二人凄くいい感じだったよね〜
 洋子先生も凄く楽しそうだったし〜
 洋子先生ってあぁ見えて、子供に弱いのかもね〜」
「むむむむっ何か分かった様な事言い出してこの子はっ!!
 (くそーーおでこのヤツ完全に勝った気でいやがるーーぐやじぃ〜〜)」
「(だから言わんこっちゃない、姐さんイヴのねーさんには勝て無い事、はよー気づくべきやて)」
「あーもー腹立つ!!キーーー」
バコーんっ
伊織ちゃんの八つ当たりの一撃が見事ケンちゃんにヒットするのであった。

「ワテ…もうこんな人生嫌やーーーーお家に帰りたいの〜〜」
ケンちゃんの不憫は今日も続く



-----------葉月のクラスのHR
「ねぇねぇ〜今日の洋子先生なんか何時もと違うよね〜」
「うんうん、スカート履いてるし〜化粧も〜
 ひょっとして春が来たってかーー」
「コラお前達!私語は慎む様になー」
生徒達の噂話はその日1日続いた様だった

「ねー葉月〜今度何か洋子先生本当に結婚しそうなんだってさ〜
 相手の人もね〜何か子供居るらしいんだけど〜それが逆に洋子先生にはヒットだったみたいで〜」
「ふぅ〜ん詳しいね」
「え…あーまーその何ですか…」
「あっそうか、あの時伊織と初美が二人で出かけた日か…
 あの日ボクデートだったから行けなかったんだよね」
「そうそう…あの時は大変…
 って!!デートですってーーーー!!!!!!」
葉月の一言に異常に反応を示したミコトは狂喜乱舞して葉月に質問する
「相手は!何処で!何処までやったの!相手は男?女!!
 キスはしたの!いや、そんな事よりーーー相手は誰よーーー!!
 まさか初体験なんてしてないわよねーーーーー!!」
「…デートって言うか…家でねチャットだよチャット
 相手はおじさんだし…まー後は想像にお任せします」
「葉月…あんたまさかっ!!!」
「じゃミコト今日も用事あるんで先帰るね〜」
「あーーーー葉月待ってよーーーー
 って言うか〜〜あーーーんあたしを置いていかないで〜〜〜」

「(そうか…洋子先生は…このまま何事もなければ良いのだが…)」
葉月は洋子に迫っている影を気にして居た



-----------2度目のデート
洋子は2度目のデートにおめかししていた。
彼に会ってからの洋子は見違えるほど女性らしくなって行くのだった
そして本人もそれを受け入れてる様だった
だが、そんな話にも破局は訪れるもので…
彼の子供は彼が昔結婚まで考えて付き合っていた女性が、他の男との間に作った子供だったらしく
にも関わらず、彼に子供を押し付けてその男の所に女は行ったのだ…
だが、ここに来て急に子供を返せと相手側から言って来たのだ
当然最後まで自分が育てる気だった彼は呆然としたまま、奪われて行ってしまい…
洋子の前に現れた彼は魂の抜け殻の様であった
「御免なさい…もう私には生きていく気力がなくて」
「なんて酷い!子供を取り返しましょ!
 そして私達で育てて行くの!」
「洋子…さん…でも私にはそんな権利も資格も無いんです」
「資格とか権利とか、大切なのは子供の心です!
 私も長年教師やって来ましたが、彼女達に必要なのは心の交流だと言う事を知ってます!」
「洋子さん…でも」
「でもじゃありません、連れ戻すんです!!」
強引に洋子に連れられていく彼だったのだが…


草葉の陰に隠れていた葉月は思った
何故今ごろになって子供を呼び戻すんだ?
そう言えば、最近子供を狙った事件が相次いで…まさか…な
だが、それが見事的中していたのだった


「どう言う事だ!子供はもう居ないって!!」
勢いに任せて相手の家に怒鳴り込んだ洋子だったが、思いもかけない肩透かしを喰らった
「だから言ってるでしょ、私の子供を私がどーしよーとあんたには関係ないでしょっ」
その時洋子は相手に違和感を感じた
彼女の目は正気じゃない…まさか
洋子は最悪の事態を考え強行的に部屋に押し入った
「こ…これはどう言う」
「奪われたのよ…連れて行かれたの!
 彼が子供が必要だからって
 だからあの子を返して貰ったのよーー
 なのに彼ったら…あ〜〜〜〜〜〜ん」
洋子は部屋の周りを見渡した
そこには宗教団体のグッツがたくさんあり…
まさか?洋子は瞬時に今回の事件を悟った
「お願いだ〜あの子をあの子を返してくれ〜〜」
彼は今の事実が受け入れられない…当然である生死すら分からぬこの状況では
洋子は彼女にその宗教団体と子供の父親との関係を聞き出し一目散に
その団体の本部へと駆けて行った

「御免なさい…こんな事になるなんて思ってなかったの
 でも信じて、数日だったけどあの子を育てて分かったの
 もう離したくないって、育てて行きたいって
 貴方に酷い事した事は分かってるわ
 許して欲しいとは思わない…でもあの子は私の子供なの」
「あぁ分かってる、分かってるさ」


はぁはぁは…
早く早くしないと
洋子は焦っていた、もしも自分の感が当たっていれば今ごろは…と
「先生!」
「東?…話は後だ、悪いが私に力を貸してくれないか!」
「ええ、その為にボクはここに居るんですから」
「東…お前…あぁ頼りにしてるぞ葉月」
葉月と合流した洋子は団体の本部に辿り着いた
葉月は先に下調べをしていた様で、その所在地は直に割れた。



「これはこれは美しいお嬢さんがお二人で我が教団に何の御用でしょうか?」
「!!お前は…あの時の…確か、サイガか…」
葉月が驚くのも無理は無い、今葉月の目の前に居る男は
夜行列車の世界で出会ったサイガ・カズオそっくりの人物だったのだから
「なる程…洋子先生の相手の男性がナンブにそっくりだったのも
 ふっ、運命は回るってかっ」
葉月は強引にサイガもとい教団の男を突き飛ばして入り口に強行した…が
「おっとお嬢さん…乱暴な真似はよして下さいよ
 ここはただの宗教法人に認定された民間施設なんですよ〜
 そのような無断潜入は学校の先生を呼んで連れて行ってもらうことになりますけどね〜」
「残念だな…その子の担任はこの私だ!!」
洋子の膝蹴りが男のわき腹にヒットする…が
「これは怖い怖い…まさか先生が生徒に悪さをさせるなんて…
 貴方自分の立場分かってますか?」
と言った瞬間男の目が光り、洋子は逆に突き飛ばされる
「先生!」
「くっ東、私に構わず行け!!」
「…承知!」
葉月は入り口に集まってきたガードマン達をなぎ払い潜入に成功した


ここは…?
葉月の目の前には禍々しい光景が広がって居た…
月待ちの儀式?いや違うな…もっと邪悪な意思が集まっている
むっ!?
葉月を取り囲むようにマスクを被り変な武器を持つ信者達が襲い掛かって来る
でぃやーーー
葉月は次々襲い掛かる信者達をちぎっては投げちぎっては投げ…
「さて…あらかた片付いた…」
葉月はまだ一度も刀を抜いては居ない
いや、ソーマの力自体出しては居なかったのだ
それ故今回の事件の裏には人間の匂いを感じていた
「流石に生身での人海戦は辛いな」
そう言いながらもさして疲れてる様子は無かった
「さて…思った通りだな」
葉月の目の前にには無数の子供達の泣き喚く姿が広がっていた

「みんな〜大丈夫なの〜〜葉月がきっと助けに来てくれるなの〜〜
 みんなが泣いてるとミルカも泣きたくなるなの〜〜」
「お姉ちゃん、お父さんに会いたいよ〜〜」
「大丈夫なの〜葉月がきっと来てくれてみんなをお父さんとお母さんの元に返してくれるなの」
あれはっ
そう、連れ去られた子供達の中にはミルカも含まれて居たのだ
「ミルカーーー!!」
「ふえ…この声は!葉月なの〜〜葉月が助けに来てくれたなの〜〜
 皆大丈夫なの〜〜葉月が来てくれたから一安心なの〜〜〜」
「くっ…ミルカにまで
 貴様ら…生きて帰れると思ってるのか!!!!!」
ミルカが囚われていた事実にキレる葉月だが

「おやおや…まさかここまで来るとは…
 まーイイ、小娘お前も闇の神様の生贄にしてやろう」
サイガそっくりの男は肩に洋子を抱えて葉月の前に現れた
「生贄には処女の血が大量に居るんでね
 この女…ふふふいい年してまだ未開通の様だ
 年増ではあるが…まー少しは足しになるだろう」
男は洋子を生贄の祭壇に放り投げた
「洋子先生!!
 キサマ!!
 ミルカだけでなく、蓉子にまで!絶対許さんぞ!」
「…小娘…そう言えば…どこかであった様な…」
葉月は刀を抜いた
「あの刀…どこかで…
 まあいい
 そんな玩具で何をしようと言うのかなお嬢さん」
「キサマを斬る!!」

「ちょーーーーーっと待った!!」
「ん?なんだ」
「ふふふふ…はーーはっはっはっはっはっは!!
 この私こそ!ヤミの女神リ・リ・ス!その人なのよんっ」
ポーズを決めるリリスちゃん
「(今日こそ決めセリフ決めさせてもらうわよ!
 なんてったって3日間も寝ずに考えたんだからーーーくーーー)
 キラン!行くわよ
 あーーー」
「ふん…使い古された小汚い穢れ女か…
 生贄には全く価値が無いな」
男は女を見ただけでその男性経験を見抜く眼力があった
「………あんたねぇ(怒)
 人がせっかくかっこ良く決めセリフ言うとした所を邪魔したばかりか
 この可愛いく清純で永遠の処女〜なリリスちゃんを
 中古だのあばずれだのガバガバだのよくも言ってくれたわねぇ!!」
「いや…お前じゃ所詮下品な売女レベルだろ」
男の冷静なトドメの一撃…
「…リリスちゃんキレちゃいましたー…ララ」
「はい、リリス、皇蓉子ですね」
「ええ…リリスちゃんを本気で怒らせた事後悔させてやるんだからーねっ!!
 えーーーい詠唱キャンセル!いでよ蓉子!!」
「なんちゅーいい加減な」呆れる葉月

「またお前の顔を見る事になるとはな!サイガ!!
 チェスト!!!!!!」
リリスが呼び出した本の住人皇蓉子は洋子先生の体に憑依し、サイガをぶちのめす
「おらおらおらおら…おらーーーー!!」
蓉子の十連脚が火花を散らす!!
「ぐはーーー」
男は異能力を発揮する蓉子には手も足も出なく吹き飛ばされる

その合い間を縫って葉月は子供達を救出していた
「そうだ、この中に神崎和彦の子供は居るか」
「お父さんを知ってるの〜お姉ちゃん」
「キミが…ナンブの…うんお父さんが待ってるよ」
「さすが葉月なの〜ミルカ葉月なら絶対来てくれるって信じてたなの〜」
「うん、大丈夫だったミルカ」
「はいなの〜〜…うっひっく葉月〜〜怖かったなの〜〜」
本当は怖くて怖くて堪らないのを我慢していたミルカは安心した途端
葉月に抱きつき泣き出してしまった
ミルカを抱きしめら葉月は言う
「大丈夫だよミルカ、ボクがどんな事があってもミルカを守るからね」


「よくも…よくもやってくれたなこのアマがっ!!
 こうなったらこうなったらあんぎゃーーーーーー」
男の体に何かが乗り移った
「不味いわね…この魔方陣自体は素人の書いた適当なものだけど
 多分ミルカや、今回の蓉子のソーマで少しゲートに干渉しちゃったみたいね〜」
「リリスっ」
「あっ…いやこれは…あたしじゃ無いわよっ」
「分かってるそんな事
 それよりミルカ達を安全な所へ」
「あーはいはい〜〜
 あっ葉月一応注意してね…多分あれ」
と言おうとした瞬間攻撃が来る
「ちっ」葉月は懐にもぐりこむ…が
「くそっあの触手のせいで近寄れない」
「久しぶりだな…葉月」
蓉子が葉月の元へ来る
「蓉子…さん」
「キミには借りがあったよね、今それを返させてもらよ
 私が囮になるその瞬間に!」
「あぁ承知した!行くぞ」
過去にも一度あったが、この二人のコンビネーションはアイコンタクで通じ合う
プロサッカー選手のように絶妙の力を発揮した
「でぃやゃーーーーーーーぁぁぁ!!」
葉月の必殺の斬撃が怪物をなぎ倒す…
「くはぁ〜〜〜」
男の体から小悪魔が抜け出すが、リリスがそれを逃しはしなかった
リリスは瞬時にテスタメント・イヴに小悪魔を封印するのだった。

「蓉子…有難う、お陰で助かったよ」
「何を言うの、私を助けてれたのは貴方の方でしょう
 また貸しを作ってしまったわね…」
「ううん、そうでもないさ…先生には何時もお世話になってるし」
「そう…じゃ」
蓉子は葉月にキスをした
「なっ…」
葉月は赤面する
「じぁあね、葉月またどこかで会いましょ
 その時は貴方も大人になってるでしょうから…続きはその時のお楽しみって事で
 借りはその時返させて貰うわ…ベットの上でね」
「…バカっ何を返すんだよ、それで」
と言う葉月の表情が嬉しそうだった事をリリスは逃しはしなかった
「蓉子…後でヤキねっ」
「リリス、出来無い事は言う物ではありませんよ」
何時もナイス突っ込みのララ
「あーんもーーどいつもこいつも本当にーーーキーーーー」

「リリス…」
「ん何よ葉月!」
「有難う…助けに来てくれて…今回の相手はボク一人じゃ倒せなかったかもしれない」
「え…あ…うん(本当はリリスちゃんのせいだって事この際言わない方がいいわよね)」
「リリス…何時も有難う」
葉月はリリスの頬にキスをしてその場を去った…
「はらはらはら〜〜ぽーーーーー
 あぁ葉月の唇の感触が感触が〜〜〜〜あーーーん葉月好きーーー」
とのぼせ上がったが次の瞬間
「って!何であたしには口にちゅーしてくれないのよーーーー」
と言いつつも、葉月のぬくもりに早く帰って浸りたいリリスであった


さて、洋子さんはと言うと…
「私達結婚する事に決めました
 洋子さん、娘を助けていただき本当に有難う御座いました」
「私も目が覚めました、これからは本当の母親としてこの子を育てていこうと思います」
「そうですか…はい、それがいいと思います
 そう…それが」
子供が洋子の服を引っ張る
「おねえちゃん…今度遊びに来てくれる?」
「ああ必ず」
洋子は失恋はしたものの、大切な何かを得た気がした


「さて、聖先生…今日はとことん付き合ってもらうわよ〜〜」
「ゲっ!何でそーなるのよーーーーー!!」
「おほほほほ〜〜今日はいいお店紹介するザマスよ〜〜〜」
「ってリリスあんたにはおごらないからね!!」
「おー何時も何時もすまんな〜聖先生〜今日もおごってくれるなんて嬉しいね〜」
「って誰がおごるもんですかーーー!!
 って言うか、あたし酒一滴も飲めなしさーーーー!!」
今日も又セイレンの叫びがどこかのネオン街に響いたそうな







「うぅまさかあの二人がくっつかないとは…私の感もまだまだね〜
 でも、この本によるとあの二人は結婚す…あっ
 これ違う本だ…あはははは間違えちゃった〜〜〜
 あっお姉ちゃん」
って言うか、カンニングしてる初美…お前サイテーだ
「ただいまーおでこちゃん悪いけど、今日の夕食勝手に何か食べてて…」
「お姉ちゃん…その賭けは」
「え?あー賭けね〜お金なら今度でいい〜今日はそんな気分じゃないの〜」
「(え?今回は私が負けたのに…まーいいや、もらえる物は貰っときましょう〜)」
正直リリスが葉月のキスが忘れられなく、今日一日は全てを忘れてそれに酔いしれたと言う


「あ〜葉月ちゃん〜うふふふ今日臨時収入あったの〜
 何か美味しい物食べに行こうか〜今日はお姉ちゃん食欲ないみたいだから〜」
「え本当!初美のおごりなの〜〜
 あーーん初美大好きだよ〜〜〜」
葉月は初美に抱きつきラブラブ〜〜な事に

「あっミルカちゃん〜一緒に美味しいモノ食べに行きましょうか〜
 今日は、初美お姉ちゃんのおごりだよ〜」
「嬉しいなの〜〜ミルカ初美大好きなの〜〜〜」
「って初美二人っきりじゃないのか…ガックシ」
「ガルル…」
「ラスカレスがダメなの〜〜今日ミルカが危ない目にあったのに助けに来てくれなったなのー
 ミルカぷんぷんなんだからね〜」
それもその筈、今日の朝ごはんをあげたのは他でもない、初美だったのだ
初美の作ったご飯を食べさせられたラスカレスが腹痛とゲリで酷い目に…
「今日はミルカ葉月のお家にお泊りするなの〜〜そして〜
 葉月と初美と一緒に寝るなの〜〜〜」
「ええ楽しみね〜」
「(初美と一緒の布団に…ドキドキ…今日は眠れそうにないな)」

その日の夜、皆が寝静まった深夜に、町を救った女二人の
一人で喘ぐ声が鳴り響いたとか響かなかったとか…
当然翌日目を真っ赤にさせた伊織と葉月の姿があった
この二人眠れなかったのか、その日は学校を休んだそうだが…

茶の間で初美にかけられた1枚の毛布に二人で寝沿いあう姿がなんとも微笑ましかった

「お疲れ様二人とも」







ちゅーか、リリスチャンスは生かせよ!


-----------次回予告
葉月ちゃん今日も学校で虐められたの?
葉月ちゃん今日もひとりぼっちで泣いてたの?
葉月ちゃん今日一緒に学校行こう〜手を繋いで
葉月ちゃん…私が全部受け止めてあげるから
貴方の悲しみ孤独
私は決して貴方を裏切ったりはしない

ボクが初美を女として意識したのは何時だっただろう…
ボクが初めて大人になったあの日も初美がボクを助けてくれたね
二人でコンビニで買ってきた赤飯を二人で食べたね

ボクが初めてブラジャーをした時も初美が選んでくれたね
着けるのを手伝ってくれたね

ボクは何時も初美を追いかけてた…
走っても走っても初美は速くてどんどん先にいっちゃうんだ
何時かボクも初美と同じ処に立ちたいって何時も思ってた

でも…何時しか憧れが愛情に変わっていた
ボクはお姉ちゃんを初美を愛してしまった
抱きしめたい、その唇をボクだけの物にした
そんな思いが募るたび
ボクは泣きたくなるほど悲しかったよ

次回第7話『初美〜お姉ちゃん〜』

ボクは何時か初美とは違う道を進むのだろうか

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