第5話『樹』



葉月達の通う、聖・フェミニン女子学院では秋に中高一環で大きな学園祭が行われる
今年もその例に漏れず、少女達は1年間の無礼講フェミニン祭に向けその準備に余念が無い
さて、我らの葉月ちゃんはと言うと…何時もの様に屋上でオサボリの様です

「は〜かったるいな〜なんでボクが実行委員しなきゃならんのだ」
どーやら葉月ちゃんはミコトの推薦により、クラスの実行委員にされた模様で
「葉月ーまた、サボリねー
 ウチのクラスは葉月中心で動いてるんだから、ざぼっちゃダメっ!」
「うぅーだってめんどくさいんだもん
 と言うか、ボクにはそう言うのムリだよー」
「甘えてないでっめっ!
 初美さんに笑われるぞ!
 ほら立つ!さっさと教室向うっ」
葉月はどーもミコトには弱いようで、その上初美の名前出されると成すがままの様だ

「ドキドキドキドキ…東先輩…(ぽ〜)」
屋上の物陰から葉月を見ていたのは中等部2年在籍の久住樹
そう、葉月が本の世界を旅した時の原始時代の世界で出会った少女の生まれ変わりだった。

どうしよう…声かけるべきか…あ〜んでも
もし嫌われたら嫌だし…でも前に一度お弁当受け取って下さった事あったし
ここは勇気をもって!
「あの…東先輩」
樹は焦っていた。学祭に出展予定の絵が未だ未完成だったのだ
樹は美術部に所属しており、その絵の腕前は地区大会で賞を総なめにする程であった
今回樹は予てから考えていた人物画に挑戦していた
そう、憧れの東先輩をモデルにした作品だった
しかしそれは大半が空想から描かれており、リアリズムが欠落していた
そこで樹は本人にモデルの依頼を頼もうとしていたのだが…
気がつくと既に数日後には学祭が来てしまう所まで行っていた
「あれっクィ…じゃなかった樹」
「嬉しい、東先輩私の事覚えていて下さったんですね〜それに名前まで〜」
既に嬉しさに我を忘れて喜んでる樹だが
「…葉月ー行くわよっ」
ミコトが少しむっとしながら葉月の腕を掴む
どーやら葉月の樹に対する笑みが許せなかった様である
「(おろおろ…はっここで言わなければ)
 あのっ
 東先輩!もしよろしければ絵のモデルになってくれませんか!」
何だかんだ言って、言う時は言うのが樹と言う少女らしい。

葉月は少し何の話か頭を悩ませたが、これはさぼるチャンスとばかりに了解する
この時キラーンと効果音が鳴った事は言うまでも無い
と言うか、似てきたなリリスに…

「本当ですか〜〜嬉しいです〜〜お時間は取らせません」
喜ぶ樹を後目にミコトは怒る
「あのねー久住さんっ葉月はウチのクラスの実行委員なのー
 そんな事してる暇なんかこれっ〜〜〜〜〜ぽっちも無いの!」
「うぅ〜〜」半泣きの樹だが
「まぁまぁ〜樹はウチの学校を代表し美術界を背負って立つ人間なんだし〜
 そんな邪険にしなくても〜と言うか、ボクもモデルに興味有るし〜」
正直葉月にとってモデルとは、ただ黙ってればいいんだろ〜くらいにしか思ってない
「でーもー…(ちゅーか、葉月久住さんの肩持ち過ぎっ少しムカー)ぶつぶつ」
ミコトは葉月を盗られまいか気が気では無い様だ
それもその筈、葉月がここまで肩入れする人物など類を見ないからだ
もっとも、それが単にさぼりたいからだとは、気づいていても本能が許せないのは
ミコトの葉月に対する独占欲から来る物だろう。
「まーまーそんなに時間とらないって言うし〜
 終わったら手伝いに行くからさ〜ね、ミコト〜」
葉月の甘えた声についつい許してしまうのも、惚れた女の悲しい性かな
二人はミコトを他所に美術室へ向ってしまった
「うぅーー葉月のバカーーーーーーバカーバカー」
ミコトの声は夕空に虚しくこだまするのであった


-------------美術室
「ふぅ〜ん、これが今まで賞をとった樹の絵か〜
 綺麗で丁寧で、それでいて自然を余す事無く表現してる…
 さすが樹だね」
葉月は樹の描いた絵を見て感心していた。
「あの…これが今描いてる絵なんです…」
ばさっ…そこには美しい月をバックに微笑む少女が描かれていた、そう葉月本人である
「これ…ボク?」
「はい…東先輩を想像しながら描きました」
葉月はしばらく見惚れていた
「……まるで生きてる様だ…」
そうか、あの時のイヴの壁画…あれを彫ったのはきっとクィルだったんだ…
だからボクはクィルに惹かれたのかもしれない
葉月は原始時代の世界の事を思い出していた
あのクィルと今この時代に同じ時間を過ごしている喜びを感じずには居られなかった
そして、思わず樹を抱きしめてしまう葉月
「クィル…」
葉月の唇が樹の唇に近づく…
樹は抱きしめられた現実に、今正にキスをされるその現実をまるで夢でも見ているかの様に
感じていたのだろう…しかし
葉月は触れるか触れないかで、急に離れる
「ごめん…急にこんな事して
 誤解しないで欲しいんだ、キミが…キミが恋人に似ていたから…つい」
その言葉にはっとする樹
次に樹の口から出てきた言葉は
「私は先輩を愛してます」
その言葉は何より本人が驚いていた
言うつもりはなかった、心に思い留めようとしていた言葉だから
「ボクも…樹の事…大好きだよ
 それにね、恋人って言っても一晩限りだったから彼女とは」
樹は泣きながら質問をする
「もう付き合っていないんですか?」その言葉に期待が募る
「…今は…もう会えないから」
「東先輩…私がその方に似てるって仰いましたよね
 私じゃ…私じゃ代わりにはなれませんか!」
何時もの樹からは考えられないような強いアプローチだった
だが葉月は
「キミには…
 キミの未来がある
 ボクはそれを守りたいんだ、
 誰かの代わりではなく、ボクが久住樹と言う一人の人間の為に
 それをしたいんだ」
その葉月の言葉の意味は恐らく樹は知る事はないのだろう
だが、葉月の本当の心を知った樹にはそれが全てであった
葉月は優しく樹を抱きしめ、ボクはいつでもキミを見守ってるよ…
と言う表情を浮かべ樹の額にキスをした

数時間後
「ねぇ…樹…もうだるいんだけど帰っちゃダメ?」
さっきとは打って変わって流石にだれてきたのか、すげー嫌そうな葉月
「あ〜後少しだけお願いしますぅ」
「はぁー後少しって…さっきから何回も同じ事…
 (帰って初美と一緒にドラマ見たいのにー)ぶつぶつ」
さっきまでの葉月は何処行ったと言う感じである。
「あっ終わりました…終わりましたケド…」
「あっ終わったの!やったー
 じゃ樹ボク帰るね〜って、どんな感じ〜」
葉月はより完成された絵を見るのだが…
「樹…これ」
「魂が…入ってない感じなんですよね…何が足りないのか分からないんですが」
悲しそうな樹を見て葉月が言う
「そうだね、確かにこの絵には何かが欠落してるのかもしれない
 でも…それはきっと人生を賭けて見つけ出すんじゃないかな
 今の樹が全てをぶつけた絵なら、ボクはそれで良いと思うよ」
その言葉に嘘偽りはなかった
それだけに樹にとっては悲しい事でもあった
樹は絵に対しても葉月に対する愛も何時も全力だった
だからそこ未完成のこの絵に納得が行かなかった…
「学祭までには完成させます
 必ず完成させて、先輩に捧げますっ」
「…ムリしないで…うん応援してるよ」
葉月は樹の肩をぽんと叩いて美術室を後にした

分かってるんです、この絵に欠けてる物
たぶんそれは先輩の本物の唇の感触…
樹は今になって2度抱きしめられたその温もりに浸り出していた…
そして、教室の鍵を閉めカーテンを全て閉め部屋を暗くし…
一人葉月を思い…



------------------葉月の教室
「流石にもう帰ったか…ミコトに悪い事したな〜
 明日からマジメにやるかな〜」と、誰もいない教室で呟く葉月だが
「その言葉信じていいのね
 ねっ葉月」
その言葉に驚く葉月
「ミコト…帰ったんじゃ」
「葉月なら絶対迎えに来るって分かってたから
 まー葉月がすっぽかした仕事も山の様にあったしねぇ〜」
少しイジワルそうに言うミコトだが
「ごめん、明日からちゃんとやるよ、初めてのミコトとの学祭だしね」
「うん、分かったらよろしぃ」
笑顔で葉月に振り返るミコトだったが
「ミコト」
葉月はミコトにキスをする
樹の時の様に額にではなく、唇に
次にその手は胸へと互いに肌を触れあう二人…
床に落とされた二人分の制服を、月は恥ずかしそうに見守るのだった

いやマテ、何時から百合話になったんだっ!!
いや、本番はなしよ本番はさ〜〜さわっこね、さわりっこ
ちゅーか、まぜろっ(作者本音)




---------------学祭前日
「なんや〜まだ悩んどったんかいな〜
 ウチはええ絵やと思うけどな〜」
樹の親友である、メイコが言った
彼女は樹の親友でもあり、葉月が本の世界で出会った狐娘の生まれ変わりがこの
橘メイコその人であった。
「うん…よくはなってると思うんだけど…」
元気なく樹が答える
「樹はさー何時もマジメにすぎんよー
 少しは気ー抜かんと〜持つモンも持たん様になるでぇ〜
 もっとも〜ウチみたいに、い〜っつも気抜けてたら洒落にならへんけどな〜」
「うん…」
「いや、樹ここ突っ込み場所やで、ホンマ
 それじゃ、ウチがホンマモンのアホみたいやないかーー
 どないせい言うねっ」
どーやらメイコは学祭で新喜劇やる様で、一人ハイテンションであった
「ってコラーーメイコ!打ち合わせさぼって何処ほっつき歩いてんのよー
 伊織ちゃんおこっちゃうんだからーねっ」
そうなのだ、突然現れた伊織ちゃんこそメイコの舞台の相方だったのだ
ちなみにこの両名、落ち研ならぬ漫才部に所属している様だ
しかし、どんな組み合わせや…ホンマ


樹は欠落している唇の質感を何度も何度も描き続けた…しかし一行に答えは出ない
やっぱりムリなのかな〜と思った瞬間ある名前が浮かんだ
「クィル」
前にも先輩が私に言った名前…多分先輩の一晩だけの彼女の名前
でもどうしてだろう、その名前を浮かべるたび、見た事の無い風景が浮かぶ
前に一度それを描いた事があった…樹はその絵を前にクィルの名前を何度も何度も思い浮かべる
先輩…先輩

外では葉月のクラスの出し物である、時代劇の最後の追い込みがかかっていた
樹は葉月がクラスメイトに殺陣の手本を見せているのを遠目から見ていた
「ホント葉月って何やらせても凄いよね〜
 本物の女剣士様みたい〜〜」
樹がこの言葉を聞いた瞬間全ての答えが見えた
「剣士様」
そうか、先輩は剣士様だったんだ
私の夢に出てくる憧れの人
私はずっと男の人だと思ってた…
その瞬間に本の世界の記憶が走馬灯の様に広がる
だがそれは開けては行けない扉を開ける事
「私はクィル
 そう、私はクィル
 剣士様、今剣士様の下に参ります〜
 私はクィル」
樹の、いやクィルの周りは精霊の力が集まり出す
それは現代ではありえない自然現象を起し始めた

「剣士様は私の物、剣士様に近づく物すべて悪」
クィルは葉月の取り巻きの女子生徒を風で吹き飛ばす
いや、それだけではない、学校中に竜巻を起こしその被害は尋常ではなかった
「クィル…何故!」
驚く葉月だが次の瞬間
「リリス!居るんだろリリス!!」
「あーもーそんなに大声出さなくても聞こえてるわよー
 あーあんたさーリリスちゃんがコレやらかしてると思ってるでしょ」
「違うのか?」
「違うわよっ失礼しちゃうわね」プンプン
「だったら誰が、どーやって、あれは樹なんだろっ」
「はい、久住樹です。しかしながら今はクィルに支配されています」
リリスの巨大な本の主ララは続ける
「恐らくな何かのきっかけで前世の記憶が戻ったんだと推測されます
 それと同時に強いソーマを持つ樹はクィルその物を呼び寄せたのです」
「それって…自分の意志で…か」
「はい、その確立が最も高いです」
「じゃなんで?」
「ははーん、それに一番心当たりあるのって〜葉月なんじゃないの〜」
凄いイジワルそうリリスが言う
「そーいえばさーあの時〜リリスちゃんが原始人達に崇められてた時〜
 葉月は何処でナニをしてたのかしらん〜
 その後随分クィルと仲良さげだったしー」
「あれは…あれは初美を探しに行ってたんだ」
リリスから目線を逸らしながら言う葉月に説得力はなかった
「はんっ確かあんたあの後、下着つけてなかったわよねぇ〜
 クィルとナニしてたのよっはっきり答えなさいっ!!」
リリスちゃん本気の怒りモードである
「…そんな事より、今は樹を戻す事だろっ」
「そーやって何時も葉月は話をはぐらかして!
 何時も何時もそうよっリリスちゃんがどれほど葉月を愛しているのか〜」
「リリス、今はそんな事言ってる場合ではありません
 クィルに長い事支配され続ければ、樹の体は崩壊してしまいます
 一刻の猶予もありません」
「ちょっと待て、リリスとララならあの二人を離す事出来るんじゃないのか?」
「いえ、それは出来ません
 私達はあくまで擬似的に空間を結合させ召依させてるに他ありません
 今回は完全に本人の意志でゲートが開かれてます
 これを閉じる事が出来るのは本人のみです」
「図書館の世界に戻って本を閉じるってのじゃダメなのか?」
「いいえムリです。
 本はあくまでも再生器であり、空間干渉とは全く異なります」
「それじゃどーすればっ」

「簡単な事や、あんさんが樹ちゅー娘っ子の自我を取り戻してやればええんよ」
「あんたは…玉藻の前!」
「うぅ…又嫌なヤツが」
リリスはとっさに両手でヤミの帽子をぎゅと掴む
以前玉藻の前にヤミの帽子を奪われ、路頭に迷った経験があるからだ
「でも、どーやって」
「それはあんはんが一番よー知ってるんちゃうん?
 それにな、あの娘っ子をここまで追い詰めたんは、あんさんなんやで」
「ボクが…樹を…」
「葉月、早くしないと時間がありません」ララが叫ぶ
「リリスちゃん悪くないもん、リリスちゃん悪くないもん」
カメの様に縮こまってぶつぶつ言うリリスを後目に葉月は一人樹の下に走る
「しかし玉藻の前、本当に大丈夫なのでしょうか?」とララが訊ねる
「まー大丈夫ちゃう
 なんせあんお人はヤミ・ヤ…お〜っとヤブヘビヤブヘビ
 まー葉月はんに任せておけば大丈夫〜やろ
 ちゅーか、リリスはん、あんはん何の役にもたちまへんな〜ホンマ」
「う・る・さ・い・わねーー
 今葉月を援護する作戦を練ってたところでしょーにっ!」
「しかし玉藻の前。貴方が出てきたという事は」ララが質問を続ける
「まーそう言う事や〜、ここ最近頻繁に次元が勝手に開かれる事件が多発しとってな
 まー今回もその一つ言う事なんやけど、現在は原因究明中やな
 マウが頑張って探しとるわ、ホンマあの子はどこぞのアホ娘と違い役に立つわホンマ」
「だれよそのどこぞの役立たずってーーームキ!!」
「リリスの事だとは言ってませんよ」ナイス突っ込みのララ



「くぅ風が強くて近づけない…」
「樹ーーー今ウチが助けてやんよーー」
必死に樹を助けようとするメイコ
「メイコ…危ないから下がってろ」
「葉月姉さんっ助けに来てくれたん〜樹喜ぶわ〜
 ってそんな場合じゃ〜〜」あ〜〜れ〜〜〜風に飛ばされるメイコ
葉月がメイコを助ける
「おい、メイコ最近樹がボクの事で悩んでなかったか?
 何でも言いから教えて欲しいんだ」
「そないな事急に言われても…そーや(ポンと手を叩く)
 あの子先輩の絵を完成させる為には先輩の唇の感触が知りたい言ってたわ」
「唇…」
葉月は自分の唇に手を当て考える
「そうか…あの絵に欠けてたのは…
 分かった、ボクが必ず樹を救い出す、メイコは安全な所に隠れてて」
「え?姉さん姉さんーーー」
メイコを後に葉月は駆け出していく
所で姉さん、そないなイミテーションの刀持ってった所でなんの役にも…



「あっ剣士様
 私はクィルです
 会いたかったです、剣士様〜」
「お前はクィルじゃないんだっ、思い出せキミは久住樹だっ!」
「…剣士様私はクィルです
 私はクィルですーーーーーー」
その瞬間巨大な竜巻が葉月を襲う
「くそっ、これじゃ近づく事さえ」
その瞬間だった白い閃光が葉月を乗せ離脱する
「ここは…」
「ガルルル…」
「ラスカレス…キミは
 そうか、分かったキミに任せる」
「ガルっ」
ラスカレスは背に葉月を乗せ、巨大な竜巻の中心めがけて突き進む
「見えてきた
 いかに巨大な竜巻だろうと、その中心に風は無いっ
 有難うラスカレス」
葉月はラスカレスの背を蹴り竜巻の中心に突撃する

やっと二人になれたな、樹…いや、クィル
剣士様…私はクィルです
あぁキミはクィルさ…ボクの大切な一晩限りの恋人
葉月はクィルの唇に口付けをした
その瞬間だったクィルの目から涙がこぼれたのは…
私はクィルです…剣士様やっとキスしてくれました…ね
ふらっと気を失うクィル…そして次の瞬間には樹に戻っていた
そうか、クィルはあの時出来なかったキスを求めて…
先輩…今私先輩と
あぁ樹…これが最初で最後の恋人のキスだよ
そう言った瞬間葉月は樹に深い深いキスをした
樹はその時自分の夢が叶ったんだと知った…それは同時に
久住樹と言う女性として今後の人生を歩んでいく事の始まりである事も
憧れは何時か過ぎるもの、しかしその憧れは少女の中で永遠の思い出となる

さて、後始末だね
葉月が睨んだ先には原始時代で見たのと同じ怪物の姿があった
「ぐぎゃぎゃぎゃぎゃ」
そのおぞましい姿で葉月に襲い掛かる怪物

悪いが今日のボクに手加減の文字は無い
消えろ!
葉月の渾身の一撃が怪物を消滅させる…
次の瞬間小さな悪魔の姿になったそれは逃げていくのだった

葉月は腰を抜かしている樹に手を差し伸べる
帰ろう、ボク達の居るべき所へ
はい東先輩
と行き成り抱きつき樹
ここはお約束と少し苦笑いを浮かべる葉月であった

「ふふふふ、葉月〜いい絵が撮れたわよ〜
 今日の映像も早く帰って編集編集!」
何故かミコトはラスカレスの上に乗りビデオを撮影していた…
「あ〜〜ん葉月さいこ〜〜〜愛してる〜〜」
「ガル…ガル(困ってるラスカレス)
そうなのだ、ミコトの趣味とは葉月を影ながら撮影(盗撮とも言うが)する事なのだ
もっとも、彼女こそが学園最大の葉月ファンクラブ月百合の会の影の支配者K子その人である事は
…え?そーなの?…どーやらこの物語ではそーらしい(汗)
いや、スマン自分も今知った所だ(滝汗)



小さい悪魔はやっとここまで逃げたか〜と息を整えると
「はは〜ん、なーるなるあんたが犯人ねっ」
彼の目から見たリリスは悪魔する恐れる怪獣に映ったのだろう
大きいな悲鳴とも断末魔とも言うべき声を残し封印されるのであった

「ところで玉藻の前さー、今回の事件なんだけどさー
 …まっいっか、丸く収まった事だし」
「まっそう言う事やな
 あっそうそう、リリスはん
 どーやら例のアレ、動き出したみたいやで
 気つけてな」
最後に謎の言葉を残し姿を消す玉藻の前…
果たしてアレとは…
風雲急を告げる次回、学園祭でドッキリ伊織ちゃんお笑いデビューするに
ザ・ショータイム

え?違う?




----------------学祭当日
樹の描いた葉月の絵がその日最も注目を集めていた事は



ほらっミコトもっとボクを可愛く写してよ〜
あーはいはい…どうやらモデルに目覚めた葉月は日夜ミコトに撮影させまくってた事は言うまでも無い
私は隠れて撮影するのが好きなのに〜〜ミコトの悲痛の叫びも虚しく夜は深けて行くのだった
ちゃんちゃん

そうそう、あの絵なんだけど
東邸に贈られ、末永く愛されたそうです
そう、葉月が東の家を出るその日まで





-----------次回予告
ヤミと帽子と月影の少女第6話洋子
分かっていたのに、ボク達の過ちは取り返す事は出来無い事くらい
それでもボクらはボクらの失った物を求めるのだろう

血にまみれたその手で人は何を掴み、何を救えるのだろうか
すでに全てを失った血まみれの手さえ…今のボクにはないのだから


いや、嘘
スマン某アニメ風次回予告やってみたかっただけ
えー次回ヤミと帽子と月影の少女〜第6話〜『洋子』乞うご期待
今回マジメな分、悪乗りしすぎー

目次に戻る 第4話へ戻る 第6話へ進む

TOPへ戻る

フレームつきページ
By よっくん・K