第4話『麗羅』 ここは巨大図書館の中央管理区 テスタメント・イヴ(リリスの持つ巨大な本)はここに保管されている その本は無数に存在する本とは異なり管理コンピューターの一環を担っていた 本の主である元移民船のコンピューターであったララは思想する あの子達は上手くやっているのだろうか…ご飯は?勉強は?子孫は繁栄してるかしら…と ララは移民船から送り出した新惑星ルラウの子供達の事が気がかりだった しかし、この図書館においてもルラウ星の本は少なく、少しずつ精製されていた 恐らくは最新の未来であろう、惑星ルラウは本来であればイレギュラーだったのだろう 未来は今創られているのである… ---------聖フェミニン女子学院 俺には憧れる先輩が居る 中等部3年に所属する東葉月先輩である 彼女は美しく、その伸びた黒髪がなんとも美しかった 俺が彼女を知ったのは去年の陸上競技会の時だった 俺の名前はラムロ…そう、男である 男が何故女子校に通っているかって? え?女装?キモイ?違うー俺がしてるのは変装なの!! 何で俺が変装までして女子校に通っているかと言うと… 「ねーラムローーラムロってばー」 「いたたたた ミミ引っ張るなよレイラ」 コイツが俺の幼馴染であり、俺が世話になってる家の一人娘レイラ 俺は幼い頃に両親を事故で亡くし、レイラの家に引き取られた 本来であれば俺がお兄さんなのに、何故かレイラのヤツお姉さんぶるんだ そう、俺が女子校に変装して通う理由はこいつが心配だからである その…一応寮に住んでるんだけど、レイラはルームメイトでもある 正直こいつは俺が男である事忘れて生活してるんで、毎日ドキドキひやひや物である レイラは陸上部の期待のエース 俺はそんなレイラを支えるマネージャーをしている そんなレイラが陸上を始めるきっかけになったのも東先輩からだった 「葉月先輩ステキだよね〜あたし憧れちゃうな〜」 「なんだよレイラ、此間は高等部の初美先輩がイイとか言ってたくせに」 「なによー初美様は別格なのーーそれに〜葉月先輩は〜 その初美様の妹なのよ〜」 「それは知ってるけどさー」 レイラは東先輩の姉である東初美先輩を何故か?崇めている 確かに彼女からは神秘の匂いがるんだけど、男の俺から言わせると 男癖が悪すぎる…噂ではとっかえひっかえ男に手出してるとか… そんなダメ姉とは逆に葉月さんは気高く高貴な存在だ 俺には分かる、彼女こそ現代に蘇ったジャンヌ・ダルク(聖・少女)なんだと 「あのさーラムロさー最近なんかこう、妙に葉月先輩ばっか見てない? 惚れてるの?」 「な!ななななーーーんな訳ないだろー」 「ははーん、図星ね〜 まーラムロくんは男の子だし〜憧れるのは分かるけど〜 相手が葉月先輩じゃーねー」 イジワルそうにレイラが言う 「だからそんなじゃねーって それに、そんな時だけ俺を男扱いするなよなー」 そう、レイラは普段は俺を男だと思ってないくせに、こう言う時だけ男扱いする そー言えば、何故俺が男だってばれないか?だって いや、行動や仕草そぶり喋り方全て男のままやってるんだが、何故か誰も疑おうとしない むしろ、ラムロくんって可愛いよね〜男ぶってるのが〜また可愛いんだよね〜 と何故か俺はもてる…勘弁してくれ 「あはーん、あの子がレイラとラムロねん」 「はい、リリス 厳密には火野麗羅と水原ラムロです」 「懐かしいわね〜あの子達の子孫が移民船のレイラ達なんだよね〜」 「はい、そうですね移民船の未来は今創られてますが、この現代においては 彼女達は生きてるんです」 「でもでも〜なんでまた〜逢いたいなんて思ったワケ〜」 「はい、それは彼女達を見守りたいからです 彼女達の未来は見守る事しかできませんが、現在の彼女達を守る事はできます」 「ふ〜ん…例のウイルスがあの子達を狙ってると」 「はい、その可能性は高いです。 計算上では67.587%の可能性が示唆されます」 「しかしまた〜なんで、葉月の本の世界のレイラ達を狙う訳ー?」 「はい、それはこの本に極端に巨大なソーマが集まってしまっているからです」 「う〜ん…まーそれはそーなんだけどね う〜ん、葉月がいるんだからしゃーないと言えばしゃーないけどさ」 「はい、しかし葉月さんには何の罪もありません 生まれつき高密度のソーマを持って生まれた特異体の定めですから」 「だから、あのおでこちゃんがお熱を上げるんだろうケドさー」 「はい、リリス貴方もですね」 「はいはい、分かってますよーーぷんぷん だからーこうして葉月の助けになる様に頑張ってんじゃん」 「はい、そうですねリリス」 リリス事、伊織はララの願いで現在のレイラとラムロの護衛を頼まれたのである レイラとラムロはララにとっては子供同様の存在であり、守りたい大切な人であった 恐らくはレイラ達はその事を知る事はないだろうが、ララはそれで良いと思っている 影から見守る、正に本当の母親の様な存在であった 「あーー葉月先輩〜〜」 レイラが行き成り葉月に声をかける 「やめろよーレイラー失礼だろー」 心配するラムロだが、本当は嬉しいらしい 「…あっレイラに、確かラムロだったね」 葉月は移民船で出会った二人の事を思い出し、嬉しそうに二人を見つめる 「あ…はい、ラムロ、水原ラムロですっ」 行き成り大きな声で緊張しながら自己紹介をするラムロ 「ふふふ、うん、知ってるよ 男の子なのに、変装しながらレイラを守る為に頑張ってるんだよね」 「え?」 レイラが虚をつかれ驚くが…ラムロは緊張のあまり気づいてない 「葉月先輩なんで知ってるんですかー!?」 「ふふ、うん、キミ達の事なら何でも知ってるよ キミ達が向う未来、そして希望…」 葉月は嬉しそうに移民船の思い出を浮かべながら語っていた 「は〜でもどーして私達なんですか〜」 「キミ達だけじゃないよ、ボクは皆を守りたいからね そう、この世界の全てを守りたいから」 レイラは葉月を憧れの眼差しで見つめながらうっとりし始める それもそうである、こう言う時の葉月の神々しさは正に女神その物なのだから 「あのー東先輩、今お付き合いしてる方はいらっしゃるんですか!」 棒読み気味でラムロが葉月に質問する 「…居るよ」 目を見開いて葉月を直視するラムロ…その瞳はマジですか!と言わんばかりである 「ふふふ、ウソ…ウソだよ そうだな〜居ない事も無いけど、まー恋人って訳じゃないかな それにボクは誰かの物になったりしないよ ボクはみんなの葉月だからね」 と少し笑いながら葉月嬉しそうに答える するとラムロが良かった〜と言う安堵の表情を浮かべる 「でもでもーそれって〜特定のカレシは居ないけど〜 カレシ候補がたくさん居るって事ですよね〜 って事はーラムロにもチャンスがーー!!」 「ふふそれは無いね」 ラムロがレイラの言葉にドキドキしながら、 葉月の言葉にナンデストーと言うリアクションをとった 「ラムロくんにはレイラが居るからね… ラムロ、レイラを大切にするんだよ」 とラムロの肩をぽんと叩いて二人を後にした 「やっぱり葉月先輩ってかっこいいな〜〜」 瞳にハートマークを飛ばしながら去って行く葉月を見ながらレイラが言った 「…レイラを大切に…か (全部お見通しなんだ、東先輩には… 彼女にはきっと、俺達の知らない何かがあるんだろうな… かなわないや…一生)」 「そー言えばさ〜知ってる〜葉月先輩のお兄さんって 女の子みたいに可愛いんだってさ〜〜 ラムロ勝負してみたら〜〜」 「なななな、なんだよそれわーー」 二人は何時もの様に楽しくしていた 二人を見守るララにはそれが嬉しかった 「リリス、あれを」 「ははーん、やっぱり出たわね〜ウイルスが」 リリスとララはレイラ達を後ろから襲おうとするウイルスを確認する シャキーン レイラ達を襲う前に葉月がそれを切り裂く 「…これで今回も大丈夫だな」 葉月はこの様にして、強いソーマを狙う小さな特異存在から皆を影ながら守っていた 「……あたし達出番ないじゃん」 「はい、彼女は知って居た様ですね」 ララは今回何事も無く終了した事を喜んでいた そう、ララと葉月がいる限り彼女達は知る事も無く平和に暮らしていくのだろうと 「そー言えば〜ラムロ〜 もう少しで誕生日だよね〜 その日デートしようか〜」 「なななんだよーー別に…気つかわなくても ふられた訳じゃないんだし」 「別に深い意味なんてなよーだ それにね…(あたしはラムロが好きだから)」 先に走りながら言うレイラだが、最後の言葉をラムロは聞き取れなった 「なんだよー先に行くなよー」 「待たないよ〜だ〜〜」 二人は夕日の中に消えていった 「そーだララ〜」 「はい、リリス」 「惑星ルラウのその後…見ましょうか〜」 「…はい」 惑星ルラウの本を開くリリスとそれを見守るララ 惑星ルラウは少しずつではあるが開拓が進んでいた それはララの教えを皆が守ってるからだよね〜とリリスが言う ララもそれが誇らしかった 「あ〜可愛い赤ちゃん〜」 レイラはラムロの子を出産していた このルラウで生まれた最初の赤ん坊…それがレイラとラムロの子だった 「名前なんて付けようか」 とラムロが訊ねる 「もう決めてるの」 「うん、そうだね」 「そう、この子の名前はララ」 よかったわね〜ララ、あの子達も元気そうで はい、リリスあの子達ならきっと希望に溢れた未来を創ると信じてます -----------次回予告 学園祭が近づいていた そんな中、久住樹は憧れの東先輩に処女を捧げるべく行動移る 樹がメイが伊織が(笑)葉月強奪戦を始める! 果たして学園祭の準備は上手くいくのか!! 学園百合百合話…勃発 「ふふふ、甘いデスねぇ〜お姉さまの心はこの…」 怪しげな少女の登場で、どーするどーなる学園祭! 次回ヤミと帽子と月影の少女〜第5話〜『樹』乞うご期待 |