「一体どーなってるんだ!これはっ!」 ガルガンチュアが大声で叫ぶ 「あら貴方どーしましたか」 ガルガンチュアの妻であるリツコがマイペースに訊ねる 「あ〜あ、リツコ これが叫ばずにはいられるかい 見て御覧よ 我々の理想郷(既に違うが)アルカディアの この荒みきった光景を 我々の汗と涙の結晶である あの美しかったアルカディアの影も形も無いではないか〜」 「まーご主人様は黙って妄想してただけですがね」 3バカの一人が突っ込むと当然ガルの鉄槌が下った 「しかし、また何故この様な事に… 私達が新婚旅行に行ってる間に何が」 そうなのだ、ガルとリツコは新婚旅行で他の世界に行っていた その留守の間を任せられたのが3バカだったのだが… 「お前たち…どう言う事か説明してもうらおうか?」 「あ…いやーこれは〜俺達にも分からなくて」 「だってあっしら葉月の世界に遊びに行ってたしね〜アニキ〜」 「コラそう言う事は黙ってろー」 「そうーオレたちもしんこんりょこう〜んがー」 「あらあら私達はただ遊びに行ってただけですよ〜」 新妻であるマウがつい本音を… 「お前達ーーー!! あれ程しっかり留守番してろと 何時も何時も言っただろーーに!!!」 ガルガンチュアの怒りが3バカに下る 「あら大変〜救急箱救急箱〜」 「あのマウ…それ機械直す工具…俺達一応生き物」 「えへっ失敗です〜」 「そんな事よりリツコ何か分かったかい?」 「恐らく強力なソーマを持つ何者かが侵入した様ね… 狙いはガルの持っていたイヴのナイフ…」 「だとしたら、次に狙われるのは葉月達だな 彼女達が危ない 我々も葉月の世界へ行くぞ」 「あいあいさー」 「って、どーやって行くのアニキー 俺達他の世界に行く切符もう持ってないよー」 「んがー」 「では訊ねる お前達は私の留守の間、あれ程言ってた留守番をほったらかし この様な事態を招いた結果と成った旅行にはどーやって行ったんだ」 「あーいやそれは…お前答えろよ」 「んがーーー」 「はい〜私が作った時空船パオちゃん13号を使ったんです〜」 マウは得意そうに言った 「では、我々も葉月の世界へ向うぞ!!」 「って又、あれに乗るんでやんすかーー」 「あ…オレ腹痛が…」 「んがーーー」 「あのマウ…この意味無くたくさんついた計器は何?」 「はい〜適当にそれっぽくくっ付けただけの、イミテーションです〜」 リツコが頭を抱えた…本当に大丈夫なのこれで…と 「では、出発だー」 ガルの一声でマシンは葉月達の世界に時空移動をした? 様に見えたが… 「で?ここは何処なんだ?」 「さぁ〜何処なんでしょうね〜」 「マウーーーーーーー!!!」 「はふーーー」 砂漠のど真ん中でエンストを起したパオちゃん13号 もうだめぽと皆が思った ヤミと帽子と月影の少女 第11話『ミルカ』 「ふんふふんふ〜今日も〜葉月に〜お弁当〜」 伊織はノリノリで朝のお弁当を作っていた 「後4日間か…短かったな…」 伊織はたま〜に暗い顔をするとため息をついた 「何だよ、伊織最近何か妙にお弁当が豪勢じゃないか?」 「愛する葉月のために腕によりをかけて作ったのよ〜」 「…何だその、有難う…」 「あーん葉月〜言葉より〜行動で示して〜〜〜」 「今日も早いから先行くねーーー」 「って葉月ーーーー伊織ちゃんも行くーーー」 葉月はさっさと学校に行ってしまった 初美と二人になる伊織 「おねえちゃん ちゃんとお別れ言わないとだめだよ」 「おでこちゃん… あんたにだけは言われたくないわよっ」 そう、伊織達に残された時間は後4日しかなかったのだ 「後4日したら、この偽りの姉妹生活ももう出来なくなるのね…」 暗い顔になった伊織の前に突如謎の存在が舞い降りる 「その必要はもう無くなるよ だって世界はもうじき終わるから」 伊織達の前に突然謎の少年が現れる 「あんたは…ってミルカ! ちょっとあんた何やってんのよっミルカを放しなさいよ!」 「あーこの子は役立たずのあんたの代わりにヤミになってもらうサンプルさ」 「んぐーー放してなのーーー伊織助けてなの〜〜」 「ミルカっ しかたない!ヤミに変身って… はらはら〜〜何で変身出来ないのーーー」 「お姉ちゃんあれ」 初美は少年を指差す 「ってあんた!その帽子ーーーー」 「あ〜これね、返してもらったよ そもそも、あんたのヤミの役割はとっくに終わってるんだしね」 「うぐ…」 伊織は言い返す言葉が無い そうなのだ、本来イヴの代わりにヤミの役割を果たしていたリリスにとって イヴにその役割が戻った時点で、すでにヤミでは無くなっているのだ 「アベル その帽子、お姉ちゃんに返してあげなさい」 初美は少年に命令した 「…それは出来無いよイヴ だって、もう貴方もヤミでは無いのだから それにね、イヴ 今の僕はヤミ・ヤーマ・アベル つまり、貴方を妻に出来る地位を手に入れたんだよ ヤミ・ヤーマ・アダムから力を授かってね」 少年は語った そう、この少年こそイヴやリリス達同様、ヤミ・ヤーマの洗礼を受けた神の一人だった 彼の名はアベル そして彼が手にする巨大な剣こそが、イヴのアイテムである聖剣エクスカリバーである エクスカリバーはイヴが聖戦の本に入った際、ジャンヌ・ダルクと名乗っていた時代に愛用していた剣であった。 イヴ消滅の16歳の誕生日、聖戦の本に置いて来た筈だったが、恐らくアベルが奪い去ったのであろう。 「ヤミ・ヤーマからですってーーー」 リリスは思った、既にヤミ・ヤーマが姿を消し数百年、今まで全く反応が無かった だが今更どうして…と 「とにかく、ミルカちゃんを放しなさいアベル」 初美はアベルを睨みつけ命令を続けた 「分からない人だな〜 僕はもう貴方の命令に従う必要は無いんですよ それに、ほら」 「んぐーーー」 ミルカの首に剣を向けるアベル 「この小娘の命は今僕の手の中にある事忘れないで欲しいね」 そう言った瞬間 「でぃやーーーーーーー」 ケンちゃんの頭突きがアベルに炸裂する 「くはっ」 アベルが怯んだ瞬間だった 「ガルルル−−−−!!」 ミルカを追ってきたラスカレスがアベルに襲い掛かる 「くっこいつ! ん…あのナイフは… ふふふ…はははははーーー まさかこの世界にあったとはね 飛んで火に入る夏の虫とは、正にこの事だね」 その瞬間伊織はヤミの帽子を被りリリスの姿に戻る 「ジョウ・ハーリーが戻ればこっちの物よっ!! ラスカレス!!」 「ガルルルルルーーーー」 ラスカレスの首にかけてるナイフが輝き、ラスカレスを包む 次の瞬間ラスカレスは神獣の姿に変身した 「ガルルルーーーー」 ラスカレスは展開した太陽の剣を口に咥え、アベルに突進した…が ガキーーーーン アベルの聖剣エクスカリバーが空を裂く 「ちっ どーやら、武器じゃそっちに分があるようねー でもねーー甘いわっ! 行くわよララ! ミルカ召喚!!! …って!ミルカ呼べないじゃ無いのよーーー」 「はい、恐らくはアクセス先のネットワークが何者かに操作されているようです」 リリスの持つ巨大な本、テスタメント・イヴの主であるララが答える 「ほほーそれが、テスタメント・イヴか… こんな事もあろうかと思ってね、ちょっと細工をしたんだよ」 アベルが不敵に笑った 「くーーあんたの仕業ね…ちっ こうなったら、アレを呼び出すしかないか…」 「葉月ちゃん大変なの〜〜ミルカちゃんが変態男に連れら去られそうなの〜」 初美は携帯電話で葉月を呼び戻していた 「あ…その手がって」 その瞬間、アベルはミルカを連れ姿を消す ラスカレスは消え去る瞬間襲い掛かったが、既に姿は無かった 「うぅ…完全にあたしらの負けじゃん」 「でも、ジョウ・ハーリーがこちらにあるわ そう簡単にミルカちゃんをヤミに仕立て上げる事は出来無いと思うけど」 初美珍しく冷静である… 「初美ーーーミルカは無事か!!!」 ものの数分で戻って来た葉月 刀が展開されてる事から、覚醒して飛んできた様だ だが、既にそこにはミルカの姿は無く… 「くそっ一歩遅かったか…ミルカ… ラスカレス… 大丈夫、ボク達なら必ずミルカを取り戻せる」 葉月はラスカレスを気遣い言葉をかけた 「で、伊織とラスカレスがその姿になってるって事は、 こっちの問題にミルカが巻き込まれたって事だね」 葉月の言葉にリリスは頷く 「葉月…聞いて欲しいの ミルカをさらったヤツは…」 リリスは経緯を葉月に話した 一同は今日は学校を休み、ミルカ救出作戦を考え始めるが… 何故か初美がおもむろにTVをつけると 「たたたた大変です! 都内に突如現れた怪物の群れが人々を襲いだしーー あーーーここも危険です!一旦…」 ザザーーー 放送が一時止まり 「聞こえるか、リリスよ この小娘とこの世界の人間共を助けたかったら ジョウ・ハーリーを持って来て貰おうか おっと、ついでにお前達の所持しているイヴのアイテムも全てもってな」 それはアベルからの挑戦状だった TVで放送したと言うよりは、電波にメッセージを乗せた感じだった 「アイツがミルカを!!」葉月はTVを睨みつけた 「とりあえず、こうしちゃ居られないわね ララ、修復は終わった?」 「はい、リリス 一度呼び出した者であれば、そのネットワークから呼び出しが可能です」 「う〜ん数は少ないけど、皆に頑張ってもらいましょうか ではーーー 蓉子、クィル、藤姫、リツコ、レイラ、ラムロ、ドロシー、エニア、メイリン まとめて来ちゃってーーーーー」 「…リツコの応答がありません…恐らく違う世界に行ってるモノと考えられます」 「冷静な分析はいいからーーー」 「とりあえず初美、キミはここに居て 後はボクらが何とかするから」 「葉月ちゃん…今回は私も行くわ… 訳は話せ無いけど、あの子を止めないと」 「あの子…あいつの事か 初美…初美は誰にでも優しすぎるよ、あいつは人間じゃないんだ だから!」 「分かってるは…だってあの子は私が生み出した存在だから」 「初美…何を… 初美まさか…イヴの記憶が」 「ごめんなさい葉月ちゃん、隠すつもりは無かったの でも言い出せなくて…本当にゴメンナサイ」 「そうか…分かった、ボクがあいつを止めるよ でも、ミルカも初美もあいつには渡さない」 「じゃ、もう隠す必要無いわね ケンちゃん、コゲちび」 「あいあいさーーー」 「くきゅるくっきゅる〜〜」 コゲちびとケンちゃんは葉月の頭と肩に乗っかる 「知ってたよ、リリス」 「ほへ?」 「いや〜リリス姐さんー実は最初からバレバレでしてーなー 実は伊織はんの方にバレナイ様に気遣う方が大変だったんですわ」 「あんた達…」 少し嬉しいリリスであった 「葉月、おでこちゃん行くわよ」 「あぁ」 「えぇ」 「ガルル!」 葉月一行はアベルの下へ向った 「そうそう、葉月ちゃんこれ」 「え?これ初美がくれたうさぎのぬいぐるみ…どーしてこれを」 「あーそれね、それもイヴのアイテムの一つなのよ ちなみに、葉月の足の包帯も おでこちゃんのリボンも、葉月のペンダントも懐中時計も そして、この本もね イヴのアイテムは全部で12個 ウチ実は11個まで、あたしらが所持してんの」 「そうなのか?」 葉月は不思議そうに言った 「まー葉月が本の世界で頑張って集めたのが殆どなんだけどね」 「うん、凄く嬉しかったよ葉月ちゃん」 初美は葉月の腕に抱きつき、本当に嬉しそうにしていた 「あの時は必死だったから…」 葉月は複雑な気持ちだった そう、それを集める事でイヴへの道が生まれた だがそれは同時に自分がイヴを殺す結果となった その時葉月は思った 今のこの偽りの幸せと、もう一度向き合う時が来たのだと そう、ボクがこの手で一度お姉ちゃんを… そして葉月は恐らく全ての答えが待つであろうアベルの元へ急いだ 都内ではリリスの召喚した本の住人達が怪物達と戦っていた 「妖狐メイリン様の術をくらえーーー」 「おいお前!派手なだけな技は止めろ!こっちにまで飛び火するぞ!」 「ムキーーおばはんに言われたくはないわーー」 蓉子とメイリンはいがみ合いながらも、絶妙なコンビネーションで敵を倒す 「空の精霊達よ、人々を守る盾となれー」 クィルの術により、人々が怪獣達の二次災害から守られていた 「えーいえーい! ラムローこれで、あたしは26匹めよー」 「甘いなレイラ、オレは31匹だぜ」 「どーせラムロの事だからザコばっかりでしょー」 「キミ達ケンカしてないで、次来るよ!」 ドロシーの指示で後方支援を担当する宇宙銃使いのレイラ達 「忌まわしき邪悪なる怨霊たちよ、消えないさい!」 藤姫の気合により怪物達怯むも、すかさずサムライ軍団が切り刻む 「藤姫様ーーこちらは粗方片付きました!!」 「ご苦労です、皆の者 葉月さまの世界のピンチなのです、今度は私達が葉月さまを手助けするのです」 「承知!」 藤姫とサムライ達は一番の活躍を見せていた 「くそーーキリがねー」 この事態を都内マンションに住む羽山にとっては死活問題だった 「って、こいつらなんなのよーー」 鈴菜が叫ぶ 「オレが知るかよ!」 その時空から、女悪魔が降り立つ 「流石の羽山も苦戦してるようだな」 「千賀子!」 エニアとなった千賀子は羽山達の元に駆けつけていた 「んーん〜〜」 水菜は嬉しそうだった そして葉月達は 「葉月お嬢様こちらです」 ズガガガガガガガーーーーー 次から次にマシンガンを連射し葉月達に道を作るのは、知美であった 「ところで知美…その武器なんだけど」 「はい、父の趣味です」 「そーでなく」 近代兵器を自在に操る知美の方に驚いていた葉月であった 「まー何はもとあれ、らくちんじゃん」 楽観的なリリス… 一方アベルとミルカは 「さーて、小娘 さっきの力見せて御覧よ…さー」 アベルがミルカを拷問していた 既にミルカの服は切り裂かれ、切られた肉からは血が流れていた 「あんたなんか、葉月に倒されちゃうなのー」 少し怒ったアベルがミルカを叩きつける 「ミルカは平気なの…おばあさんの虐めで慣れてるなのー」 「はっくしょん」 「初美?風邪か?」 「んんん、大丈夫よ葉月ちゃん ミルカちゃんが心配?」 「うん、虐められてないか…心配だよ」 「でも大丈夫よ、ミルカちゃんはちょっとやそっとじゃ 全然平気だから だって昔私が…」 「え?初美何か言ったか?」 「んんん、何でもない (と言うか〜昔調子に乗ってミルカ虐めまくったから〜 アベル程度の拷問じゃ〜全然平気なのよね〜 もっとも、調子こき過ぎてこの虎くんに食べられちゃったけどね〜 わ・た・し〜〜〜あ〜〜んいや〜〜ん)」 既に壊れた初美であった 「くそっこの小娘!! ハァハァ…くそっ泣きすらしねー」 アベルがこれでもかって程ミルカを痛みつけたが、ミルカは平気な顔をしていた 「ミルカのおばあさんは今の1億倍は酷いなのー! だから、あんたなんかの攻撃じゃミルカ全然平気なのー」 こいつどんな虐め受けてきたんだ…と思った瞬間アベルが昔のトラウマを思い出した まさか…こいつはあの鬼より怖いイヴの仕打ちを受けてきたんじゃ… アベルは子供の頃しつけと題して、イヴの有り得ないほどのいじめを受けていた それを思い出した瞬間、背中が凍る想いだった… アベルはミルカを解放した 「お前も苦労したんだな…僕には分かる…」 ミルカに同情したアベルだったが、次の瞬間 ガブ!! 「いってーーーーーーーー」 ミルカがアベルの腕に思いっきりかじりついた! その勢いで、アベルは剣を落としてしまう 「貰い…なのーーーー」 ミルカは今まで拷問を受けていたとは思えないほどの俊敏な動きで アベルの剣を引きずり奪う! ちゅーか、ミルカ本当におばあさん(イヴ)に虐められまくったんだな〜と これが前世の記憶であるにも関わらず覚えてる由縁なのかもしれない… 「返せ! それはお前に扱える代物では…」 そう言った瞬間ミルカの体が光り出す、そして 「ここは貴方方闇の一族が手出しできる世界ではありません 自分の世界に帰りなさい!」 美しい女性に変身したミルカがアベルに言い放つ 「キサマ…光の一族か! だが甘い!!来い暗黒の狩人達よ!」 アベルは天に手に翳すと、空から無数の帽子の化け物たちが降りてくる そう、ヤミの使い魔である狩人と同質の無限存在である 狩人とは、ヤミが世界を管理する時に使用する、ヤミの帽子を少し小さくして 頭のトンガリから鎌の生えた生物だった。そう丁度コゲちびの姿によく似ている だがアベルが呼び出したのはそれより更に一回り大きく、 悪魔ちっくなデザインに変更された暗黒の狩人と呼ばれる存在だった 「忌まわしき狩人達か… はーーーはっ!」 ミルカから光が放たれ、次々に暗黒の狩人達は消滅していく が、無限に現れる狩人達に手が回らなくなるミルカ 次の瞬間 ガシャーン ミルカが奪った聖剣が奪われてしまう そして、同時にミルカも子供の姿に戻る… 「そうか、こいつの力で一時的に覚醒したのか まぁいい どのみちこいつはヤミには出来無い、ならいっそここで殺して」 そう言い剣をミルカに振りかぶった瞬間 神獣形態のラスカレスがアベルに襲い掛かる 「くっもう来たのか」 「待たせたわね!アベル」 「約束通り来た様だなリリス」 「ミルカーーー大丈夫かミルカ!!」 「葉月〜〜怖かったなの〜〜あいつ、ミルカが止めてって言うのに いっぱいいっぱいミルカを虐めたなの〜〜 でもミルカ怖かったけど、葉月とラスカレスが来てくれるって信じてたなの〜」 と言うか、さっきまでもっとやってみなさいよーとばかりに上位に 立ってたのは何処のどいつだと…やるなミルカ 「キサマ!! よくもボクのミルカを!! 生きて帰れると思うなよ!!」 葉月は凄まじい形相でアベルを睨みつける アベルは半分誤解だと言いたかったが、葉月の後ろに隠れて あっかんべーをするミルカを見てぶち切れていた 「いいのか、お前達、外にはたくさんの怪物達が」 「葉月お嬢様!外の怪物達の一掃終わりました」 知美が戦車部隊を引き連れて報告した 当然戦車部隊の隊長は… 「葉月最高司令官に報告であります ミリタリーちびリリス軍は敵怪獣軍団の殲滅に成功したであります」 「うむ、ご苦労だったミリタリーちびリリス軍曹!」 葉月はミリタリーちびリリスに感謝の敬礼をした 「って何であたしが二等兵なのよぉー」 セーラーちびリリスが嫌そうに言った… 「怪獣軍団を全て倒しただと… ふっまぁいい、どーせ適当に繋げた世界から呼び出した下等生物達だ」 「そうやって、色んな世界を滅ぼしたのか」 葉月は言った 「あぁそうさ、所詮僕ら神にとって世界なんでただの遊び道具さ」 次の瞬間アベルは葉月によりボコボコに吹き飛ばされる 「くはっーーー」 「キサマの様なヤツは絶対に許せない! ボクら人間は確かにちっぽけな生き物かもしれない でもな!皆懸命に生きてるんだ! ボクらはお前達神の玩具なんかじゃない!!!」 葉月の叫びがこだまする… 少々初美には痛い言葉だった 「はーはー 流石はイヴの血を受けた人間と言う事か 丁度いい、お前に新しいヤミになってもらおう! 来い暗黒の狩人共よーーリリスよりジョウ・ハーリーを奪い取るのだ」 アベルの号令で無限の暗黒の狩人達がリリスを襲うかに見えたが 「甘いわねぇ〜 あたしを誰だと思ってるのよーー!! 魔界の魔王も尻尾を巻いて逃げ出す!大魔王リリス様なのよーー」 次の瞬間リリスの呼び出した無数の狩人達が、アベルの暗黒の狩人達を喰らい始める 「なんだと!」 「あんたの暗黒の狩人はしょせんパチモン 大昔、どてらチビリリスが作ったレプリカに過ぎないのよー」 「くそーーならば、これならどーだ!!」 アベルは聖剣エクスカリバーを振りかざし、狩人達をなぎ倒す 「ふふふ、こちらにはコレがあるんだ負けはしない!」 「リリス、このままではリリスの体が」 「分かってるはララ…こっちの世界で狩人を使うと…うっ」 リリスは遂に倒れこむ 「リリスーーーー!」 葉月の叫びも虚しく、リリスからジョウ・ハーリー(ヤミの帽子)が奪われてしまう 「伊織さんを放しなさい!!」 知美の銃弾がアベルに放たれる…がだ 「五月蝿いハエめ はっ」 アベルの衝撃派が知美を襲う…がそれを葉月が受け流す 「ほほー流石はイヴの手篭め」 手篭めってあんたねーと初美が嫌そうな顔をする 「葉月…御免…ちょっちヤバイかも」 リリスはジョウを奪われ、力尽きアベルに捕まる 「東葉月と言ったか お前をヤミにしてやる もっとも断れば、このクズのリリスがどーなるかは分かってるんだろうな」 アベルは今までのうっぷんを晴らそうと必死だった もとい、本来の悪役の顔に戻っていた 「リリスをクズ呼ばわりなんてさせない! リリスはなーリリスは ボクにとって大切な女性(ひと)なんだーー その汚い手を放せ!!」 「それはヤミを受け入れると解釈していいのかな?」 「あぁ受け入れてやる だからリリスを返せ」 「面白いよ、人間ってヤツは こいつが本来人間達に何をしてきたかも知らないで そうだ、イイ事教えてやるよ、 このゴミはな…お前達人間を面白可笑しく戦争させて それでどっちが何人殺すかなんて、賭けして遊んでたんだぜ それだけじゃない」 アベルは嬉しそうにリリスの過去の非道の限りを言い続けた 「もう止めて…御免なさい葉月…葉月 本当はリリスちゃんは葉月の側に居てはいけない んん、そんな権利なんて持ってなかったの」 「もういい」 葉月は拳から血が出るくらい握りしめうつむきながら言った 「そうそう、これなんか傑作だぜー こいつらはな〜自分達で作った妖魔達をなー」 「もういいって言ってるだろ!!! 五月蝿い黙れ!!!!!!!!!!!!!」 葉月の渾身の拳がアベルの顔面にヒットする アベルはこれでもかと言うくらい吹き飛ばされ地面に何度も何度も転がり回った 「葉月やったなのーーー」 ラスカレスに跨り嬉しそうにガッツポーズを取るミルカ 「リリス…」 「葉月…」 「いいんだ、過去がどうであれ、リリスはリリスだ ボクには分かる、リリスが意味なく人を殺したり ましてや、人の死を酒の肴にするような人じゃないって 分かってるよリリス…だからボクは」 葉月のセリフに…うわー実は自分が全部ふっかけてやらせてたなんて 死んでも言えねーって言うか、すげー自己嫌悪と思う初美であった が、当然そこは笑顔で「そうよお姉ちゃんは悪くないのよ」と励ました 当然だ、お前が全部悪いんだから 「くくくく… 今のはちょっと痛かったぞ まぁいい、お前がヤミになったら その美しい躯でお返ししてもらうから」 葉月は次の瞬間背筋が凍った めちゃくちゃキモーーーと そして、いやヤル(殺す)なら今しか無いとばかりに アベルに斬りかかった 「甘いよ、甘い」 アベルが葉月の一撃をエクスカリバーで受け止めた そしてその時の衝撃で、葉月の刀にヒビが入る… 「んなっ…ヤツの剣は そうか、イヴのアイテム…でもボクのだって」 「不思議そうだな〜東葉月 同じイヴのアイテムなら力は同じだと思ったのだろう だが、所詮武器なんてものは扱う者の技量次第なんだぜ もっとも、お前の一撃があまりに強烈故にそのヒビが出来たんだから 人間にしとくのは勿体無いほどの腕だぜ、お前は」 「くそっ!」 葉月は身構える 「さて、約束通りヤミになってもらうぞ東葉月 もっとも、僕の言いなりになる肉奴隷のヤミにだがな」 そうアベルが言った瞬間 ヤミの帽子とマントが葉月にまとわり付く 「さぁ4代目ヤミの誕生だーーー 目覚めよ!リリン・カルディナス!!」 ジョウ・ハーリーを身に纏い その美しくも気高い歴代最強のヤミが今誕生した 「我は、4代目ヤミ リリン・カルディナスである」 「葉月ーーーーーーー」 リリスの叫びが大空にこだまする 「はははははは! これでいいのだこれで、 さぁイヴ!今こそ僕の復讐を受けてもらうよ!!!」 空はまるでこの瞬間を待っていたかのように 黒ずみ、落雷が辺りに鳴り響いていた -------------次回予告 ヤミと帽子と月影の少女第12話『セイレン』 貴方は神なんかじゃ無いわ だって貴方は私達が造った… お前は…カイン 生きていたのか… これで終わりにしよう さようならアベル アベル…バカな子 所詮子供は親には勝てないのよ そうでしょリリス 今イヴの12のアイテムが揃う 私はイヴ、世界を生み出しし者 伊織!最後に言わせて ボクは伊織が!! 決着と別れ 今歴史が動く 次回ヤミと帽子と月影の少女第12話『セイレン』 葉月ちゃん、貴方が求めてるものは最初から貴方の中にあるのよ さよならリリス セイレーーーーーン!!! |