ヤミと帽子と本の旅人〜ショートストーリーズ〜

ヤミと帽子と本の旅人より〜未だ見ぬボクを探して〜
作者:SOLさん

ヤミと帽子と本の旅人より〜【未だ見ぬボクを探して 第六話『対峙』】


『もう一人の葉月』を追いかけて辿り着いた世界は、意外にもボクの馴染みの場所だった。

「(ここは・・・学校の屋上か?)」

間違いない、ボクがいつも昼食をとる数少ない憩いの場・・・
夜の屋上に忍び込んだことは無いけど、ボクがこの景色を見間違うはずない。
ただ、ここは『ボクの世界』とは違う様だ・・・ボクの刀も身体能力も元に戻らない。
不気味なほど大きく輝く三日月が、周囲を仄かな薄黄色に染めていた。

背後に気配を感じ振り返ると、給水塔の上に黒い影が立っていた。
それは・・・漆黒の制服を纏った『もう一人のボク』だった。

当たり前かもしれないけど、『彼女』はボクと瓜二つだった。
一房に纏めた三つ編みが、時折の突風に大きくなびいていた。
ボクに興味を注ぐ瞳は、月光を反射し金色に輝いていた。
この状況は予想していたはずなのに、いざ直面すると何をすればいいか判らなかった。
暫く見つめあった後、『彼女』の方から口を開いた。

【まさかキミの方から僕を見つけてくれるとはね...手間が省けたよ。】
「君が、もう一人の『葉月』なのか?」
【......。
 悪いけど、名前で呼ばれるのは嫌いなんだ...どういう訳か...判らないけど。】
「・・・・?」
【それに、僕達の様な『思念体』に与えられた名に....何の意味がある?】

「・・・・え?」

【黄色いカレに聞いたとおりだ....キミは何も知らないんだね...僕等の運命も....】

「ボクらが『法則』によって消されることか?」
【そうさ、あのイブとリリスのお陰でね....】
「?・・・・、キミは『初美』を知ってるの?」
【ハツミ?、ああ...イブの仮の名か...忌々しい名だ...】
「なっ!?」
【キミはリリスと一緒に旅していたようだけど、
 リリスはずっとイブに対して恨みを抱いていたんだ、それは知ってるよね?】

「・・・・・・。
 君が何を言ってるのか判らないけど、とにかく元の世界に戻ろう?
 ボク達が元の世界に戻れば、消えないで済むんだろ?」
【フッ...やはりキミは何故、自分が存在しているかも知らないんだね?
 僕達に帰る世界など無いのに...】

何を言っているんだ、コイツは?
それに、リリスの話と随分食い違っているのは一体?

【ところで、これはキミの友達だろう?、よくキミの話を聞かせて貰ったよ...】

『彼女』は背後から鳥籠を取り出した。中にはムチムチ黄色饅頭こと、ケンちゃんが収められていた。
逆さ吊りにされているのは良いとして・・・・、傷だらけの鳥肌が痛々しい。
『彼女』は妖しく微笑んだかと思うと、鳥籠に向かって話しかけた。

【黄色いキミにはもう用が無くなったよ.....ここで、お別れだね?】
「ちょ、ちょっと、命ばかりは堪忍・・・」
【フフ...、そぅらっ、受け取れ『葉月』!!】

言うと同時に『彼女』はボク目掛けソレを投げつける!
避ける事は容易い・・・でも、このスピードで激突すれば、ケンちゃんは無事では済まない!
迫る鳥籠を半身で躱しつつ左手でキャッチする!

「・・・・っっ助かった、って、危ない葉月はん!」

鳥籠を囮に『彼女』が飛び込んで来ている!、鞘を頭上に構え『彼女』の剣撃を受け止める!
一瞬静止した『彼女』は空中で回し蹴りを放つ!、ボクはすかさず肘で打ち返す!
着地した『彼女』は身を低くし、ボクの脇腹に斬り上げる!
ボクはその場で跳躍して躱すと、『彼女』の頭上を飛び越えて、はるか後方に着地し間合いを取った。
急いで鳥籠をこじ開け、ケンちゃんを自由にする。

「今のうちに逃げろ・・・、ボクもあいつに勝てるか判らない。」

『彼女』はゆっくりと振り返り、手に持った刀、正確には柄の付いた細長い『水晶』を無位に構えた。
その30センチ程の『六角柱』に『彼女』がソーマを籠めると、途端に『ソーマの刃』を形成した。
薄暗い世界の中でその刃は、『真紅』の三日月の様に妖しく輝いていた。

「葉月はん、あいつはヤバイで、あいつ、イブの嬢はんを殺す気や」
「なっ?!」
「その理由が半端やない・・・、あいつはな、って来るでぇ!!」
「!?」

警告前にボクは殺気で振り向いた。刀の間合いじゃないのに、この殺気は?
『彼女』は刀を鞘に収め居合いの構えを取っている。鞘から不気味に溢れる『真紅のソーマ』

「あ、あれや、あの紅いソーマを使い始めたら用心せな」
「来るよっ、しっかり掴まって!」

『彼女』は気合と共に抜刀し無数の光の輪を放つ!その真紅の光輪は嫌な音を立てボクに襲い掛かる!
跳んで躱すか・・・いや駄目だ。『彼女』はその隙を狙ってる!
ボクは各個のスピードを見極め手近なヤツから薙ぎ払う!、次々迫る光輪を続けざまに叩き落す!

さらに『彼女』自身が踏み込んできている。ボクも距離を詰めて迎え撃つ!
互いの『得物』で間合いを見切り、ボクと『彼女』は同時に跳躍した!

「ハァアッ!!」
【イァアっ!!】

絶叫と共に『紅』と『白銀』の三日月が閃き、二つの影が交差する!!

・・・・・!!

ボクと『彼女』はフワリと着地して向き直ると、互いの首筋に浮かんだ かすり傷を見つめ合った。
危なかった、一瞬でも跳躍が遅れたら・・・・首から上は無くなっていた。
それなのに・・・『彼女』は依然として微笑みを絶やさなかった。

【フフ、『緋旋』を躱して僕に傷をつけるとはね....少しは楽しめそうだな...】

ボクは、腰が抜けて飛べなくなったケンちゃんを焚き付けた。
「逃げろっ、早く!!」

「わ、判った、すぐリリス姉さんを呼びに行くさかい、それまで・・・」
「リリスならすぐに来る。だから、巻き込まれないうちに逃げろ!」

「なら・・・彼女が刀を『大きく』振り上げたらスグサマ逃げ、、わぷっ?!」
ボクは有無を言わさずケンちゃんを掴んで次元の裂け目に投げつけた。
もう『彼女』が地を這う様に突っ込んできている!

『彼女』は間合いの直前で刀を振り上げる!
ボクもタイミングを合わせ、その一撃を受け止める!
バチンッという金属音を合図に、鍔迫り合いに突入する。
パワー勝負はボクが僅かに勝っている・・・ボクは『彼女』をギリギリと押し込める!

しかし『彼女』はボクの刀を器用に捌いて受け流し、上体の流れたボクの肘関節を極めに掛かる。
咄嗟に肘を庇いつつ、そのまま右肩の当身に切り替える!!
それをユラリと躱した『彼女』は、柄を握った拳でボクの左肩に一撃を加える!

「痛ッ・・・。」

不発の体当たりと『彼女』の一撃でボクは完全にバランスを崩した。
次の瞬間『彼女』の左足が、大きく弧を描きボクの脇腹にめり込んだ!

「かはッ・・・!」

ボクの体は衝撃で浮き上がり、宙を漂い校舎の床に崩れ落ちた・・・

直撃の瞬簡、飛び退いたハズなのに、この威力・・・横隔膜を強打され満足に呼吸できなかった。
強い・・・身体能力なら互角だけど、格闘術とソーマではかないそうにない。
それに『彼女』はまだ余力を残している・・・・その証拠に追い討ちにも来ない・・・

だけど、今の立ち合いで判った・・・・ボクにも 勝機が無いわけじゃない・・・
さっきの蹴り・・・タイミングは完璧なのに、ボクには全て見えていた。
『彼女』はボクより随分おそい、ボクの付け入る隙が、そこに有る!

呼吸を整えたボクは、冷たく眺める『彼女』に対し円周状に走り出す。

【フッ、背中から狙うつもりか?....古典的だね。
 でもね....どう足掻こうが、君の運命は決まってるんだよ!】

『彼女』はボクを追って走り出す。ワザとスピードを落とし一定の距離を保って平行に走る。
背後を取るつもりじゃない、むしろボクの狙い通りだ。

「(追って来い・・・、あの場所へ。)」

ボクと『彼女』はそのまま並走し壁際で対峙する。
立ち止まったボクに『彼女』が飛び掛かってくるけど、ボクも真っ向から受け止める。
今度は激突の瞬間わずかに身体をずらし、重心のブレを利用して彼女を斜めに弾き飛ばす。

【クッ...】

ボクはその一瞬を逃がさない。首、脇腹、膝といった急所目掛けて最速の斬り込みをかける。
反応するのがやっとの『彼女』は、その全てをギリギリのところで受け止め、次第に後退し始める!
そして、遂に追い込んだ。後ろは金網、横は壁、ボクは勝利を確信する!

ボクは校舎の壁を蹴って飛び掛りつつ払い斬る!、それを『彼女』は必死で受け流す!
すかさず着地し前方の金網へ跳んで蹴上がり、上空で回転しながら『彼女』の背中に斬りつける!
『彼女』は咄嗟に地面に身を伏せて躱す!
ボクは空中で転身し壁面を蹴ると、伏せている『彼女』目掛けて全身で突きを繰り出す!
うつ伏せの『彼女』は何とか横転で避けると、腹這いにヨロヨロと立ち上がる。

「(この速度で、多方向から急角度で攻め続ければッ!)」

それを察知した『彼女』は苦し紛れに上方へ跳躍する!、だけど、それこそが真の狙いなんだ!
タイミングを見計らい、ボクは金網、壁と駆け上がり、『彼女』の背後へと跳躍する!
重力と釣り合い、空中に釘付けになった『彼女』の後頭部めがけ、ボクは体のバネを振り絞って叩き付ける!!

「フッッ!!」
【チィッ!!】

この一撃も『彼女』は頭上で受け止めるが、ビリヤードの様に弾かれ地面に落下していった。
ボクは空中で体勢を整え、そのまま直角に近い角度で急降下する!!
地面に直撃こそしなかったものの、『彼女』は着地の衝撃で体勢を崩している。

ボクのスピードは加速度的に増加し、高潮したボクの気合は絶叫に変わっていく!!

「ハァァァァアッッ!!!」

殆ど制御できないスピードを無理やり捻じ伏せ、『彼女』の首筋めがけて渾身の力で薙ぎ払う!!
無理な体勢の『彼女』は、ボクの斬撃を受け止める以外、術は無い!
激突の瞬間 ガギンと音が響き、『腕力』と『重力』がボクの剣先に集中する!
パキンという悲鳴と共に『真紅の刃』はガラスの様に砕け散る!

「(ボクの・・・・勝ちだ!!!)」

そう思った瞬間、『彼女』は剣筋に平行に身体をひらき、首筋に迫る刃を薄皮一枚ですり抜けた。
切り裂いたのは『彼女』の黒いスカーフの結び目だけだった・・・

ボクは着地すると転身しつつ、再び彼女を逃がさないように間合いを詰める。
それでも『彼女』はこの『結界』から逃げられない、まだボクが有利な筈なのに・・・

「・・・・?」

この状況であっても『彼女』は未だに微笑みを絶やさなかった。
切り裂かれたスカーフの結び目を左手で引き千切ると、『彼女』の胸元が大きく開かれた。
『彼女』はそのままスカーフを引き抜き、風の中に捨て去った。

「何が可笑しいんだ!」
【フフッ...嬉しいよ『葉月』、キミがここまでしてくれるとはね。
 この快感は、あの妖魔を仕留めたとき以来かな?...確かセイレンとか言ったっけ。】
「なっ・・・!」

【彼女のソーマは最高だったよ?...でも、キミのソーマはもっと素晴らしいだろうね。】
「なんて事を・・・!!」
【当然だろ?、僕らリリスから生み出された『思念体』同士、
 『永遠の存在』の座を賭けて最後の一人まで戦うのが宿命、それが世界を纏めるって事だろ?】
「何を言ってるんだ?!」

【フッ、そろそろお喋りも飽きてきたし....続きと行こうか?】

そう言って『彼女』は、禍々しく輝く刀身を『大きく』振り上げて上段に構えた。


ボクは『それ』を見て、我が目を疑った。


『彼女』の手元からは、直径1m、長さ10m以上の真紅の円柱が暗天に向かい聳えていた。
それは『彼女』が『ソーマ』で作り出した刀身だった。
幼い頃に見上げた『煙突』の様に、それは絶望的な威厳をボクに誇示していた。

【僕の最強剣技『紅闇鎚』....その華奢な身体で、どこまで耐え切れるッ?!】

『彼女』はボク目掛けて、その巨大な刀身を振り下ろす。
それはもはや『斬撃』ではなく、『巨木の倒壊』にしか見えない!
ボクは咄嗟に横に飛び、軌道から逃れることが精一杯だった。

ドゴォッという音と共に、『真紅の刃』は校舎の中に苦も無く埋まっていく。
そこには『斬った』のではなく、『えぐり取った』無残な傷跡だけが残されていた。
刃の角度から判断する限り、この校舎を両断している。

なんて・・・・ヤツだ・・・・
直撃はもちろん、一撃でも受け止めれば終わりだ!!

向き直った『彼女』は、ボク目掛けて校舎の中から真紅の刃を引き上げる!
まるでコンクリートをビスケットのように砕き、足元から紅い衝撃がボクを襲う!
咄嗟に宙に逃れたものの、舞い上がった瓦礫に当てられてボクの体力は確実に削られる。
校舎はV字型に無残に抉られ、支えを失った床面は重力に引かれて崩れ落ちていった。
たった、二振りで校舎を半壊させてしまった。
まるで隕石でも直撃した様な この光景を、目の前の『少女』が引き起こしたと誰が考えるだろう?
未だに噴煙の立ち上る『傷口』を挟んで、ボクと彼女は再び対峙する。

【どうだッ、僕の『紅闇鎚』の威力はッ?!
 これなら、あのイブだって...確実に仕留められるッ!!】

目の前の光景に度肝を抜かれていたボクだったけど、『彼女』の言葉で心に火が灯る。

「『初美』を殺させやしない・・・命に代えてもボクが守るッ!!」
【フン...ヤツがキミにとって、どれ程の存在だっていうんだッ?!】
「『初美』は、ボクの全てなんだっっ!!」
【フフ...やはりキミは『イブへの愛』か...面白い!!】

ボクは肩を落とし横へと走る。『彼女』は空へ舞い上がりボク目掛けて突っ込んでくる。
太刀筋を予測して、ボクは再び真横に跳躍して避ける。
それでも彼女はお構いなしに、ボクが居た場所向かって問答無用に斬り付ける!!
『彼女』は校舎を両断しながら地面に消えていき、そこから更に粉塵が舞い上がる!

無茶苦茶だ・・・ボクがどう動くかなんて、まるで考えていない!!
『彼女』に間合いなんて関係ない。力任せに叩き潰しているだけだ!
とにかく、あの『紅闇鎚』を躱してボクの間合いに入り込まないと・・・・勝ち目は無い!

その瞬間、足元が嫌な揺れ方をし始めた・・・破壊し尽くされ、支えを失った校舎が崩れ始めたのだ。

ボクは咄嗟に『彼女』が立っていた給水塔の上に避難する。
そこには『彼女』の荷物と共に一冊の『紅い本』が置かれていた。

「(何故だ・・・・こんな時、この本に『初美』を感じるなんて?)」

ハッとして振り返る。粉塵の中から襲い来る龍の様な一閃!
ボクは、咄嗟にその本を引ったくり、間一髪で空中に逃れる。
その一閃は給水塔を、まるでコーラ缶の様に吹き飛ばした!
無残にひしゃげた給水塔は、空中に水滴を撒き散らしながら地面に落下していく。

「(しまった、これじゃ身動きが取れない。)」

空中に逃れてしまったことは、ボクにとって致命的だった・・・その状況を『彼女』が逃す筈がない!!
幾つかの瓦礫を駆け上がり、『彼女』はボクと高度を合わせた!!

【フフ....終わりだよ、『葉月』!!】

『彼女』は『紅闇鎚』で、ボクを、いやボクの辺りを適当に薙ぎ払った。
直撃の瞬間、ボクは刀に体重を預けて受け止め、衝突のエネルギーを逃そうと体を回転させる!
何とか刀身の軌道から逃れることはできたが、その威力まで殺すことはできない!
まるでコマの様に回転しながら高等部の屋上まで吹き飛んだ!
衝突に備え咄嗟に全身に『ソーマ』を纏う。
猛スピードでコンクリートに叩きつけられ、想像以上の激痛に思わず声を荒げる。

「ぐぅっ・・・・!!」

ボクは身動きも取れずに、瓦礫の中に埋もれていくしかなかった。
痛みを堪えて体を起こそうとするが、左足に特殊な激痛が走る・・・たぶん、骨が折れてる・・・
最悪だ・・・この足で『彼女』の攻撃は避けきれない。

ボクを追いかけて高等部の屋上に降り立った『彼女』はボク目掛けてゆっくり歩いてきた。
唯一の救いは、『彼女』の巨大な刀身が次第に小さくなっていったことだ・・・

【ン...ソーマ切れか....まあ良い】

無残な姿で仰向けになっているボクの傍らに、『彼女』は勝ち誇ったように屹立した。
勝利を確信したのだろうけど・・・・でも、このままじゃ死に切れない!

「君は、なぜ『初美』を・・・・・殺そうとするんだ?」

【フッ....それを教えないなんて、リリスも随分冷たいヤツだね?...だったら僕が教えるよ。
 僕はね?、リリスの奴がイブを恨んだり憎んだりした『負の感情』が具現化した『思念体』なのさ!
 長い年月をかけて蓄積した強い『想い』が、
 リリスの強大なソーマと融合し『僕』という存在を生み出したのさ!
 そうとも、僕の存在意義は唯一つ!、『イブを殺すこと』、それだけさ!】

「・・・なっ!!」

【...哀れだね『葉月』....
 いや、リリスが『イブを愛する想い』、それが具現化した『思念体』、そう呼ぶべきかな?】

「っ?!」

【フフ、あのイブを愛するなんて、キミはさぞかし報われなかったのだろうね、同情するよ。
 だから、僕がいま禍根を絶ってあげる....なに、心配は要らない。
 イブなら、その『紅い本』の中に居ることは判ってるんだから。】

あの時感じた『初美』の気配は、やはり本物だった。
ボクは、『紅い本』を胸に抱いて『彼女』から守ろうとする。

【僕に手を貸してくれれば、君の命までは奪わなくても良いんだよ?
 イブさえ殺してしまえば、僕は命に未練は無いんだ...本当さ...】

「初美を・・・・渡すもんか!!」

それを聞いた『彼女』はソーマの刃を形成した・・・ここで・・・終わりなのか?

【そうか....君らしい最期だね。
 君の事、好きになれそうだったけど、残念だよ。
 だったら.....さよならだよっ!、『葉月』!!】

ボクが目を覆った瞬間、上空から想像を絶するソーマの光が降り注いだ。
まるで稲妻の様な轟音と共に、ボクと『彼女』の間に『何か』が飛び込んできた。

「なっ・・・?」
【チッ....】

その轟音と共にボクの目の前に現れたのは・・・・
全身に緑光を纏った・・・リリスだった。


第七話『死線』に続く

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