連載小説
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…"それ"は、何の前触れもなく…幻想郷に降りてきた……

文「……これは、悪い夢でしょうか…。」
天から降りてきた"それ"は、人々を襲った。相手が人間だろうと、妖怪だろうと……関係なく襲い、命を奪っていく。白く染まった奴等の手によって、幻想郷が赤色に染められていく……


文の目の前に、先程戦っていた天使を含め4人の天使がいる。新たに3人、ここへ降りてきたのだ……
全員マスクは別だが、全体的に白いのと、羽が生えてるのは共通。そして、全員同じ散弾銃を持ち、銃口を文に向けている。


あぁ、皆さんが逃げ切る間…時間を稼ごうとしたんですけれどもね……これは、流石に…







「Die」


一斉に発砲する。
文「っ!!」
全員が、規則性がなく放った弾は避けづらい。何とか見切りながら持ち前の速さでかわし、天使達から逃げる。

「Chase」

天使達も文を追い始める。速さはある方だが、やはり天狗である文には劣る。

大丈夫…恐らく追撃はしてくるでしょうけど、避けていれば逃げ切れる…!
時間稼ぎも何もあったものじゃない…!里の皆さんが逃げ切るよりも先に、私が死ぬ方が先になりますよ…!!

後ろを見て、こちらに向かって発砲する瞬間を見るとそれに合わせて避け続ける。全員同時ではなく、一人ずつ撃っている…
前を見ると、森が見える…

あそこなら、木で視界も悪くなりますし弾幕も遮れる…!あそこに入りましょう…!

森の中に入り、後ろを見る。天使達も入ってこちらを追ってるのが見える。案の定、木が邪魔で上手く狙えておらず、先程よりも発砲回数が減ってる。

よし!これなら逃げ切れ…!





「Die」


文「…!!」
目の前に、天使が3人。恐らく、この森の中に降りてきたのだろう…こちらに銃を向けている。

ドンッ!!


文「くっ!!」
近距離で放たれた複数の弾幕を、間一髪避ける。一発頬をかすったため、頬から少し血が流れ落ちる…

一体、何人いるんですか…!!

文「これは、振り切るのに時間がかかりそうですね…!」





















同時刻、紅魔館にて

咲夜「お嬢様、お茶の準備が整いました。」
いつものように、白いテーブルクロスが敷かれたテーブルの上、ティーカップと、ケーキやクッキー等の洋菓子が置かれた三段のケーキスタンドが並べており、咲夜の手には紅茶の入ったティーポットがある。

レミリア「えぇ、ティータイムにしましょう。」
レミリアが席に着くと、咲夜がティーカップに紅茶を注ぐ。レミリアはティーカップを持ち、ゆっくりと紅茶を飲む。
レミリア「美味しいわ。いつもありがとう、咲夜。」
咲夜「いえ、もったいないお言葉…。」
フラン「お姉さま〜、お姉さまどこ〜?」
近くから、レミリアを探しているフランの声が聞こえる。

レミリア「ここよ、フラン。」
フラン「お姉さま、何してるの??」
ひょこっと顔を出すフラン。

レミリア「ティータイムよ、フランもどう?」
咲夜「おいしい茶菓子もありますよ?」
フラン「うん!私も混ぜて!」
フランも混ざり、ティータイムを楽しむ一同であった






ドオオォォォンッ!!


突如、館の中で爆発音が鳴り響く。場所的に、大広間だろう。
フラン「え、なになに!?今どかーんってなったよ!?」
フランと咲夜は、音がした方を向く。レミリアは飲み終えて空になったティーカップをテーブルに置いて、静かに立ち上がる。

レミリア「人のティータイムの邪魔をするなんて、余程命知らずのようね。邪魔をしたらどうなるか、たっぷり教えてあげないとね。」
レミリアは大広間へ向けて歩き始め、咲夜とフランもレミリアについていく。






大広間に着くと、そこには白い髪、顔や体に包帯を巻いている少女が、レミリア達の方を向いている。
レミリア「あなたね、さっきの爆発を起こしたのは。」
「………」
少女は何も喋らず、じっとレミリアを見ている。

レミリア「…喋る気は無い、ということかしら?」
咲夜「お嬢様、ここは私が。」
ナイフホルダーからナイフを取り、前に出る咲夜。

咲夜「お客様…この私、紅魔館のメイド長、十六夜咲夜がお相手いたしましょう。」
そう言い終わると、手持ちのナイフを少女目掛けて投げ、能力を発動して時を止める。飛んでるナイフも空中で止まり、その間に複数のナイフを投げる。

咲夜「能力、解除。」
能力を解除したため、時が動き出す。複数のナイフが、少女目掛けて飛んでいく。ナイフがある程度の距離まで迫ってきたとき、少女の目の前から白い結晶の壁が現れ、ナイフを防ぐ。
咲夜「結晶…?魔法でしょうか…?」

美鈴「はぁぁ!!」
大広間に入った美鈴が、少女目掛けて飛び蹴りを繰り出す。少女は攻撃を避けて、美鈴は連続で攻撃を仕掛ける。少女は結晶を出して攻撃を防ぐ。美鈴の力でも、ヒビ一つ入っていない。

美鈴「固い…!!」
少女から離れ、咲夜の近くまで退く。
咲夜「…美鈴、またあなた寝ていたわね。おかげで、厄介そうなのが、入ってきたじゃない。」
美鈴「…あんな異様な気を放つ人が門前にいれば、嫌でも気づきますよ。」
咲夜「…だとすると、門を通過することなくここに入ってきた…ということ…?」
恐らくは寝ていただろうが、美鈴は武道の達人。門前じゃなくても、ある程度の距離なら気づくはず…

レミリア「咲夜、美鈴、下がりなさい。」
レミリアが二人の前まで移動する。
咲夜「お嬢様…?」
レミリア「私がやるわ。久しぶりに面白そうな相手だもの…フラン、あなたも一緒に遊んでいいわよ。」
フラン「え、ホントに!?やったー!」
目を輝かせながら、レミリアの隣まで移動する。
レミリア「ただし、加減はしなさいよ?でないと、館がまた壊れるわ…。」
一応釘は刺しておいたが、恐らくは聞いていないだろう…

レミリア「さぁ、今度は私達が相手よ!!」
そう言って二人は、弾幕を放ちながら、少女を挟むように移動する。少女は結晶を出して攻撃を防いでいる。
レミリア「守ってばかりじゃあ、私達には勝てないわよ!!」
「………」
その言葉に反応したのか、少女は白い弾幕を全方向に放つ。
フラン「おっと!あはは!」
レミリアとフランは弾幕を避ける。避けられた弾幕は壁に辺り、広範囲に崩れる。

レミリア「…あれに当たったら、やばそうね…。」
フラン『禁忌「レーヴァテイン」!』
フランがスペルカードを発動、炎の剣を構え、接近して斬りかかる。少女は結晶で剣を作り、攻撃を防ぐ。
レミリア「あの結晶…フランの能力でも壊せないなんてね…。」
フラン「あはは、チャンバラだぁ!」
連続で斬りかかるが、すべて攻撃を防がれている。攻撃の隙を見て、フランを蹴飛ばす少女。

フラン「わぁっ!?」
レミリア『天罰「スターオブダビデ」!!』
フランが離れた直後、スペルカードを発動する。結晶の盾で防ぎ、剣をレミリアへ向けて投げる。レミリアはそれを避けて、ポケットからスペルカードを出して、フランも手にスペルカードを持っている。2枚のスペルカードが、同時に光だす…







フラン『禁弾「スターボウブレイク」!!』

レミリア『紅符「スカーレットシュート」!!』



二人同時にスペルカードを発動。放たれた複数の弾幕が少女目掛けて迫っていく…当たる直前まで、結晶を出す様子もなく直撃し、煙が上がる…

レミリア「結晶を出さなかった…?…まぁ、私達のスペルカードが直撃したんだから、ただじゃすまないでしょう。」
煙が晴れていき、少女の姿が見えてくる…






レミリア「…!!!」







そこには、無傷で立っている少女の姿があった。
レミリア「嘘でしょ…まともに受けて、無傷…!?」
「………」
少女の頭上に、光で出来た巨大な本が現れ、下側に開く。本から光が複数降り、少女の周りで留まる。



パチンッ

少女が指を鳴らすと、光が光線に変わり、凄まじい速さで全方向に放たれる。
フラン「わわっ、なにこれ!?」
レミリア「フラン!今は避けることに集中しなさい!」
二人とも間一髪で避け続ける…しかし、レミリアが光線を避けた先に、目の前まで光線が迫ってきていた…

しまった…!!



咲夜「お嬢様、危ない!!」
能力を使い、レミリアを庇う。光線は、咲夜に命中する。

咲夜「あ"あ"ぁ"ぁ"あ"あ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」
レミリア「咲夜ぁ!!!」
そのまま床に堕ちる。レミリアは咲夜を仰向けに抱える。
レミリア「咲夜!咲夜!!しっかりしなさい!!咲夜ぁ!!」
咲夜「…………」

「………」
残りの光をすべて集め、レミリアの方を向く…













文『突符「天狗のマクロバースト」!!』


紅魔館に侵入した文が、上空から少女目掛けて一斉に弾幕を飛ばす。少女に命中し、煙を上げる。

フラン「あ、あなたは…!」
床に着地する文を見ながらそう言う。文はじっと煙の中を見ており、煙も晴れていく……そこには、少女の姿はなかった…

美鈴「やったんですか!?」
文「いえ、多分逃げられました。何故かは知りませんが……それよりも…。」
気を失っている咲夜を必死に呼び掛けているレミリアを見る。

文「咲夜さんを安全な場所へ運んでください、手当てをしないと…。」



つづく






20/05/08 20:06更新 / 青猫
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