連載小説
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文「こんにちは〜、やってますか〜?」
幻想郷にある香霖堂にやって来たブン屋こと、鴉天狗の射命丸文。香霖堂の店主である霖之助は、いつも通りカウンターに座って何かの本を開いている。恐らくさっきまで、その本を読んでいただろう。

霖之助「やってるけど、ここは定食屋じゃないよ。」
文「知ってますよ〜、ちょっとやってみたかったんですよ!」
定食屋に入る感覚で入店した文にそう言って、文は笑いながら香霖堂に並んでる商品を見ている。
文「あ、いつものでお願いしまーす。」
霖之助「はい、カメラのフィルム定食ね。」
通い慣れた定食感覚でほしい商品を注文したため、霖之助もそれに合わせる。一旦本から手を離して、カウンターの近くからカメラのフィルムを探しに行き

霖之助「これから取材かい?」
並んでる商品を見て廻ってる文に、フィルムを探しながらそう尋ねる。
文「そうですよ、なかなかネタが無くて困ってますよ〜」
振り返り、苦笑いしながら答える
文「何か、いいネタありませんか?いろんな方が来店するんですから、面白いネタも仕入れられてるんでしょう?」
霖之助「生憎、品切れだね。」
期待の眼差しを向けていたが、ネタが無いことがわかるとわかりやすく落胆して再び商品の方を向く。

文「ですよね…やっぱ、地道に探すしか……ん?」
商品を見ていると、ある物の前で足を止める。並べられてる商品の端に、黒い石が置かれている…いや、形的に石と言うよりは結晶だろうか…?
文「霖之助さん、これ何ですか?」
霖之助「ん?」
カメラのフィルムを見つけたようで、複数手にした状態で文に歩み寄り、黒い結晶を見る。
霖之助「あぁ、それか。今朝、うちの前に落ちててね…綺麗だし並べようと思ってね。」
文「よく並べようと思いましたね…確かに綺麗ですけど。」
相変わらずだなぁ…と思いつつ黒い結晶を顔よりも高く持ち上げて、光に当てながら見ており

霖之助「まぁ、多分ただの石だろうし…無料であげるよ。」
文「あ、ありがとうございます〜」

霖之助「はい、丁度ね。」
フィルムの料金を受け取り、領収書を文に渡す。文は財布に領収書をしまい、結晶と財布を鞄の中にしまう。
文「次はとびきりのネタも、仕入れといてください!」
霖之助「いいのが入ったらね。ネタが入っても、他の子に先越されるかもしれないよ?」
文「それもそうですね…わかりました!毎日ここを張り込みましょう!」
霖之助「いやいや、刑事じゃないんだから…」
文「あんぱんと牛乳を持って!」
霖之助「本格的に刑事じゃん、あと最近の刑事はあんぱんと牛乳を持参しないよ。」
文「なんと!?衝撃事実…ネタにできそうですね…!」
霖之助(ネタに困ってなさそうなのに、何でネタに困ってるんだろう……)
あえて口には出さず、そう思った霖之助であった…

文「それじゃ、取材に行ってきます!」
霖之助「はい、いってらっしゃい。」
霖之助に向けて軽く敬礼しながら取材に行くと伝え、霖之助も椅子に座って軽く敬礼。文はそれを見ると笑みを向けて、香霖堂を後にした















文「ご協力、ありがとうございました!」
人間の里にて、いろんな人にネタ探しや取材をしている文。里を歩きながら、いつも使っている手帳を見ている。
文「んー…いくらか集まりましたが、インパクトがありませんねぇ……いえ、物騒なことがないのはいいことなのですが…。」
独り言を呟きながらそう呟く。ちょうど甘味屋の近くを通り、甘味屋に立ち寄る。

文「すみませーん、お団子を3つくださ〜い。」
甘味屋「はーい、ちょっと待ってね〜。」
団子の料金を払って団子を受け取り、店前の椅子に座って隣に団子のが3つ刺さった串が三本乗ってる皿を置き、一本手に取る。






服装や肌、髪などが白い…妖精と思われる人物が、うつ向いて歩いている。
「…ん?妖精?」
近くにいた男性が、その妖精を見かけると前に立ち
「お嬢ちゃん、前向いてあるかないと危ないよ?…何か、嫌なことでもあったのかい?」
目線を合わせるため、しゃがんで妖精の顔を覗き込む。



文「にしても、何か大きなことが起きませんかねぇ…そしたら霊夢さんや魔理沙さん辺り、取材ができるのに…そう、例えば…」





カチャ




文「異変とか起きて」


ドォンッ!!



文「…!」
最後の団子を口に入れた瞬間、里内で銃声が響き渡る。その直後、複数の悲鳴と逃げるような足音が聞こえてくる…
文「一体何が…!」
急いで音が聞こえた方へ走る。





そこには、白い拳銃のような武器を持つ妖精と、その横に頭のない人間の遺体が転がっていた…
文「…あなた、妖精ですよね?イタズラにしては、これは流石にやりすぎですよ。」
状況を察した文は、その妖精を軽く睨みながら言う。その妖精は、ゆっくりと顔を上げた…
「No…」












「I am angel.」
顔を上げたことで、漸く顔が見える…顔に妙なマスクを着用しており、右目だけがマスクから見えている…その目は、光のない真っ黒な瞳だ…

文「天使…随分と物騒な天使もいたものですね。罪のない人の頭を吹っ飛ばすなんて。」
カメラをしまい、扇を出してその天使に向ける。天使は静かに文に拳銃を向ける。


ドォンッ!!


拳銃のトリガーを引く天使、銃口からは弾幕に似た弾が複数、同時に飛んでくる。

散弾…!
咄嗟に弾をかわして、屋根の上に着地する。
文「わかってはいましたが、殺る気みたいですね…」
再び扇を相手に向ける。

文「さあ、手加減してあげるから本気でかかってきなさい!」
もう一つ拳銃を取り出して、屋根の上にいる文に向けて発砲。文は黒い翼を生やして避けると、文が乗っていた屋根に弾が辺り砕ける。

「BLACK…」
天使はそう呟くと、上空にいる文を見上げる。文の手にはスペルカードがあり、発光している…

文『風符「天狗道の開風」!』
スペルカードを発動し、相手目掛けて旋風を飛ばす。天使は避ける様子は無く、そのまま天使に命中し砂煙をあげる。

文「避けない…?何故…」
少し離れた場所に着地して、砂煙の中にいる天使をじっと見る…
だんだん、砂煙が消えて中にいる天使の姿が見えてくる……



文「…!」
そこには、無傷で立ってこちらを見てる天使の姿があった。
文「嘘でしょう…スペルをまともに受けて、無傷…!?」
再び扇を構えると、空が光り始めたことに気づく…
その空を見上げると、光から流れ星のように、光が各地に落ちていくのが見える……よく見ると、光の中に人が見える…目の前にいる天使に似た、人が……


文「…まさか、あの光…全部……」








「GUILTY」


つづく



【来訪者について】

この幻想郷に降り立った存在。何者もこ
ばむことのないこの地の住民達に対して、
無害ではなさそうだ。戦えない者は逃げる
べきだろう。彼女達全員、銃のような武
器を所持しており、人々を襲う。相手が何
だろうと関係なく襲
ってくる。弱点等は不明な
ため、遭遇しても戦闘は避けた方がよい


20/04/22 15:41更新 / 青猫
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