連載小説
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3日目の朝



優「……………」

目が覚めた優は、起き上がって周りを見る。辺りは明るく……あのゲームが始まってから、ここまで生き残ったみんなが寝ている………


時間を見ると、朝の7時……


遥「あ、おはよう。優君」
既に起きていた遥が、今起きたばかりの優に挨拶をする

優「おはよう、遥さん」
少し眠たいが、笑みを浮かべて挨拶をする。すると、向こうも笑みを浮かべる。遥が優の近くに行って


遥「3日目だね……」
優「うん………でも、大丈夫!こっちにも、新しい作戦があるからね…きっと、うまくいくよ!」
遥「うん!……あ、私宮田さん起こしてくるね!」
そう言って、遥は教室から出ていった。優が見送っていると、誰かが優を指でつつく。誰がつついたのかを見ると……


















言わずともわかろう
京也「すぅぅぅぅぐぅぅぅぅぅるぅぅぅぅぅぅ…………」

優「…京也、起きてたの?」
京也「すぐるぅぅぅぅ……ついにやったか、あの遥嬢と付き合うことに成功したのかぁぁぁぁぁぁ!!」

優「いや、付き合ってないよ」
京也「嘘つけお前!!下の名前で呼びあってただろうが!
ガバッと起き上がって、優の顔に急接近しながら言う京也

優「近い近い!いや、それはその……い、いろいろあるんだよ、」
京也「コノヤロー!ついに優にも春が来やがったかこのドチクショーが!羨ましいぞ〜、このウスラトンカチめぇ〜!!」

優「だから違うって!ウスラトンカチってなんだよ、絶対意味知らないで使ってるでしょ!」
優の頭を拳でぐりぐりとする京也、優は両手で京也を押している状態だ

京也「このリア充めぇぇ…いいぜ、俺は七瀬先生に慰めてもらうもんね!」
優「祝ってるのか悔しがってるのか、どっちなんだよ……」

京也「七瀬せーんs」ドガァッ京也「ぐふぉっ!?」
寝ている七瀬の所に行こうとした京也に、祐也がドロップキックで撃退する

祐也「…うるさい、バカ。チャラメガネ」
目を擦りながら京也の近くに行く祐也。京也が起き上がり

京也「メガネじゃねぇ!!」
祐也「メガネだろ!バカとチャラいのは認めるんだな」

七瀬「ふぁ〜…よく寝た〜」
加奈子「朝っぱらから、元気だねアンタ等」

優達のやり取りで、寝ている人達も起きた。
















全員起きてたので、いつも通り置いてあった朝食を運ぶ………が、いつもみたいに誰も手に取らず、じっと見ている。何故なら、昨日弁当に紙があって、その紙に書いてあったことに挑戦して、失敗して生徒の一人が殺されてしまったからだ

楓「……今日も、あの紙があるわね、きっと…………」
富樫「ど、どうするんだよ…絶対誰かの弁当に入ってるよ…!」

全員怯えた様子だ、弁当をとる様子もない………
だが、一人弁当を手に取る



野崎「あぁ、俺のにはないな」
野崎が弁当を手に取っていて、紙がないことを確認する

遥「の、野崎君!そんな勝手に…」
野崎「ずっとこうしてても意味ないだろ、食わなかったら食わなかったで、殺される可能性もあるかもしれないんだぞ」

野崎のその言葉を聞くと、全員焦ったように弁当を手に取る。そして、各々弁当に紙がないかを確認して安堵の声をあげてる

楓「あぁ、みんな勝手に………!!」
まだ弁当を取ってない楓が、袋の中にあるいくつかの弁当の中の、一つの弁当を見てる

加奈子「どうしたの……っ!」
加奈子もそれを見る。そこには、紙のついた弁当があった………


遥「ど、どうする…?」
優「誰かが、取らないといけないよね………」

祐也「昨日と同じことは、書かれてないだろうしね…何が来るかわからないよ」
弁当を取っていない人達は、まだ弁当を取らず…誰があの弁当を取るかを話し合っている。だが、なかなか決まらない……正直、昨日みたいな遊びではなく、開くと死を宣告される可能性だってある……


京也「どうするよ、なかなか決まらねぇ…下手すれば、あの影達も現れるかも知れねーぞ…」
七瀬「わかってるけど、そんなに簡単に決められることじゃないわよ……」

すると野崎が立ち上がって、自分が持っていた開けてない弁当を楓に渡して、その紙がついてる弁当を手に取る

楓「…野崎…君……?」
誰もが驚いた。野崎の行動に………

野崎「なんだよ」
楓「なんだよって……それは紙がついてる弁当なのよ!?」
野崎「それが何だよ」

楓「え………でも…開いたら死ぬかもしれないのよ!?何でそんなこと……」

野崎が、紙のついた弁当をじっと見て、その後楓の方を向き


野崎「この状況で、助け合うのは当然…なんだろ。それを実行しただけだよ」
遥「野崎君……」


驚くべき変化だ……短気で自己中心的な野崎が、人を助けるとは……自分の命を、落とすかもしれないのに…



野崎「さてと、一体何が書いてあるんだろうな…」
弁当についてる紙を手に取って、その紙を開く。そこには







『真剣白羽取り』




と書いてあった


祐也「白羽取り?」

すると、いきなり教室の扉が勢いよく開く。そこには、鎧武者がいた



鎧武者「いざ尋常にぃぃぃぃ、あ、勝負勝負ぅぅぅぅ!!!」
歌舞伎風なしゃべり方で、野崎の前まで近づき腰の鞘から刀を抜く

京也「って、マジの刀かよ!」
鎧武者「構えぇぇぇぇぇい!!」

野崎「っし、やってやらぁっ!!」
鎧武者の前で膝つき、白羽取りをする構えをする。鎧武者も刀を上げ、いつでも振り下ろせる状態になる。






鎧武者「………」
野崎「…………」

沈黙が続く………皆はその光景を、黙ってじっと見ている…
この時間が、妙に長く感じる………そして……

鎧武者「死ねぃっ!!!」
鎧武者が刀を振り下ろす。そして、野崎は……









優「あぁ…っ!」
京也「野崎…!」











白羽取りで受け止めている。

富樫「おぉ…!」

鎧武者が刀を鞘に納める。
鎧武者「あっぱれぇぇぇぇ、あ、おぉぉぉぉみぃぃぃぃぃごぉぉぉぉぉとぉぉぉぉぉぉ!!!」

それだけ言うと、鎧武者は消滅した。野崎は立ち上がり

野崎「ふぅ…」
京也「すげぇ!!すげぇよ野崎!!」
遥「あれを受け止めるなんて、すごいよ!!」

全員が、野崎をすごいと言い、成功したことに喜んでいる

野崎「だー!うるせぇぞ!これくらい、別にすごくねーだろ!」
優「いや、すごいよ!白羽取りなんて難しいことなのにクリアしたんだから!」

楓「…の、野崎君」
楓が野崎の近くに行き、名前を呼ぶ

野崎「ん?」
楓「…ありがとう!」
笑顔でお礼を言う楓。すると野崎は、照れ臭そうに頬を指でかき

野崎「お、おう……」

と言った。











朝食を食べ終わり、全員バラバラの教室にいた

優「あとは、あの影達もだね…」
京也「そうだな……大丈夫だ!全員生き残れるぜ!」











ピーンポーンパーンポーン

加奈子「アンタ達、影が現れたよ!!」



つづく
15/02/03 18:53更新 / 青猫
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