Page.7『死の灰』
エピソード暗黒世界:狩人
2004年10月01日更新

Page.7『死の灰』
エピソード暗黒世界:狩人



私には幼い頃の記憶が無い
記憶と言えば、この言いようも無い心の闇が
体を支配する様になった頃からか…

私は時折意識を何者かに支配される時がある
それが何者なのか分からない
だが、気がついた時には私は死体の山に囲まれて目を覚ます
私がやったのか?
そんな罪悪感や恐怖心は最初の頃にこそあれ
もう既にそんな感情は欠落していった

いや、既に私は何十年も姿が変わらない
ただ、このハンカチを手にした時だけ私は安らかに眠れる
私はこれは母の形見だと思っていた
少なくとも、私を救ってくれる者から託されたものだと

ククク、またそれを手にしてるのか?

心の中の声が語りかけてくる

ククク、だがお前が救われる事などないのだ

何時からだろうか、私は心の声が聞こえるようになったのは


お前か!あの3人を殺したのは!
私は町のチンピラだった男達を手下にいていた
柄は悪いがよく気が効く連中だった
幼い頃に両親を無くし孤児院で育ったと言っていた
そして3人は本当の兄弟の様に仲がよく
3人で孤児院を抜け出したと言う

私も孤児院で育った断片的な記憶がある
リツコ…
この名は忘れる事が出来無い
私の幼馴染の少女の名であった
もう一人、顔が思い出せない人が居た
思い出そうとすると、闇が私を支配する
何時しか私は彼女の事を思い出すを止めた


何故彼らを殺した!
私はそんな事願ってなど居ない!
私はあの3人の死を自分がやったのではないと
思いたかったのかもしれない

ククク、まだ人の感情が残っていたのか
愚かな事だ
お前はもう人には戻れやしないのにな

私が人では無いだと!?

ククク、イヴのソーマを浴びたお前は
永遠の命と、世界を渡る力を得た
言わば我々側の存在だと言う事だ

イヴだと…私は人間だ!
お前は一体何者なんだ!
私の体を支配し何を企んでいる!

ククク、何も企みやしないさ
そうだなぁ
世界を造る事か
もっとも、お前と徐々に融合をしている私の願いは
既にお前の願いなのかもしれんがな
そう、あいつらを殺したのはお前さ
ガルガンチュア
お前が欲しているのさ
自分の欲望を叶える為の生贄を
だがな、良い事を教えてやる
いかに多くの人間の魂を喰らおうと
ヤミは現れぬ
ヤミと契約したくば、それ相応の魂が差し出せ
そうだな、王族の清らかな姫の魂など良いかもしねぬな
なんでも、ヤミは自分より美しい女性を憎んでるって話だ

ヤミとは一体何者だ!

ヤミ…ヤミ・ヤーマに生み出された世界の神
世界を司り、支配する存在
そして、我らがジョウ・ハーリーの主(あるじ)





そして私は長い時間世界を転々とし
王族の姫達の魂を捧げ続けた…

もう何十年経つだろうか
既に闇の存在と完全に融合した私には人としての感情は失われていた
ただ、時折思い出した様にハンカチを握り締めると
涙が一滴…落ちた





私は魔界の魔物達を呼び出す術を得た
同時にそれを用い、幾つも世界を支配した
だが「ヤミ」は未だ現れぬ
そんな時だった、私の元にあの懐かしい名が届いたのは…

かえるの王国
その姫君は世界でも屈指の美しさと優美さを兼ね備えて居ると聞く
同時に、その侍女である錬金術師が絶世の美女だとも
その女の名はリツコ
噂では何百年とその美しい姿だと言う
ククク、そうかリツコ前も私と同じなのだな
今行くぞリツコ
お前が作り上げたその姫の魂を貰いに
今度こそ会える
我が望みを叶える希望「ヤミ」に

















--------------------図書館世界にて
「じゃ葉月〜〜次はこの世界〜〜」
リリスは嬉しそうに葉月を連れ出しお気に入りの本の世界へと向う
そこは何故か南国のビーチ
「何だよ此処は!って何でボクこんな
 スクール水着なんて着てるんだ!
 元の服に戻せ」
葉月はその可愛らしい肉体を何故か?スクール水着に身を包み
恥ずかしそうにリリスに元に戻せと怒鳴りつける
「葉月は〜スタイル良いんだから〜
 もっと露出した方が〜いいのよ〜」
「五月蝿い黙れ!」
葉月はリリスを一蹴すると
「帰る」
そう言い残し砂浜を去る

「あ〜〜ん待って〜〜」
リリスは急いで葉月を追いかけるが…
「リリスはさー本気で初美をイヴを探す気あるの?」
葉月はリリスを責める
「あるわよ〜でも〜たまーには休息も必要じゃない〜」
リリスはそう言うと葉月に甘え出す
が、葉月をそれ嫌い再び歩き出す
「大体リリスは休息休息って言って
 何時もサボってるだけじゃないか
 もういい
 ボク一人で初美を探す」
「あーん葉月〜〜今度はちゃんと探すから〜」
「…やっぱりマジメに探してないじゃないかーー」
「あーーん」

そんなこんなで、リリスに振り回される葉月は
一体何時になったら初美のを探し出す事が出来るのやら



図書館に帰って来た二人を待っていたケンちゃん
「お二人さん、今度の本は期待できまっせ〜〜」
「本当にこの本に初美は居るんだろーな」
「まーとりあえず、行ってみましょうか〜」
そして、葉月達は新たな世界へと向うのだった














------------------かえるの王国
ラミアにより救われた世界は、100年の歳月が経ち
今では世界でも富に満ちた平和な国へと成長を遂げており、
リツコはその国の復興に全力を注いでいた
かえるにより救われたその国は、かえるを国のシンボルとし
その国の名を「かえるの王国」とした


だが、そんな時だった5代目の王の娘
マリエル姫が流行り病に倒れたとの噂を聞いたリツコは
単身王宮へと向うのであった


「おぉマリエルよ〜〜」
王は愛娘マリエルが助からない事を嘆いていた
そんな時だった、彼らの前にリツコが姿を現したのは
「お前は一体」
「王よ、姫は私が必ず救い出します」
「おぉ頼む、姫をマリエルを救ってくれ」

リツコはマリエルに口付けをすると
ソーマをマリエルに注ぎ込む
するとマリエルは、まるで病が嘘だったかのように
その元気な姿を王達の前に現した

「リツコよ、いや偉大な錬金術師リツコよ
 よろしければ、マリエル姫を教育して頂けないか」
王の申し出を受け、リツコはマリエルの教師とし
かえるの王国の王宮入りをするのであった


そして、それがリツコとマリエルの運命を翻弄する出会いである事を
リツコはまだ知らないのであった…


ククク、リツコよマリエル姫は私が頂くぞ
王国にはガルガンチュアの魔の手が迫っていた





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