作:葉月の神官さん
※18禁小説です。
第ニ話 『招待状』 |
*この物語はあくまでもフィクションであり 登場する人物・団体など現実とは一切関係無い事をご承知ください 皇蓉子は橘香織から奪った生徒会の裏帳簿CD−ROMのデータ解析を進めていた PCのディスプレイには未発表の生徒会の収支内容が写し出された 表向きに発表されている生徒の親やOBの寄付名目の収入が“drug”と表示されていた しかも金額が表の帳簿の三倍以上だ 「“drug”とはやはり麻薬の事でしょうか?」 データ解析の補助を行っていた皇家お抱えの研究員が蓉子に尋ねた 「たぶん…憐花学園では今“ドリーム・ペインター”という麻薬が密かに広がっている。」 「“ドリーム・ペインター”…わが国の隣国Cで製造されていると噂されている最悪の麻薬ですか…」 研究員の丸渕眼鏡の奥に光る眼光が心なしか暗く沈んだように見えた ドリーム・ペインターは若者の間に流行しつつある新種の麻薬だった 原産地のC国とは何かと領土問題や歴史問題などで軋轢が生じていた 蓉子の父寿太郎は外務省政務事務次官のエリートであるとともに、その影で諜報活動にも携わっていた 親A国派でも知られ。ネオコンサバティブの若手政治家とも近しいタカ派で鳴らしていた 憐花学園の理事長古河真はアジア太平洋局長である阿北春樹の従兄弟だった 阿北はCスクールと呼ばれる自他共に認める親C国派である 寿太郎と阿北はいわばライバルでいつも互いを蹴落とすために牽制しあい、情報を探りあっていた そんな折に寿太郎の元に古河の経営する超エリート中学で麻薬が横行しているという黒い噂が飛び込んできた 調査を進めるうちに麻薬の密売に実は当の理事長である古河が一枚噛んでいる事まで探り当てた 古河は広域指定暴力団の組長とも面識があった。 あろうことか生徒会を使って一般の生徒相手に麻薬の密売による利益を得ていたのだ。 この金はどうやら彼が支持する代議士野仲博巳への献金に使われているようだった 超エリート中学理事長が麻薬密売に関与 それは当然看過しがたいショッキングな出来事ではあるが、寿太郎にとって阿北を失墜させる絶好の機会でもあった 阿北が推している民自党幹事長野仲博巳は現在数少ないハト派を称し、 親C国派の代議士として知られている ハト派とはいっても平和主義者と勘違いした自分の国が愛さない自虐史観に取り付かれた売国奴の事を指す 妖怪と呼ばれる野仲の政治的基盤は強固で多少の事では切り崩せない だが政治献金をしている古河の経営する学園で不正に得た収入が 野仲への献金に廻されている事が公になれば無論彼とてタダではすまない 名門憐花学園の不祥事が報道され、野仲が失脚すれば当然後ろ盾を失った阿北はその地位が大きく揺らぐ事になる さらに寿太郎にとって目障りなCスクールも押さえつけ一石二鳥だった 現在のところ財界も政界も一時期のC国熱は冷め、潜在的ライバルであるか脅威を唱える論調が強い しかし、野仲のように未だに根強く21世紀はC国の時代になると信じて疑わない勢力が存在するのも事実だった 寿太郎に憐花学園の暗部に関する情報をリークしたのはA国の情報機関だった A国はこの国がC国と強く結びつくのを恐れ、C国ロビイストを失脚させるために様々な権謀術数を企てていた 寿太郎世代の官僚は研修と称して必ずA国詣でをさせられ、骨の髄までA国流が染み付いていた 当然政策がA国寄りになりCスクールの連中とは水と油だった (この国を守るためにその身を捧げろ) これが寿太郎の口癖だった 蓉子は父が命ずるがまま外国語・武道・礼法…そして女性相手の房中術を学んだ 先祖が武家だった皇家の教育は厳格を極め、蓉子は父に対して一切の疑問を口挟むことも許されなかったのだ 黙々と確実に蓉子は父が求めるエージェントとしての才覚を発揮し始めた だがどんなに美辞麗句で並べ立てられた理由も、 結局は寿太郎が外務省におけるその地位を確立させるための手段でしかなかった 寿太郎の本性は出世のためにならば娘すらも駒にする冷血漢だった 蓉子はその事に早くも気が付いて、父に対して幻滅していたが既にどんなことがあっても任務を忠実に遂行するマシンとして化していた (自分の人生…もはや引き返すことは出来ない) 蓉子は学ランを身に纏うと夜の憐花学園に向かった 学園に向かう蓉子の手には一通の招待状が握られていた 小洒落た感じの便箋は可愛らしい縞猫のシールで封をされている 何の未練も無くシールを破くと中には一枚のカードとともに手紙が入っていた 今時万年筆で書かれたものと思われる手紙にはこのように記されていた 親愛なる皇蓉子嬢へ 我が憐花学園生徒会は貴女を夜の裏生徒会へ貴女を御招待致します 時刻は午後9時 第二音楽室で貴女をお待ちしています 憐花学園3年B組 生徒会長 神宮寺信 「生徒会長神宮寺信…」 とうとう向こうから仕掛けてきたか 蓉子は虎穴に入る覚悟が出来ていた。 生徒会のボディガードを叩きのめし、裏帳簿CDを探っていた彼女が狙われるのは当然の事とも言えた これから敵対する生徒会の背後には理事長と暴力団。そして超大物政治家まで関わっているのだ 普通の女子中学生であればとても対抗する事が出来ない大人の世界ではあるが 早くからエージェントとして育ってきた彼女にとってはスリリングな遊び程度のものだ 蓉子には全く恐怖が無かった。 何人の屈強な男が束になってかかってきても叩きのめす自信があったし 間違いなく仕掛けられている罠ですら、どのようなものか楽しみであった 人気の無い夜の学園を一人少女の足音がむなしく響く 蓉子が学園四階の第二音楽室に辿り着くと、入り口に設置されたカードリーダーに送られてきたIDカードを通した カードリーダーのピーピーという読み取り音の後に自動ドア式の入り口がゆっくりと開いた 第二音楽室は普段の授業で使われる事はなく、全校で行う合唱会などイベント時にのみ使用されていた そのため構内にある体育館に次いで広いスペースを誇っていた 広い室内は一つの照明も灯されておらず完全な闇に閉ざされていた 蓉子は周囲を警戒しながら歩を進めた 楽器類は隣の準備室に置かれ、通常は正面大舞台以外ガラガラな様相を呈している 闇中で五感を研ぎ澄まし慎重に一歩一歩歩む蓉子は大舞台の上に上った 舞台の上に立つと蓉子は倒れている人の姿が目に入った 一瞬心拍数が上がった蓉子だったが誰に見られているかわからない中、 動揺していないように振る舞い、罠かもしれない可能性を疑いながら警戒しながら近づいた どうやら倒れている人物は女性のようだった。 蓉子が近づいて顔を確認すると、それはあまりにも思いがけぬ人物の顔だった 「香織先輩…」 女性の正体は昨日蓉子と体を重ねあっていた生徒副会長橘香織だった 「橘先輩…どうしたのですか!一体何があったのですか?」 「・・・・・・」 蓉子の問いかけに香織は虚ろな目で何も応えようとしなかった 暗闇の中で目を凝らすと香織は裸体に剥され、蓉子の見覚えがある美しい裸身は貶めるかのようにあちこちに傷付けられていた 「この傷は…?」 蓉子はまるでナイフで刻まれたような傷跡を不思議に思いながら眺めた 香織の乳房には痛々しいばかりの数個の穴が開いたような傷跡が残されていた 痛めつけるのが目的であるのならばわざわざナイフでこんな傷のつけ方をするとは思えなかったからだ まるで獣の爪で抉られた後のようだった それらの傷口は浅く大事には至らなそうなので取り敢えず胸を撫で下ろした 「完全に犯られたかんじだな…」 香織の太股にはおそらく身を守るために本能的に流した愛液と白光する粘着質の液体で濡れていた 蓉子は舌打ちをしたい気分になった 恐らくこれは生徒会が香織に下した制裁だろう 理由がどうであろうと裏帳簿データのCDロムを渡してしまった香織を生徒会は放るつもりはなかったようだ 蓉子は香織に対して何の愛情も持てなかったが自分を慕ってくれた人が自分に関わった故に強姦された事は無念だった 「香織先輩…起きるんだ。」 蓉子は香織の頬を軽く叩いて覚醒を促した それはあくまでも蓉子にとって軽くという意味で普通のビンタぐらいの威力はあった 「ひ!」 ビックリした様子で香織は蓉子に目を向けた だがその瞳の光は正常な輝きを見せていなかった 「ああ…獣に…やめて…イヤー!!!」 よほど恐ろしい目にあっていたのか? 意味不明なことを口走りながら香織は錯乱状態に陥って子供のようにいやいやしながら蓉子を振り払おうとした (仕方が無い…) 蓉子は香織の両手を押さえ込むと無理やり唇を重ねた んーんーと切なげな声を上げながらもがく香織の唇を割り、無理やり舌をねじ込んだ 香織は舌を絡ませられながら途中で理性に目覚めたのか彼女は蓉子の背に手を廻して受け入れた 蓉子は香織が落ち着いたことを確認すると静かにその唇を少女から引き離した 「蓉子様…どうして貴女がここへ?」 熱病にかかったようなうっとりとした様子で瞳を潤ませた香織は蓉子に不思議そうに尋ねた 「それを聞きたいのは私の方ですよ」 蓉子は学ランを脱ぐと全裸の香織に被せてやった 学ラン無しのさらし姿は他人に見られれば屈辱的なほど恥ずかしいことだったが 香織をこのまま放置するわけにも行かないので止むを得なかった 学ランを羽織った香織は蓉子に抱きつき、肩元で震えていた 「ひどい怪我ですね…こんな事をしたのは誰ですか?」 「・・・・・・」 「…答えられないですか。確かにそうですよね。 それよりも早く傷の手当てと…病院で膣内洗浄をやりましょう」 香織についてこれ以上言及する事をやめた 幾度か体を交えながらも心から好きになることは無かった香織に対して今は心から同情していた つい昨日まで生徒副会長として権勢を振るい、学園のアイドルとして輝いていた香織は今となってはその威光を全く感じさせず落ちぶれ果てたように見えた 蓉子は相手の身の上についてまで考えてしまう自分の甘さが諜報活動など向いていないと考え自嘲気味に笑った エージェントに優しさは命取りである。 だが皮肉な事に、この致命的な欠点が蓉子の周りを引き付ける魅力の一つで計算抜きの自然体の優しさは諜報活動という汚れた仕事において有利に作用していた 誰もが蓉子の美しさ優しさに心を開く 結果どのような結末が待っていても… 蓉子は次々と下される指令を遂行するために自分が招いた結果から敢えて目を逸らし続けてきた だが今回の場合は少し違う。 任務の遂行途中に自分に関わったものが凄惨な目に会った事を目の当たりにしてしまった 以前までは自分と関わった相手がどうなったか知る由も無かったし、そのような事を考えるのは迷いを生じさせる この世界での迷いはすなわち死を意味する 蓉子もそんな事は充分にわかりきっていたが目の前に突きつけられた現実は耐えがたかった 蓉子はせめて香織を救いたい気分になり、応急処置的に避妊処理を行おうとした これは以前教官に教わった、もしも蓉子が諜報活動中に男性にレイプされた時、 あるいは男性と交わる必要があった時に自分でも出来る膣内洗浄方法だった 勿論病院で行ったほうが確実だろうがこの気高い年上の生徒副会長を病院に連れて行くのは骨が折れると思い、取り敢えずの処置であった 「御免なさいね先輩…少し調べさせて」 まずは膣内洗浄が行える状態か確かめるために蓉子は香織の秘所に指を突っ込んだ 先程まで男性器が挿入されていた膣になど触りたい気分ではないが、そうも言ってはいられなかった 香織は形の良い顎を上向きにして「うっ」と軽く声を上げた この学園に来てから幾度も香織を抱いた蓉子は香織の急所を知り尽くしていたが今日は犯された後だからなのか?やたらと感じやすいように思えた しかし今は香織を喜ばすのが目的ではない じゅぼんという音とともに指を引き抜くと蓉子は奇妙な違和感を覚えた 愛液に混じった強姦者の精液で蓉子の指は闇夜にも白く光っていた 蓉子は顔を顰めながら精液を眺めていた 指の上をまるで何十匹もの蟻が這っているような奇妙な感触がする 最初は気のせいかと思っていたが不快な感覚は明らかに蓉子の指先を犯していた 「なっ!!!」 射精から既にかなり時間が経っていると思われる精液はアメーバの如く蠢いていた 彼女は自らの目を疑ったが闇夜にも間違いなく精液はそれ自体が生き物のように脈動していた さすがの蓉子もこれには大きく動揺した レズ女性専門の蓉子も男性の精液について知識が無いわけではない 実際訓練の一環で自らの手で教官から抜き取ったばかりの精液を目の当たりにした事もある だが脈動する精液など見たことが無い 蓉子は気持ち悪さのあまりに思わず香織を見捨てて逃げようとした 一秒でも早く手を洗いたくて仕方なかった 哀願の表情を向ける香織から背を向け出口に向かおうとした 第三話へ続く |