ヤミと帽子と本の旅人〜ショートストーリーズ〜

作者&イラスト:こずみっくさん

世界の交叉路の上で#0

何も無いセカイに<それ>はいました。
<それ>は孤独でした。
なので一人の人間を創りました。
その人間を<やさしい人>にしました。
<それ>は、その人間を リリス と名付けました。
<それ>は嬉しくなり、もう一人の人間を創りました。
<セカイを愛する>ようにしました。
<それ>は、イヴ と名付けました。

<それ>は多くのセカイを創るようになりました。
セカイは、一冊一冊の本におさめました。
<それ>は図書館を創りました。
多くの本をおさめられるように、と。

<それ>はイヴもリリスも大切でしたがイヴに向ける感情はリリスに向ける感情とは別の物でした。
 
 <それ>はイヴを愛するようになりました。
イヴもリリスも<それ>を愛しました。
 
 しかし、<それ>はリリスの想いに答えてくれることはありません。

 リリスは知っていました。それがイヴのせいだと言うことも。

 リリスはイヴを憎むようになりました。

 しかし、リリスに与えられたのは<やさしさ>でした。   
 
 リリスは、イヴを憎みきれずにいました。
 
 想いは募り、リリスは至大に欠けていきました。

 <それ>は、そんなリリスを見ることが出来ませんでした。
 
 ある日、それは消えてしまいました。
イヴとリリスは、とても悲しみました。
<それ>は二人にあるモノを遺しました。



<それ>の名は <ヤミ・ヤーマ> といいました。

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