作者:銃太郎(SIG550)さん

葉月の世界 第8話 『H』


 「わはははは!ついに捕えたぞ!東葉月、リリス」

「何よ〜、ここから出しなさいよ〜、バカ犬男〜!」

「ほざくがいい。貴様らは既にヴォータン様の奴隷だ。
じきにその減らず口をたたけぬよう調教してやる。
そして、逃れる術のない闇の牢獄の中で永遠に我が一族に奉仕するのだ!」

「五月蝿い黙れ!ボクは絶対お前らの奴隷になんかならない!!
今日こそお前らを倒す!」

「あらぁん、なかなか威勢のいい子ねぇ。でも、その状態でどうやって戦うお積もりなのかしら?お嬢ちゃん。」

もう一人のオカマっぽい邪神が嘲るように言った。

「リリス、あれを使うぞ!」

「ええ〜!テスト無しにいきなり実戦投入〜?」

「今使わないでいつ使うんだ!」

「そうでっせ、リリス姐さん!ここは葉月姐さんの能力を信じまひょ!」

いきなしケンちゃんが現れた。

「うああ!むちむち黄色まんじゅう、いつ戻ってきたのよ〜!」

「たこ焼きの気配を感じて浪花のど根性で戻ってきましたんや!
姐さん、このままではたこ焼き食べれんようになってしまいまっせ!」

「ほかに選択の余地は無いみたいね〜。」

リリスは指を鳴らして『葉月の本』を出現させた。

「じゃあ、本の封印を解くパスワード教えるわね。耳貸して。」

《ゴニョゴニョゴニョ…》

「それ、ボクが言うのか?」

「葉月の声がIDになってるからね〜。
本人が言わないとソーマが発動しないようにセキュリティロックを掛けてあるの〜。」

「恥ずかしがってる場合やあれへん。ささ、早ように!」

ケンちゃんは本を抱えて空中に静止した。

「しかたないな、じゃ、言うよ。コホン…
宇宙にあまねく命の根源たるソーマよ、汝のあるべき姿に戻りて我に力を与えよ、契約に基づき葉月が命じる。
レリーズ!!」

最後の言葉と同時にボクは刀の切先を本に当てた。
すると虹色の強い光が本から放たれて、ボクは目が眩んだ。

なんか体中に力が漲る感じがする。

「あ…来る…」

絶頂に上り詰めるのに似た感覚が過ぎ去って目を開けると、なんか景色がさっきと違う気がした。

「葉月〜!やっぱり早過ぎたんだわ〜!」

「のわー!えらいこっちゃー!」

なんか声が下から聞こえる…リリスがあんなに小さく!
ってボク、巨大化してるし!

「おのれ、巨大化して檻を破るとは、人間の分際で神に刃向かう不埒者め!」

「ちょうどいい、これで互角に戦えるな、フェンリル!」

ボクは身長が奴らと同じ位になってるから、50mはあるはずだ。

「ふぁふひ〜、ふぁんふぁっへ〜!はほひゃひはへはひふひひははふへへへ〜!」
(葉月〜、頑張って〜!たこ焼き冷めないうちに片付けてね〜!)

「たこ焼き食いながら応援すんな!
何言ってるか分かんないし。」

「あらいやだ!あの子あんなに大きくしちゃって!
なんていやらしいのかしら!」

「紛らわしい事言うな!行くぞ!
たああああ!!」

ボクはフェンリルに向かって突進した。が、思いもつかない光景が展開されたのが目に入って足が止まってしまった。

「うぐう…、ロキ、貴様何を…」

フェンリルの背後からロキと呼ばれたオカマっぽい邪神が剣で胸を貫いたんだ。
「悪いけどあんたには消えてもらうわよぉ。」

「貴様、フライアに寝返ったな…」

「ピンポーン!正解ー。フライアの計画にはあんたが居てもらうと邪魔なの。」

「ヴォータン様を裏切ってただで済むと思うのか…」
「お黙り!あたし達はヴォータンを王とは認めないの。
だ・か・ら、おとなしくお逝きなさーい、仔犬ちゃん。」

ロキが片手を頭上にかざすと、空中に巨大な暗黒の穴が現れ、フェンリルは断末魔の叫びとともにそれに吸い込まれて行った。

「お前ら、なんて事を!フェンリルは仲間じゃないのか!」

「あんな時代遅れの男なんかどうなってもいいの。これからは私達の時代なのよぉ。
さぁお嬢ちゃん、私といらっしゃーい。可愛がってあ・げ・る。」

ヒゲ剃りあとが青く、濃い顔のロキがボクのお尻を触って耳元に生暖かい息を吐き掛けながら囁いた。
ボクは背筋に悪寒が走った。

「気安くボクに触るな!それとおっさんのくせにオネエ言葉もやめろ!
キモいんだよ!」

ボクはロキに刀を突き付けた。

「まあ、この私がキモいだなんて!差別だわ!もう許さないんだから!
ヘッツァー、マルダー、やっておしまい!」

「ほらほら、お前の相手はこっちだ!」

残りの二人の邪神がボクに襲い掛かってて来た。
こいつら、凄く動きが早い。
ソーマの力で驚異的な身体能力を持つはずのボクで
も、こいつらの繰り出す拳と蹴りを避けるのがやっとだ。
このままではヤバい、そう思った瞬間、一人の蹴りがボクの腹に決まった。
後ろに吹き飛ばされて砂浜に仰向けに倒れたボク。
意識が朦朧として体が動かない。

「ふむ、口ほどにもない奴ね。
ま、所詮は人間が神に逆らおうなんて生意気なこ
と考えずに黙ってあたしたちの言うとおりにしていればいいのよ。
これでおしまいよ、東葉月!」

そいつは口を大きく開いてボクに向かって何かを発しようとした。

「あたしの葉月に何すんのよ〜このスカポンタン!これでも喰らえ、え〜い!!」

いきなりリリスがそいつの口目掛けて黄色い何かを投げ付けた。

「うわー、姐さん、何すんねんー!」

悲鳴とともにケンちゃんが口の中に消えた。

<ゴクン>

「なんか虫が入ったようだねえ。まあいい、気を取り直して行くよ!東葉月!」

ボクはこれで終わりなのか?嫌だ!絶対初美に会うまで負ける訳にはいかないんだ!

「うぐう!腹が…腹がぁぁ!」
突然そいつが腹を押さえて苦しみ出した。

「ヘッツァー!どうした?!」

「ううう…腹が痛い…」

仰向けになってのたうちまわるヘッツァーの腹がみるみるうちに膨らんでゆく。
「一体何をしたの、このゴキブリ女!」

「うふ、あんた達海から出て来たから相当水を飲んでる筈よね〜。
ケンちゃんはね〜、水を吸うと〜、100万倍に膨脹するのよ〜。
ってゴキブリって何よ〜!このオカマ野郎〜!」

うまいこと言うな。確かにリリスを後ろから見ると、帽子の先っぽと黒いマントがゴキブリの触角と羽根にも見える…
って感心してる間にもヘッツァーの腹はどんどん膨らんで行き、遂には巨大なボールに手足と頭が付いたような状態にまでなってしまった。

「ぐぉぉー!だ…だずげでー…」

<バーン!!>

轟音とともにヘッツァーの体が破裂して細かい光の粒になって消えて行き、
その後から巨大な黄色い球体と化したケンちゃんが姿を現した。

「プハー!どや、わいの力思い知ったかー!
こう見えてもわいは偉大なる仏法の守護神八部衆の一人、乾闥婆…etc.」

ケンちゃんが勝ち誇っているうちに残りの二人が襲って来た。
既に回復していたボクは素早く立ち上がると、能書きを並べ続けるケンちゃんをロキ目掛けて蹴り飛ばした。
ボクのシュートは見事にロキの顔面に決まり、ロキは気絶した。

もう一人、マルダーが繰り出す鋭い蹴りを避けながらボクはさっきと違って、奴の動きが遅く見えるのを感じていた。

「いい蹴りだが、当たらなければどうという事はない。
お前の動きは全部見切った。」

「何だと?!」

マルダーの顔に一瞬の同様が走った隙をボクは見逃さなかった。

「たああ!」

ボクが刀を横に薙ぎ払うと、マルダーは跡形もなく消滅した。

「ムキー!よくも私のかわいい小猫ちゃん達を!この男女!!」

気絶から覚めたロキがボクに悪態をつく。

「お前が言うな!」

ボクが斬りつけようとすると…

「きょ、今日の所は貸しにしといてあげるわ。
今度会ったら踏ん付けてやる!覚えてらっしゃい!」
負け惜しみっぽい事を言いながらロキは空間の裂け目に消えて行った。

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その後、リリスが[葉月の本]にソーマを戻すとボクは元に戻った。
そしてリリスが図書館でこの世界の本を操作して、この事件をなかった事にしている間に、
ボクは呆気にとられて石化している美奈を連れて電車に飛び乗って、家路についた。

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「お帰り葉月〜!」

ボクが美奈を家まで送って帰宅すると、リリスも戻ってきてリビングに座っていた。

「ただいま、リリス。
はー、今日はひどい目にあったな。なんか疲れた。」
ボクはソファに腰を下ろしながら、ポテチをポリポリ食べているリリスに言った。

「そ〜よね〜。せっかく葉月と海で遊ぼうと思ったのに台なしよね〜。ぷんぷん
。」

「ところでアイツら、どうして今日は時間を止めなかったんだろう。」

「そういえば〜、なんでかしら〜?」

「ボク達の正体をみんなにばらしてこの世界に居づらくするためかも。」

「そうやってあたし達を追い詰める心理作戦って事〜?
なんか陰険ね〜。リリスちゃん陰険な奴大嫌い!」

「魔王のリリスが言っても説得力ない。
それよりいつになったらボクは初美を捜しに行けるんだ?」

「今日は葉月の意思に関係なく巨大化したでしょう?
まだ旅をするには危険だわ〜。これからはちゃんと訓練しなきゃダメかもね〜。」

「訓練ってどんな事するんだ?」

「それはリリスちゃんにまかせて。
ところで葉月〜、初美の事思い出してから切なくてしかたないんでしょう?」

リリスがボクに擦り寄ってきた。
「リリス、いきなり何言い出すんだ。」

「うふふ、知ってるのよ〜。毎晩初美の名を呼びながら涙を流してるのを。
リリスちゃんも一人ぼっちだからその気持ちわかるわ〜。」

しまった!隠しカメラ、まだそのままだった。

「寂しいんならリリスちゃんが慰めてあげよっか。」

「なんでボクがリリスに慰められなきゃならない?」

「もぉ〜、葉月は素直じゃないわね〜。ベッドの上じゃ、あんなに素直なのに〜。
今日楽しめなかった分ここで楽しも。」
「余計な事言うな、んん…」
リリスはいきなりボクにキスをしてきた。

「んんんー」

ボクは抵抗しようとしたけど、すぐに頭の芯が痺れてきて、体の力が抜けてしまった。
リリスの舌がボクの口に侵入してきたけど、ボクはそれを素直に受け入れた。
ボクはリリスの腕に身を委ねながら、舌と舌を絡ませて深いキスを交わした。

「リリスって…ん…キス…はぁ…上手…」

「魔王の…はっ…キス…どんな…人間も…ん…魅了…するの…」

リリスの手がボクのショートパンツのボタンを外して、下着の中に入ってきた。
「葉月のここ、もうこんなになってるわ。えっちね。」

リリスがボクの敏感な部分を指でなぞると、その動きに反応してボクの体がビクッと痙攣した。

「ふあっ、リリス…やめ…やんっ」

リリスはもう片方の手でタンクトップの上からボクの乳首を摘んだ。

「はうっ」

「ふふ、葉月って凄く感度いいわね。好きよ。
初美を想って毎日してたからね。」

リリスはボクをソファに押し倒して、服を脱がせながら言った。

「初美に再会した時のために〜、リリスちゃんが訓練してあげる。
ちゃんと初美を悦ばせてあげられるようにね〜。」

ボクは既に体の奥が熱く、息苦しいほど胸がドキドキしていた。

「葉月はここが感じるんでしょ?」

「違っ、指入れちゃダメ…」

「違わないでしょ、体は正直だから…もっとえっちになっていいのよ〜。」

凄く気持ちいい…体がゾクゾクする…
でも、いつもリリスに責められてばかりじゃ悔しい…
「ボクばかりじゃずるいよ。リリスも同じようにしてあげる。」

「ふああん、葉月の指、気持ちいいの〜。」

それからリリスは、苦しそうに荒い息をしているボクの口を唇で塞いできた。

暫くしてリリスは唇を離すと、言った。

「今度はお口でしてあげる。葉月もして。」

ボク達はお互いを舌と指で責め合った。

「リリスのここ、すごく熱くてひくひくしてるよ。」
「ああん、葉月の舌、すごいの〜」

「リリス…ボクもう…我慢できない」

「一緒に…あん…イきましょ」

そしてボク達は抱き合ってお互いの秘部を擦りつけた。

「ああん、葉月のここ、すごいヌルヌルしてるぅ」

「ボク…もうダメ」


 そして二人はお互いの名を呼び合いながら上り詰めて果てた。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ボク達はHを終え、裸のままでリビングのソファに寝そべっている。

「一杯汗かいたな。でも、今日のボク、なんか変。いつもよりいやらしい気がする。」

「いいんじゃな〜い。
それだけ葉月は性長したって事で〜」

「字が違うだろ。
リリスが言ってた訓練ってこの事なのか?」

「そうじゃなくて〜、神族に勝つ為の戦闘訓練の事よ〜。
これはこれでおでこちゃんを満足させるのに必要なんだけどね〜。」


「初美を満足させる…そっか、ボクが積極的にならないといけないんだね。
早くそんな風になりたいな。
…そういえばお腹空いたな。」

「そうね〜、お昼食べそこなっちゃったからリリスちゃんもペコペコ。」

「ポテチ食べてたくせに、よく言うよ。」

「じゃあ、一緒にシャワー浴びてからごはん作ろ」

「あのさ…その前にお風呂でもう一回…いいかな」

ボクはまだリリスに火をつけられた体のほてりが収まらなかった。

「うふ、いいわよ〜。あ〜!もしかして葉月、今のでくせになった?」

「う、うるさい」

「照れる事ないのに〜」


 ボクとリリスはシャワーを浴びながらもう一回した後で夕飯の仕度をした。


「散々な一日だったけど、最後に葉月とHできたから良かったわ〜。
これから毎日しようね〜葉月。」

「調子に乗るな。今日は特別だ。
リリスに…その、助けてもらったお返しっていうか…」

「もお〜、照れない照れない。
けど、な〜んか忘れてるような気がするのよね〜。」

《その頃、直径約20mの謎の黄色い球体が銚子沖300kmの太平洋上を東へ向かって漂流しているのが、米国の偵察衛星から確認されたという》

「殺生やー!!!」


つづく

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By よっくん・K