作者:銃太郎(SIG550)さん

葉月の世界 第4話 『来訪者』


「は〜い!どちら様〜?」

「いいよリリス、ボクが出る。」

「だって葉月そんな顔じゃ…」

「リリスが出たら怪しまれるだろ。」

「失礼ね〜!あたしのどこが怪しいっていうのよ〜。
ぷんぷん」

ボクはエプロンで涙を拭って玄関の扉を開けた。
そこにはリリスよりもっと怪しい一団が立っていた。
「おまえは…」

「久しいな、葉月。」

「誰?」

「ガクッ!私だ、ガルガンチュアだ!もう忘れたのか?薄情な奴め。」

「確か、宇宙庭園で…」

「あの時は失礼した。
だが、私はもうジルは諦めてこのリツコと結婚したのだ。
我々は、新婚旅行で色んな世界を回っているのだが、
この世界に君が住んでいると聞き及んで訪ねてみたのだ。」

「初めまして、葉月さん。」

「は、初めまして、東葉月です。
おめでとう。とにかく上がってよ。」

近所の人がジロジロ見てるので、中で話すことにして、ダイニングに案内した。
でも、リツコって知美さんにそっくりだな。一瞬間違えそうになったよ。

「ちょうど今リリスと二人で、初美の誕生パーティーしてたんだ。」

「あ〜!あんたガルじゃないの〜。何で来たのよ〜。」

「おお、リリスも息災か。
君がここに居る事はマウから聞いている。」

「ってマウ、あんたなんで居るの?」

「はい〜、ガルガンチュア様とリツコ様のお世話をする為に、
前様にお暇を頂きました〜。」

「あんたとリツコはともかく、その三バカの片割れも一緒〜?」

「はい〜、私の夫ですから〜。」

「俺、ダンナ、んごんご」

「こんな奴でも一応グリュエールという名前が有るのだ。覚えてやってくれたまえ。」

「蓼食う虫も好きずきっていうからいいけどね〜。
それよりガル、いちいちポーズ取らないと喋れないの?
さっきからうざいんだけど〜。」

「何を言う、これは私の生き甲斐なのだ。」

「リツコもよく平気ね〜。」

「彼を愛してますから。
それより、さっきから葉月さんが元気無いんですけど、どうなさったの?」

「あぁ〜、実はね〜、かくかくしかじかで〜」

「それはいけませんわ。何とかして差し上げましょう。ねえ、アナタ。」

「うむ、そうだ、あれを使おうではないか。」

「何〜?まさかリツコのHな魔法を使うんじゃないでしょうね〜。」

「いい物が有るのだ。マウ、あれを。」

「はい〜、ご主人様〜。
パッパラパッパパーパーパー!」

ファンファーレと共にマウは、どこからか掃除機みたいな物を出してきた。

「何だそれは。」

「これは〜
Neurotic   ニューロティック
Ectoplasm  エクトプラズム
Recovering リカバリング    
Device デバイス
N.E.R.D.神経症霊体回復装置
略して[ナード君]です〜。」

「ナードって、随分な名前だけど大丈夫なのか?」

「心が弱っている人の魂に直接働き掛けて元気にする機械です〜。
私の発明なんですよ〜。
効能は〜、鬱病、引きこもり、恋の病から思春期の性の悩みまで〜。」

「な〜んか怪しげね〜。」

「何をいうリリス、これはどんな薬やカウンセリングよりも効く筈なのだ。」

「筈ってあんたね〜。」

「葉月様が記念すべき第一号の患者さんなんですよ〜。」

と言いながら、マウはホースの先を既にボクの頭にくっつけていた。

「マウ、ちょっ…待っ…」

「では、いきますよ〜、ぽちっとな。」

マウがスイッチを入れると、機械が唸りを上げ出した。
それと同時にボクの心が軽くなってくる気がした。
なんだかいい気持ちだ…体の芯が熱くなって…あ、ぱんつの中が湿っぽい。
やだ、ボク、こんな時に。
胸もドキドキしてきた。ブラしてないから乳首が勃っ
てるのが丸分かりだ。
恥ずかしい…。でも、もう我慢できないよ。

ボクはみんなの目の前で足を広げて、ぱんつの中に手を入れ、敏感な所を刺激し始めたんだ。

「はあはあ、あ、ああん…いい、いいよぉ、初美ぃ…」

みんなが呆気に取られて固まっている。すごく恥ずかしい。
でも、見られてこんなに興奮するなんて…手が止まらない。
いやだ…でも気持ちいい。

「あぁん…イクよぉ、ボク、みんなに見られてイクのぉ。あぁぁぁぁ…はあはあはあ。」

ボクがイッてしまった後、目が点になって固まっていたリリスがようやく口を開いた。

「ちょっと〜マウ、葉月になんて事すんのよ〜!」

「こんな筈じゃ無かったんですけど〜。おかしいですね〜。」

「おかしいのはあんたの発明よ〜!
元気にするんじゃなくて淫らにしてどうすんのよ〜。葉月は今不安定な状態なんだから、変な事しないでよね!」

マウに噛み付くリリス。自分だって媚薬入りの料理をボクに食べさせようとした癖に、他人には厳しいんだな。

「申し訳ありません葉月さん。大丈夫ですか?」

「ありがとうリツコ、平気だよ。」

ボクは肩で息をしながら答えた。
でも、知美さんに見られてるみたいな気がして目は合わせられなかった。

「葉月はオナニストだからこれくらい平気けど〜、
あんたたち、見てんじゃないわよ〜!」

「ボクはオナニストなんかじゃない!」

どさくさ紛れになんて事言うんだリリス!でも…いつもより感じちゃった。
ボク、本当にHな子なのかな…。

「とにかく、レディに大変失礼な事をしてしまった。詫びねばなるまい。」

「素直にごめんって言えないの〜?、ヨダレ拭きなさいよ〜。ぶんぷん。
こんなヤツ振って正解だったわ〜、ホント。
でも〜、今の葉月、とっても色っぽくて可愛かったわよ〜。リリスちゃん惚れ直しちゃった〜。」

「リリス、斬られたい?」

「あ、いや〜、遠慮しときます〜(汗)」

「葉月様〜、申し訳ありません〜。お詫びに別の発明を〜。」

「もういいよマウ。気にしてないから。」

「あ〜、葉月ひょっとして、今ので病み付きになった?」

ボクが刀の柄に手を掛けると、リリスは慌てて廊下に逃げ出して行った。

「ところでガルガンチュア、何しに来たんだ?」

「そうだった、リリスに知らせたい事があったのだ。」

「何々〜?リリスちゃんに知らせたい事って〜。
儲け話〜?それとも合コンのお誘い?」

リリスが嬉しそうに廊下から戻って来た。現金なヤツ。

「そんな訳ないだろう。」

「なんだ〜、がっかり。」

「とにかくみんな座ってよ。」

「料理ほとんど食べちゃったけどね〜。
ちょっと〜いつまで鼻の下伸ばして突っ立ってんのよ〜この…何て言ったっけ。」

「グリュエールだ。」

「んご…ハヅキ、オナニ、ヤラシイ、ウヘヘヘ」

「ええい!いい加減にしないか!みっともない。」

「この人は私に任せてどうぞお話し下さい〜。」

マウがグリュエールを引きずってキッチンに連れて行き、
シンクで頭に水を浴びせている間に、ガルが話し始めた。

「実は、旅の途中で不吉な噂を耳にした。
宇宙のどこかで眠っていた旧世界の邪神が復活したというのだ。」

「えぇ〜!何百万もの世界を破壊したって言うあの邪神が〜?」

「しかもそれは、イブを狙っているらしいの。」

「ヤミ・ヤーマに滅ぼされた筈なのに、なぜ?」

「ねえ、リリス、邪神って何なのさ?ヤミ・ヤーマに滅ぼされたって?」

「葉月にはまだ話してなかったわね〜…」

リリスの話によると

 図書館世界が出来るはるか以前の太古、
神々は宇宙を我が物顔に支配して互いのエゴをぶつけ合い、果てしない争いを繰り広げていた。
その弱肉強食の無秩序が支配する宇宙に、
秩序と調和をもたらすためにヤミ・ヤーマが世界を創った。

彼はそこに住むものとして、今やその永遠の命と全能のゆえに傲慢となり、
エゴイズムの塊に成り下がった神々に代わって、有限の命をもつ無力な人間をイブに生ませたんだ。

ヤミ・ヤーマは秩序ある世界にするために、人間に火と道具の使い方と、
男と女が愛し合い、家族を作り協力して生きることを教え、世界を人間で満たした。

しかしその秩序が気に入らない神々はたびたび世界を襲い、破壊してそのソーマを食らい尽くした。
そのため、数百万の世界が滅んだ。

そこでヤミ・ヤーマは世界を守るため、
それまでばらばらに存在した世界を統括管理するシステムとして図書館世界を造ったんだ。

それは、全ての世界の入口と、インデックス情報を本の形で収納し、
そこの管理者と、特別な能力がある者しか図書館ならびに本の世界に入れないようにした、
世界を保護する為のシステムなんだ。

その初代管理者ヤミこそがヤミ・ヤーマその人なんだ。
イブとリリスはそこで3人で仲良く暮らしていたんだって。

ところがある時、秩序を破壊しようとする神、邪神たちが図書館に総攻撃を仕掛けて来たんだ。
超ソーマの化身イブを殺し、図書館世界を消滅させて宇宙に弱肉強食の混乱を取り戻す為に。

そして、ついにヤミ・ヤーマは図書館世界と娘達イブとリリスを守る為、一人敵に立ち向かっていった。

ヤミ・ヤーマは持てる力をフルに使って戦ったが、敵は宇宙を埋め尽くすほどの大軍、
とても敵わないと思ったヤミ・ヤーマは自らのソーマを全て開放し、
それを破壊エネルギーに変換して、敵もろとも砕け散った。

自らを犠牲にして図書館世界を守ったヤミ・ヤーマの欠片は、
ばらばらになってあらゆる世界に降り注ぎ、様々な奇跡を起こした。
でも悠久の時を経て、それは次第に力を失って行った。
しかし、まだどこかの世界に眠っているという説もあり、リリス達も探していた。

これがリリスが話してくれたヤミ・ヤーマの物語だ。

「生き残った邪神はいないの?」

ボクはリリスに尋ねた。

「生き残った連中は〜、別の次元に逃げ延びて、そこに自分達の世界を作ったの。
そいつらは、戦いで失ったソーマの代わりに人間の欲望を糧として生きる事になったの。
それが魔界の始まりよ。
でも〜、そいつらはリリスちゃんが魔王として牛耳ってるから、そんな悪さは出来ない筈よ〜。」

「へえー、リリスって偉いんだ。」

「もぉ〜葉月は今まであたしを何だと思ってたの〜?」

「変なヤツ。」

「ガクッ!こう見えても魔界じゃ3本の指に入るのよ〜。」

「ところでリリスはヤミ・ヤーマに捨てられたんじゃなかったの?」

「ていうか〜、ヤミ・ヤーマはイブとしかHしなかったっていうか〜。」

「喋り過ぎだったから?」
「じゃなくて〜、リリスちゃんは上になるのが好きだったのに〜、ヤミ・ヤーマ
は〜、正常位が好きで〜…って何言わすのよ〜
葉月のH〜。」

「自分で言ったんじゃん。でもいい事聞いたな。」

「ってメモってんじゃないわよ〜。」

「だとしたらなんで今頃目覚めたんだろう。」

「そうよね〜。なのにおでこちゃんは、人の気も知らずにひょいひょい遊び歩い
て〜。」

「早く見つけ出さないと大変な事になるよ。」

「でも〜葉月はまだソーマが不安定だから、移動するときに亜空間に放り出され
る危険があるわ。」

「その邪神って、実際に見た人居るのかな?」

「噂って言ってたから確証は無いんじゃないかしら〜。ねぇガル、って居ないし
〜。」

すると、ガル達がキッチンから戻って来た。

「私も人づてに聞いただけだから真偽の程は保証出来かねる。
しかし、本の世界の住人で邪神の事を知る者はそうはいまい。」

「火の無い所に煙は立たない、か。」

「明日図書館で調べてみるわ〜。」

「ところでガル、何してたんだ?」

「ああ、諸君が話している間に、悪いとは思ったが、厨房に有った料理を頂いて
いたのだ。
長旅で空腹だったので失敬させてもらった。冷めていたがなかなか美味だったぞ
。」

「人ん家に押しかけといて勝手に食事するなんて〜。サイテー!」

「申し訳ありません〜。せめてものお詫びに、食器は全部私が片付けさせて頂き
ましたので〜。」

「本当なら叩っ斬るとこだけど、今日は初美の誕生日だから大目に見るよ。
それに片付ける手間が省けたしね。」

「かたじけない、葉月君。」

「偉そ〜に〜、ってあれ食べたんだ〜。」

(ねえリリス、あれってリリスが作った媚薬入り料理だよね。)
(そうなの〜、でも捨てるつもりだったし〜)
(じゃあ、いいか)
(そうね〜)

「あれ、リツコはどうしたんだ?」

「なにやら動悸がすると言っているのだ、休ませて貰えると有り難いのだが。」

「じゃあ、ボクの両親の部屋が空いてるからそこで寝るといいよ。」

(もう媚薬が効いてるみたいだね。)
(まあ、新婚夫婦なんだし〜、いいんじゃないの〜。)

「マウとグリュエールは和室でもいいかい?」

「はい〜、畳には慣れてますので〜。お世話になります〜。」

それからボクは床の支度をしてから、風呂に入った。

いつもならここでオナニーをするんだけど、さっきの余韻が残っていたので我慢
することにした。

風呂から上がってリリスに増えて来たボクのソーマを、葉月の本(これはリリス
が名付けた)に封じ込めてもらってから、床に就いた。
初美はボクが守る。たとえどんな事があろうとも。
この命に替えても、邪神なんかの好きにはさせない。初美と図書館は必ずボクが
守る。
そう考えながらベッドに横たわっていると、体中に力が漲って来る感じがした。

それから眠ろうとしたけど、眠れない。さっきの事が頭から離れないんだ。
自然と手が股間に伸びる…

「ん、あ…い…見られてる…もっと…もっと見て、あひい、…ボクがいやらしく
イク所…ふあああ、ああん」


<リリスの部屋>

「葉月ぃ…すごくいやらしいよぉ〜…可愛いの〜葉月がイクとこぉ〜、ふああん
、はあはあ」


<ガルの部屋>

「ああん、ガル、もっと深くぅ…」
「リツコォー、うおおおー」

<マウの部屋>

「あ〜ん、あなた〜、激しいです〜」
「んごおー!」



マウのキテレツな発明と、リリスの媚薬のおかげで、その夜は明け方まで家中に
喘ぎ声が響き渡ったんだ。

つづく

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