作者:銃太郎(SIG550)さん
葉月の世界 第2話 『異変-1』 |
「リ…リリス!」 ボクは慌てて明かりをつけようとしたが、リリスがその手を制止して言った。 「初美のこと考えて一人でしてたんでしょ〜。」 「違…よ、ボクはオナ…ニーなんか…しな…い」 「無理しちゃって〜 じゃあなんで息が荒いの〜?」 「そ、それは…熱があるんだ。」 「あらたいへ〜ん。じゃあ、リリスちゃんが〜、そのお熱を下げてあげましょ〜」 「リリス、なにを言って…か、体が動かない。」 「うふ、これを見て〜」 リリスが後ろ手に隠していた物を胸の前に突き出す。 「それは【おでこちゃん官能写真集】!なぜそれを!?」 「葉月が図書館に忘れて行った物よ〜 記憶を戻すのに使ったんだけど、まさか今夜も役に立つとはね〜」 それは本の世界で妖魔スキュアから奪ったイブの忘れ物だ。 それを持つとイブのソーマを自分の意思で操れるんだ。 それを持って来てたなんて… 「記憶を戻す時に葉月のソーマも解放されたからね〜 こうしてリリスちゃんの言いなりになるって訳。」 そういうとリリスは布団を剥ぎ取ってボクに覆いかぶさってきた。 ボクを見つめる瞳が潤んでいる。 ボクは全身を縛られたみたいに身動き一つできない。 「大丈夫よ〜、おねえさんにまかせなさ〜い。」 それからボクに激しいキスをしてきた。 そしてリリスの唇はボクの胸に。 「ああ、やめろ、噛むな、そこ、さわるな…あん、指入れちゃダメぇ」 ボクはまったく抵抗できずにリリスのなすがままにされた。 「いやあああ…、ああん」 リリスに無理矢理Hされて、イカされてしまった。 どうしよう、ボクはレズじゃないのに。 ソーマが使えるんなら、あの時叩き出してればよかった。 「これで終わりと思ったら大間違いよ〜。 葉月は、まだお熱があるみたいだから〜もっと治療しなきゃね〜」 「なにをする、やめ…あ、そんなとこ…擦りつけるな」 リリスのあそこがボクのあそこに擦りつけられる。 だめだ、感じちゃ。 でも、気持ちいい…あ、腰が勝手に… 「ふふ、一人でするより…あん…ずっといいでしょ。」 ボクは一人でするのが趣味なのに。 だんだん頭の中がまっしろに…助けて、初美 そんなに激しくされたらボク、もう… 枕元のミニコンポが奏でる音楽でボクは目覚めた。 時間はam6:40 いつも起きる時間だ でも今日は体が重くて起きられない。 そうだ、昨夜リリスに無理矢理に何度もイカされて、気絶してそのまま寝ちゃったんだ。 いつの間にか服も全部脱がされてるし。 あいつ、あの後部屋へ戻ったらしい。さすがに気が引けるのかな。 しかし、リリスの下心を見抜けなかったなんて、やっばりボク、ヤキがまわったんだ。 あいつ、あの刀が使えたら叩っ斬ってやるところなんだけど。 でも、これが初めてじゃなかったのが唯一の救いかな。(初めてはクィルね) まだ体の芯に火照りが残っている… ボクは昨夜のことを思い出してまた自分を慰めた。 「あ、ああん…はあはあ…」 あーあ、ボクまたしちゃった。こんな時なのにサイテーだな。 自己嫌悪に陥りながら時計に目をやる。 あっ!もう7時だ、起きなきゃ。 その時ボクは体に異変を感じた。 「う、何だ?体が…」 《その頃、初美の部屋のリリスは》 (ベッドの上で伸びをしながら) 「んー、あ〜もう朝ね〜。うふ、昨夜はとうとう葉月とHしちゃった。 あんまり気持ち良かったから葉月が気絶するまでしちゃったもんね〜。 葉月もすごく感じてたみたいだし、まんぞくまんぞく。 でも〜、今頃葉月怒ってるかな〜。 今度はお尻百叩きじゃ済まないかも。 しか〜し、リリスちゃんには必殺アイテム【おでこちゃん官能写真集】があるもんね〜。 これさえ有れば葉月の体はリリスちゃんの思いのまま…ってあれっ?どこにも無いじゃん! ひょっとして葉月の部屋に忘れて来た? やっば〜、リリスちゃん葉月に真っ二つにされちゃう〜。 ここは図書館に避難するしかないわね〜。 ん、何?強いソーマを感じるわ。 まさか、葉月があたしを成敗しに来た? ちがう、もっと強力な… ひょっとしてイブ?」 《慌てて階段を駆け降りて葉月の部屋へやって来たリリス。部屋の扉を開けると、ベッドの上で全身から光を発する葉月が…》 「葉月!一体どうしたの?」 裸でベッドに四つん這いになっているボクを見てリリスが叫んだ。 「わからない。急に体が」 リリスがボクの側に来ようとするが、 [バシッ] 「やんっ!」 何かに弾き返されてしまった。 「葉月のソーマが暴走してる。 リリスちゃんにも制御出来ないなんて、こんな強いソーマはあの時しか… ひょっとしてあたしのせいなの〜?」 「た、多分それ…しか考え…られ…ない」 ボクはだんだん息苦しくなってきて、声を出すのがやっとだった。 「このままじゃ、葉月の体が壊れちゃう〜! リリスちゃんどうしたらいいの〜」 「あーあ、ダメじゃない、葉月を覚醒させちゃ。」 ボク達が驚いて声の方を見ると、白いブラウスにチェックのミニスカートの女子高生の制服を着たアーヤが、窓の外に立っていた。 「アーヤ、それ一体どういう事よ〜。」 「リリスをからかおうと思って図書館に行ったら、留守だったんで、 もしやと思って来てみたんだけど、まさかこんな事になってるとはね。」 右目でウインクしながらアーヤは続けた。 「リリスが葉月の記憶の封印を解いた時に、一緒に葉月の秘められた能力まで解放してしまったんだ。 このままだと大変な事になるよ。」 「葉月の秘められた能力って何よ〜?」 「あ、急がなきゃ遅刻しちゃう! 彼氏と待ち合わせしてるからもう行くね。じゃねー。」 そう言うとアーヤはいそいそと走り去って行った。 「ちょっと〜、答えなさいよ〜この変態コスプレ男! まったく〜、いつも人をおちょくって〜。 ていうかあいつ、ミニスカ似合い過ぎ。」 「彼氏って、アーヤ、やっぱりホモなんだ。」 ってそんな事行ってる場合じゃないだろ、ボク達。 「ボクの秘められた能力って何?ボクには身に覚えが無いんだけど。」 リリスは腕組みして思案しながら言った。 「う〜ん、管理者のリリスちゃんにも分からないなんて一体… ひょっとして…まさかね〜…でもそうかもしんないし〜…う〜ん。 葉月、暫くそのまま辛抱出来る?」 「少し落ち着いたみたいだから横になってればたぶん。」 「待ってて、きっと助けてあげるから。 リリスちゃん今から対策を調べて来るね。」 そう言い残すと、リリスは持っていた鞭で空中に円を描いて空間の裂け目を作り、その中に飛び込んだ。 後には全身が発光している全裸のボクだけが残された。 こんな状態じゃ今日は学校休むしかないな。 今日は初美の誕生日だからケーキを買ってきてお祝いしようと思ったのに、買いにも行けないや。 リリスには襲われるし最悪だ。 ボクは心の中で文句を言いながら、窓のカーテンを閉めてベッドに横たわった。 《図書館に戻ったリリス。いま出て来たばかりの、葉月がいた世界の本を手に取って思案している。》 (じゃじゃ〜ん!ここから少しの間はリリスちゃんの目線で進行しちゃいま〜す!よろしくね) 「う〜ん、この本の葉月の記述には不審な所は無いわね〜。 でも、この本のソーマの量が急激に増えて来ている。早くなんとかしなきゃ。」 あ〜ん、早くしないと葉月が葉月が〜、もうH出来なくなっちゃう〜。 「リリスちゃんに制御出来ないソーマってことは〜、別の次元からの侵入者? それとも…まさか。 だとしたらやっぱりあいつが何か知ってるかもね〜。 あいつに頭を下げるのはイヤなんだけど、んな事言ってる場合じゃないわ。」 それからリリスちゃんは〜書架から一冊の本を取り出したの。 黒に赤い縁取り、中心に陰陽の紋様が付いた薄い本。 この中に今から飛び込むわよ〜、みんなちゃんとついてきてね〜。 「まってて、葉月、すぐ助けるからね〜。」 じゃじゃ〜ん!さて、今リリスちゃんは〜、大きな和風のお屋敷の長〜い廊下に立ってると思ってね〜。 「いつ来てもここは広くてややこしいわね〜。 ていうかどっち行ったらいいのよ〜。 あ〜ん、リリスちゃん迷子になっちゃったよ〜。」 「リリス様〜、お久しぶりです〜」 「誰?後ろからリリスちゃんを呼ぶのは〜」 振り向くとメイド服を来た褐色の肌の女の子が立ってたの〜。 「あんたは…マウ」 「玉藻の前様のお言い付けで、リリス様をお迎えに上がりました〜。」 迎えに来た、って、こちらの行動は筒抜けってわけ。相変わらずいけ好かないやつね〜。 「こちらへどうぞ〜。」 と、マウが目の前の襖を開けるとそこは、金毛九尾の天狐、玉藻の前の部屋。 「おいでやす、リリスはん。 まあこっちへ来て座りなはれ。」 玉藻はいつものように徳利から杯に酒を注ぎながら、リリスちゃんに座布団を勧めた。 「粗茶でございます〜」 マウが湯飲みを正座したリリスちゃんの前に差し出す。 しっかし玉藻の前っていつ見てもしな作っちゃって〜、やたら色っぽいのよ。 それにあの服、あそこが丸見えじゃないの〜。 モザイク掛けないと放送出来ないじゃないのさ〜。 「葉月はんの事で来はったんでっしゃろ?」 「お見通しって訳ね〜。なら、話は早いわ。 葉月の秘められた能力って何なの?」 「あんさん、葉月はんの記憶、戻さはったんやろ?」 「そうだけど。やっぱりそれが関係してるの?」 「それだけやったら問題あらしまへん。 あんさん、昨夜葉月はんとHしはったなぁ?」 「ま、まあ…」 「しかも、イブはんの忘れ物で葉月はんの自由を奪って。 それだけやあらへん。5回も葉月はんをイかさはったなぁ?」 「そんな事まで知ってるの〜?」 いや〜ん、リリスちゃん赤面しちゃう。 「あきまへんなー。イブはんの忘れ物を近づけながらHしたら。」 「なんでよ〜」 「あんさん、図書館世界の管理者のくせにそんな事も知りはらへんのどすか〜? 」 「大きなお世話よ、リリスちゃんだってそれくらいわかってるわよ〜。 でも、リリスちゃんも葉月に近づけないから〜、あんたなら何か方法を知ってんじゃないかと思って、恥を忍んで聞きに来たんじゃないの〜!」 いつもながら皮肉が辛辣ね〜 いいから早く教えなさいよ〜! 「まあええ。 人間がHして絶頂に達した瞬間ゆうのは一番人間が持つソーマが活発に放出されますのや。 その状態では精神と身体が最も無防備になるんどす。そこに強いソーマを放つ物を近づけたらどないなるとお思いやすか?」 「ソーマが精神の深部、無意識の領域にまで侵入して、その人の隠されていた精神能力を覚醒させる…」 「そこまで解ったはるんやったら、なんであんな事しはったんえ?」 「だって〜、又とないチャンスだったんだも〜ん、ていうか千載一遇。」 「あの娘あのままほっといたら取り返しのつかへん事になりますえ。 人間があれほど強いソーマを持ってて、自分で制御でけへんのやったら、そのうち葉月はんのソーマがその本の世界を埋め尽くしてしまいますえ。」 「つまり、本の世界が葉月のソーマに飲み込まれて、葉月そのものが一つの本の世界になってしまうんでしょ〜。知ってるわよ。 元の世界は葉月の意識に吸収されて、葉月の意識と無意識が実体化した世界になる。 膨大なソーマをもった葉月はその本の中で永遠に一人で生き続けなければならない、でしょ〜」 「そういう事どすなぁ。」 葉月の意識が実体化した世界ってどんなかしら〜?ちょっと想像してみよっと …そこに住むのは葉月以外はすべて初美。 道行く人もすべて初美、テレビをつけたら初美、コンビニの店員も初美、学校の先生も生徒も初美、満員電車の人込みも初美。 毎日ラッシュの初美に揉まれながら葉月は独りでオナ… 「はあ〜」 リリスちゃんだけじゃなく、玉藻の前とマウまで同時に溜息をついちゃった。 みんな同じ事想像してたみたい〜 葉月、あんたの頭の中って… 「こほん、それを防ぐ為には葉月はんのソーマを新しい本に全部封じ込めて、葉月はんの記憶も完全消去せなあきまへん。」 「て、ことは葉月は?」 「初美はんのことを完全に忘れてただの人間として一生を送る事になりなすな。」 「ダメよ〜そんなの。」 「何でだす?」 「だってそうなったら二度とおでこちゃんに会えないじゃない。」 「そのほうが幸せとちゃいますのか?」 「初美の記憶を封印された後の葉月はものすごくつまんなそうに暮らしてた。一緒に旅をした時とはまるで別人みたいに。 リリスちゃんは、そんな葉月が見ると心が痛むの。」 「中途半端な同情はせんほうがよろしいで。」 「同情なんかじゃないわよ〜! リリスちゃんは…リリスちゃんは葉月を愛してるんだもん!」 きゃ〜とうとう言っちゃった〜! 「でも葉月の心は初美で一杯。リリスちゃんの居場所はないの。 いくら誘惑しても気持ちのいいHしてもそれは変わらない。 でもリリスちゃんは葉月を愛してるの。だから葉月にだけは幸せになって欲しいの。」 「葉月はんの気持ちはうちもよ〜お知ってます。 せやけど[恋は盲目]言いまっせ、あのまま突き進んだらあの二人不幸になりまっせ。」 「たぶんイブは葉月に何もかもを与え過ぎたんだと思う。だから葉月はイブがいないと生きて行けない人になったの。 でもイブは葉月がいなくても生きていける。その事にもっと早くイブが気付いていればこんな事にならなかったのよ。 だからイブが葉月の心をちゃんと受け止めなきゃこの問題は解決しないの。 葉月が盲目ならリリスちゃんが葉月の目になるわ。 だからぜ〜たい葉月とイブをもう一度会わせるの。」 「リリスはん、先の事考えて物いいなはれや。」 「たとえ永遠の命でなくてもいい、イブに会えるまで生きてイブの腕の中で最期を迎えさせてあげたい。それがあたしが葉月にできる唯一の愛の証なの。 それにアイツにはいろいろと貸しが有るからね〜。 こんどこそ離れられないようにしてやるんだから〜。」 「あんさん、なんでただの人間にそんなに肩入れしますのんえ?」 「あ〜ら、前様ともあろうお方が葉月がただの人間だとお考えの筈はございませんわよね〜え。 そして葉月もすでに知ってしまった。あとは葉月の意思次第よ。 それにね、あんなに真っ直ぐに誰かを愛せる人に出会ったのは初めてなの。 ねえ、玉藻の前〜、葉月の瞳を見つめた事ある〜?」 「葉月はんの瞳…それはおまへんなぁ。」 「葉月の瞳はね〜、深い藍色で、まるで宇宙の闇のように澄み切ってるの。 とても綺麗なのよ〜。宇宙で一番の宝石って言ってもいいくらい。 見つめていると自分が無限の空間に吸い込まれるような気になるのよ〜。 そんな葉月の瞳を曇らせたくないの。」 「あんさん、そこまで葉月はんの事を…そうどしたらわては止めしまへん。 そやけど、葉月はんの記憶を消去せんでもええ方法、ありますのんか?」 「あたしを誰だと思ってるの〜?図書館世界の管理者リリスちゃんよ〜。 リリスちゃんの辞書に不可能の文字はな〜い!」 「リリスはん、あんたひょっとして…」 あたしはウインクしながら右の人差し指を顔の横で左右に動かした。 「のんのん、それは言わない約束でしょ〜。 じゃ〜ね〜。」 そして、足のしびれを我慢しながら後ろの襖を開いたんだけど〜 襖の向こうは、仕事帰りのサラリーマンが集う安酒場。 酔った男達の笑い声とBGMの演歌の調べ。 壁のテレビには野球中継が映され、安酒とおでんと焼鳥の匂いと煙草の煙が鼻をつく。 「おー、ねえちゃんもこっち来て飲めへんかー」 「え、遠慮しときます〜、あはははは」 愛想笑いをしながらリリスちゃんは襖を閉じた。 もぉ〜、ここへ来ると真っ直ぐ帰れた試しがないんだから〜。 それを見ていた玉藻の前が杯をあおりながらマウに言ったの。 「マウ、リリスはんがお帰りや。出口に案内してさしあげなはれ。」 「どうぞこちらです〜リリス様〜」 マウが同じ襖を開くと今度は図書館につながった。 まったく、ここは訳わかんない〜。 次の瞬間リリスちゃんは、マウに背中を押されて図書館へと転がり出たの。 《リリスが帰った後の二人の会話》 「前様〜、近頃稀なうるわしい純愛ですね〜。 マウ、うるうるしちゃいました〜。」 「リリスはんは魔王にしては無邪気すぎるんやなー。葉月はんのことになるとエゴを忘れてしまいよる。 それにあの娘、思たことがすぐ表に出るさかい、悪巧みが出来ん。 しやさかいあの葉月はんが心を開いた、そう思わんか? それに比べてイブはんは…優しさは時として人を深く傷つけることがあるさかいなぁ。 さて、この三角関係、どうなりますやら… マウ、お酒切れましたで、早よ持って来てんか。」 |
葉月の世界 第2話 『異変-2』 |
<あれ…ボク、どこに居るんだ? 何?見たことの無い鎧着てる。周りに数え切れない…あれは人?のような獣のような… みんな武器を持ってる。ボクを狙ってるようだ。そいつらが襲って来る。ボクも戦わなきゃ。 …を守る為に。何を守る? ボク、すごく早い。敵は止まってるように見える。 剣を一振りするだけで何千もの敵が倒れる。 でも、倒しても倒してもきりがない。 奴らが一斉に襲って来る。 ボクは…光を発して…消えちゃう…敵と一緒に… その時ボクの脳裏に浮かんだ顔は…間違いなく…> 「葉月ぃ、葉月ったら〜、大丈夫?うなされてたけど。」 リリスの脳天気な呼び声でボクは目覚めた。どうやら夢を見ていたらしい。 「んあ、リリス、遅かったじゃないか。」 時計を見ると12時を廻っていた。 「あぁ〜、ちょっと足がしびれて動けなくて〜。」 「?」 「じゃなくて〜、ちょっと準備に手間取ってね〜。 でも、もう大丈夫よ〜。リリスちゃんが葉月を助ける方法をちゃ〜んと考えて来たから〜。」 そういうリリスは手に一冊の本を持っている。 「信用していいんだな?また襲ったりしないか?」 「もお〜、こんな時にHなんか出来る訳無いでしょ〜。 もっとリリスちゃんを信用しなさ〜い。」 そうは言っても昨夜が昨夜だけにいまいち信用出来ないんだよな。 そういうボクはまた体から放つ光が増して来たみたいだ。 ここはリリスに任せるしかないな。 「えっへん、取り出したるこの本は〜そこにもあるここにもあるという本と本が違うよ〜」 「んな事分かってるから早くしろ。」 「んも〜、葉月はせっかちなんだから〜。 じゃあ、いくわよ〜。葉月ぃ、この本に意識を集中して〜。」 そう言うとリリスは白紙の本を胸の前で広げた。 「は〜い、息を止めて〜。 めいどすくみず らぶみーどぅー!」 な、何だ?そのまぬけな呪文は。 ボクは意表をつかれて思わず吹き出してしまったんだ。 するとボクの体の中から、何かが吸い出される感覚がして、光が本に吸い込まれていく。 それにつれて体が徐々に軽くなってきた。 本は次々と光を吸い込み続け、それが10分ほど続くと、ボクの体を覆っていた熱のようなものが消え、自由に動けるようになった。すると、 「は〜い、終了〜。」 リリスが宣言とともに本を閉じた。 ボクはふと今までずっと裸だったことに気付き、慌てて布団を引き被った。 そうか、リリスにずっとボクの裸、見られてたんだ。 「もぉ〜、隠さなくたっていいじゃな〜い。 葉月の裸なら、どこへ出しても恥ずかしくないわよ〜。」 「そういう問題じゃない!」 「まあ、取りあえずこれでOKね〜。あと、表紙に葉月の名前を書いてから封印するんだけど、それは後でいいわ。」 「ねえリリス、ボクの覚醒した能力ってなんなのさ?」 「あ〜あれね〜。 単に〜異次元のソーマが葉月の体に出来た空間の歪みを通って噴き出しただけ。 アーヤはたぶんその歪みのことをいったんじゃないかしら〜。 そうだ、葉月お腹すいたでしょ? 今日は〜、リリスちゃんが葉月のために特製ランチを作っちゃいま〜す。」 と言う前から既にメイド服姿に変身していたリリス。 リリスがいそいそとキッチンに向かった後、ひとり取り残されたボク。 ほんとに元通りの体に戻ったのかな。試してみよう。 自然と右手が股間へと伸びる… ボクは指先に潤いを感じながら、敏感な場所へと動かす。 「あ…ん…はあああん」 絶頂に達した後、ふと机の上の初美の写真に目をやる。 初美… すると一番上の引き出しから光が漏れているのに気付いた。 何だろう? ボクはベッドから起き上がり、引き出しを開けた。 「これは!」 つづく |