連載小説
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レミーが開いた空間に入ると、濃い霧が広がった場所へと出た。
どこを見ても、霧しか見えない……
羅夢「ここは…?」
隣にいる葵に、ここはどこなのかと尋ねる。
葵「ここ?ここはね、現実世界と物語の世界の狭間…レミーには物語の世界へ移動する能力があってね、レミーの導きで、物語の世界へ行けるんだよ。」
羅夢「能力がない人が行ったら、どうなるの?」
葵「それはね〜…」

葵「この空間で一生彷徨うことになるかな。」
と、笑顔で言う。
羅夢「えぇぇぇ………」
顔が青ざめる羅夢。
グスタフ「おいおい、新人を怖がらせんなよ?」
葵「グスタフだって、さっきしてたでしょ?」
グスタフ「俺のはあれだ、実力を確かめるためのやつだ。」
2人とも顔が笑ってる。
レミー「おい、もう着くぞ。」
話してる3人に対してそう言う。目の前を見ると、霧が少しずつ晴れていくのが見える。

羅夢「物語の世界…ねぇ、どんな場所なの?」
先頭にいるレミーに尋ねる。
レミー「知らない。到着するまでは、どんな場所に着くかはわからないんだよ。」
羅夢「へぇ……どんな場所だろう…」

霧が晴れて、光が強くなる………




























光が消えた時、目に映った世界……江戸の町並みのような世界に、羅夢達は辿り着いていた。
羅夢「ここは…?」
グスタフ「なんか、随分古臭い町だな……。」
羅夢とグスタフが町を見回していると、レミーが魔導書を開く。
レミー「…"大江戸大怪盗絵巻"か……」
レミーが魔導書を見てそう呟く。魔導書には、レミーが呟いた言葉…"大江戸大怪盗絵巻"と書かれてあった。
羅夢「なにそれ?」
羅夢が魔導書を見て、そう尋ねる。
レミー「この世界の名前…簡単に言えば、物語のタイトルだ。」
羅夢「へぇ……」

葵「大怪盗ってことは、怪盗が主人公の世界ってことかぁ。大怪盗って言うくらいだし、見つけるのが難しそうだね……。」
一行は少し町を歩きながら、そう話してる。
葵「とりあえず、手分けして情報収集する?」
グスタフ「いや、ちょっと待て。あれ見ろ」
グスタフがある方向を指差す。指差した先を見ると、人集りが見える。やけに騒がしい……

レミー「やけに騒がしいな…何かあったのか?行ってみよう」
羅夢「あそこに、その怪盗いたりして…」
葵「いやいや、流石にないでしょ。怪盗なんだから、こんな白昼堂々と盗みを働かないよ。」

人集りの近くまで来ると、みんなに屋根の上を見上げてる。中には役人らしき人物が何人か見える。
役人「おい!降りてこい!!今日こそ捕らえてやる!!」
役人の1人が、屋根の上にいる人物に向かって言う。屋根の上にいる人物は……片手に刀を持っており、片手には小判が入った箱…恐らく盗んだ物だろう。背中に大きなキセルを背負った…女の子がいた。

「降りてこいって言われて、降りるバカがどこにいるんだ?そんなにこのオレ様、天下の大泥棒「五右衛門」を捕まえたきゃ、力ずくで捕まえることだな!」
そう言ってその少女、五右衛門は屋根から屋根へと飛び移りながら、役人たちから逃げていく。
役人「まてー!!逃がすな、絶対に捕らえるぞ!!」
役人達は、五右衛門を追う。

葵「…白昼堂々と盗み働いてたね……」
グスタフ「あいつがこの世界の主役だな!追うぞ!!」
役人達とは別の方向から、五右衛門を追うことにした。



















五右衛門が逃げた方向へ走っていると、なにやら少しボロそうな長屋が並んでる場所へ着く。
グスタフ「アイツ速いな…どこ行った……」
羅夢「ここのどこかに住んでるとか?」
レミー「可能性はあるかもしれないけど、下手に聞き込みをしてたら逃げられる可能性もある。どうするか……」
すると、長屋の一軒の戸が開く。











五右衛門「いやいいって、お礼なんてさ」
住民「いえ、いつもありがとうございます。こうして生きてられるのも、五右衛門さんのおかげ…」
長屋から、五右衛門と五右衛門にお礼を言ってる女性が現れる。
葵「意外と早く見つかったね?」

レミー達が五右衛門に近づく。
葵「あのー、ちょっといい?」
葵が五右衛門に話しかける。
五右衛門「ん?なんだお前ら?妙な格好してんな?」
葵「ちょっと旅しててね、ここに来たばかりなんだ。なんか詳しそうだし、ここのこといろいろ教えてくれないかな?」
五右衛門「おう!いいぞ!」
ニッと笑い、あっさり引き受ける五右衛門。
五右衛門「じゃ、うちに上がれよ?ちょいと狭いけどな!」
と言って、自分の家がある方へ歩き出し、羅夢達は五右衛門についていく……








つづく
17/07/23 00:12更新 / 青猫
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