連載小説
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五右衛門の家の前まで移動してきた一行。
五右衛門「じゃ、上がってくれ」
羅夢「お邪魔しまーす」
全員、五右衛門の家に入る。
五右衛門「まぁ、適当にくつろいでくれよ?ちょっと、茶を淹れてくるからな〜」
五右衛門が奥の方へと入って行き、羅夢達は適当に座る。
羅夢「なんだか、古い感じだね?家とか、町とか」
レミー「そういう世界もある。前にも、何度かこういう風景を見た。」
羅夢「そっかー…」
葵「私は何だか、懐かしい感じがするなぁ」
羅夢「懐かしい?」
羅夢は首をかしげる。葵は笑みを浮かべて
葵「うん、私の故郷もこんな感じでね?懐かしいなぁって」
グスタフ「俺からすれば、何度来てもこういう場所は珍しいけどな。」
羅夢「へぇ…みんな故郷の雰囲気とか違うんだね」

五右衛門「待たせたな、持って来たぞ〜」
五右衛門がお茶と茶菓子を持って、みんながいる部屋へ戻ってくる。お茶と茶菓子はちゃぶ台の上に置き
五右衛門「でー、お前等この街の方が知りたいんだっけ?」
レミー「あぁ」
お茶を飲んだ後、五右衛門がみんなに聞く。レミーがその質問に答えて、五右衛門は湯呑みをちゃぶ台に置いて
五右衛門「よし!オレ様が教えてやるぞ!」
と、ニッと笑みを浮かべる。


五右衛門「ここは江戸っていう名前の街でな、いわゆる城下町だな。ここに来る途中、でっかい城があったろ?」
確かに、ここへ来る途中…遠くではあったが、城があった。遠くでも大きく見えたから、近くでは相当大きいだろう。
五右衛門「あの城にいる、仙石秀久って奴がいろいろこの街の決まり事みたいなものを決めてるんだよ。オレはアイツのこと、好きじゃねーけどな。」
レミー「権力者を嫌う奴も、珍しくはないね。」
それを聞いたグスタフが、葵に
グスタフ「おい、江戸時代で権力者って言ったら、秀久じゃねーだろ?」
と聞く。すると葵は
葵「ここは物語の世界、現実の歴史とは違うようにできてるのも、珍しくはないよ?」
と返した。

羅夢「ところで、五右衛門ちゃんはなんで泥棒してるの?」
羅夢が話を聞いた後、五右衛門に質問する羅夢。すると五右衛門は
五右衛門「五右衛門"ちゃん"!?な、なんか、むず痒い呼び方だな…」
葵「五右衛門ちゃん、羅夢は普段人のこと"にゃん付"で呼んだり、変なあだ名を勝手につけて呼んだりしてるよ?喋り方も、なんか変わってるし。」
五右衛門「は!?なんだそれ!?」
驚く…いや、少し引いたような顔をして、羅夢を見る五右衛門ちゃん。
五右衛門「でも、なんで今はマシな呼び方してんだ?」
グスタフ「大人の事情って奴だろ?流石にそんな喋り方な奴が、主人公の1人を務められねーってことだ。」
五右衛門「…?なんか、よくわかんねーけど、わかった…」
大分メタい会話である。

五右衛門「えーっと、何でオレが泥棒してるかって話だったな?」
話が大分ズレてたため、元に戻す五右衛門。そうだなー…と呟きながら、少し上を見る。そして
五右衛門「…憧れ、って奴かな。」
と、少し上を向いたままそう答えた。
羅夢「憧れ?泥棒に憧れてるの?」
五右衛門「いや、そういうわけじゃないけどな。ある人が泥棒やってて、それに憧れてたって感じだな。」
羅夢「そっかぁ……」
何故、その人に憧れて泥棒に?どう見て憧れたのか、気になることはあるが……それ以上は聞かないことにした。
























その頃、この城下町の中央にある城にて。
その城で一番偉い人間がいるであろう部屋で、2人の人間が話している。
家臣「秀久様。またもや城下の方で、盗難事件が起こりました。」
報告書を片手に、隣の女性……仙谷秀久に報告書の内容を伝えている。
秀久「またか…今月に入って、6件目。盗難事件を起こした輩は、もう知れているだろう。」
家臣「はい、五右衛門という娘です。」
その盗難事件すべて、五右衛門が起こしたことである。
秀久「役人も、役に立たないな…仕方ない。何時ぞやのように、私が出向くとしようか」


つづく
17/10/15 00:17更新 / 青猫
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