連載小説
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第13話









「うぅ…うぅっ……………」

一人、部屋の隅で泣いている赤髪の少年。手には注射針を刺した痕、ガーゼなどが貼られている…


ウィィィィン


その少年のいる部屋の扉が開く音が聞こえる。少年はビクッと体が動き、酷く怯えた瞳でその方向を見た。
そこには、水色の髪に白衣のような姿、無表情だがどこか…暖かさを感じるような顔の女性がいた


「…っ……だれ……?」

その少年は、怯えた赤い目でその女性を見てる。女性はその少年に近づいて、少年の前に座る

「大丈夫です……私は、あなたの敵ではありませんよ…味方です……」
その少年を安心させるように抱き寄せて、その少年の背中をさする。少年は、小刻みに震えていた……,



「…っ……だれ……お姉ちゃん…」
少し落ちつきてきた少年は、その女性が誰なのかと問う。その女性は、静かに答えた




「私は…………」








































レイ「はぁ…はぁ…!」
街から離れて、目的地より少し離れた森まで走ってきたレイ。近くの木にたれるように座って、少し休憩する

レイ「………はぁ……はぁ……」
まだ少し息が荒いが、自分の鞄の中から水筒を取り出して水分補給をする。飲み終わると手で口をぬぐい、鞄の中に水筒を戻そうとする。すると、ある物が目につく


レイ「…」
折り畳んである紙だ。水筒を鞄の中にしまい、その紙を手にとって拡げてみる………そこには、無色の空の下に、赤髪の少年と水色の髪の女性が並んで立っている絵が描かれていた。そう、レイ達が施設から抜け出す前に描いた絵である



レイ「…シグナ…………」
その自分で描いた絵のシグナをじっと見る…その絵を見ていると、シグナが見せた、人間みたいな表情の数々……そして、夢の中で悲しそうな顔で別れを言った彼女の姿を思い出す。

レイ「…」
紙を元あったように折り畳み、鞄の中にしまって立ち上がる。こんなところで、止まっちゃいけない……早く聖書グリモアを手に入れて、シグナを元に戻すんだ…!心の中で固く決意した少年は、再び走り出した



















「…ねぇ……敵じゃ…ないんだよね……?」
先程まで怯えていた目も、大分落ち着いた少年が、女性に敵じゃないのかと不安そうな表情で問う。

「はい、あなたの味方ですよ。私の使命は、あなたをお守りすることですから」
どこか暖かさを感じる無表情で、敵ではないことを伝える女性。

「…ほんと…?」
「はい、本当ですよ」
こてんと首をかしげて聞く少年に、少し笑みを浮かべて答える女性。すると少年の表情は少し明るくなり、右手の小指を立てて前に出す

「じゃあ、約束して!嘘ついたら、針千本だ!」
「…はい、約束します」
女性は右手の小指を、少年の小指に繋いだ
































鋼色の空が、黒色に変わってる……目の前には、目的地である神殿がある


レイ「…ここか………」
その神殿の扉に手をかけて、扉を開く。中は石でできており、外の光が所々注していて、薄暗い

レイ「………」
黙って前に進む。薄暗い廊下をずっと進んでいると、広い部屋に出る。廊下よりは明るい


レイ「ここに、聖書グリモアが…」
前に進もうとすると


「聖書グリモアを手にして、どうするつもりだ?」
奥から、誰かが歩いてくる。レイはその人物が、聖書グリモアを守る番人だということをわかっていたらしく、構える。


「やめておけ…グリモアを手にしようとして、命を落とした者が何人もいる。私のてによってな」
その番人に外の光が当たり、顔もハッキリ見えるという状態だ






レイ「………!!」
レイは、その番人の顔を見ると…固まった






つづく
15/03/04 10:55更新 / 青猫
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