シグナが近くの椅子をレイが寝てるベッドの方に持ってきて、その椅子に座る

シグナ「では、お話しします。まず外の世界はこの施設とは比べ物にならないくらい広いですよ」
レイ「そうなの？ここだけでもかなり広いけど…」
流石に驚いて、興味津々な顔をしているレイ

シグナ「確かにここも広いですが、この施設は外の世界の一部に過ぎません」
レイ「へぇ…！」
シグナ「そして外の世界は、緑が溢れていて海や空もあります」
レイ「うみ？」
聞きなれない言葉を首をかしげて聞いて

シグナ「海と言うのは、外の世界の半分以上を占めている塩水ですね」
レイ「塩水が半分以上も？でも、なんで塩水なんだろ」

シグナ「川などは必ず海に繋がっていて、その間に石や岩、土などが削られて水の中で溶けます。海の水は太陽で蒸発した塩以外に、途中運ばれてきた金属等の塩なども混ざっているので、海は塩水なのです」
レイ「そうなんだ…！」
するとレイは、あることを思い出す


レイ「ねぇ、空は？空は何色なの？」
興味津々な顔で空の色を聞く。シグナは、このようなレイを見るのは初めてだ

シグナ「基本的に青色ですね。朝だと水色、昼には青色、夕方には朱色になり、夜には黒色になります。雲が集まると、灰色になったりします。空からは雨が降ったり、冬になると雪が降ります」

レイ「へぇ…！」
普通の人なら当たり前に知ってることも知らないのが、この施設の子供たちだ。レイはシグナの話を聞くと、「外に出てみたい」という欲望が芽生えた

レイの部屋に研究員が入ってくる

研究員「レイ君、調子はどうだい？」
レイの体調を伺う研究員。シグナが研究員の近くにいく


シグナ「大分よくな」レイ「まだ体調が優れないよ」
シグナが話そうとしたとき、レイが割って入る


研究員「そうかい？ならこの体温計で体温を測ってくれ、シグナは後でその体温を教えてくれ」
そう言ってレイに体温計を渡してレイの部屋を出る研究員


シグナ「何故嘘をついたのですか？」
レイ「いいんだよ、僕はまだ体調が優れないんだ」
シグナ「ですが、先ほど…」
レイ「昨日に比べると少しよくなっただけで、まだ体調が悪いんだよ。そのくらいわかれよ」
体温計をくわえて体温を測る

レイ「37.2って伝えといて」
シグナ「はい、わかりました」
体温計を受け取っれレイの部屋から出るシグナ。それを見計らって、ある紙を取り出す。その紙は、研究員の行動する時間帯や、集会の時間帯、就寝時間などがメモ書きされている

レイ「よし、この時間なら出ていける…！」
それは、今日の11時だ。その時間なら研究員が集会をするためて手薄だ。現在10時35分……ただ、１つ大きな問題がある

レイ「……シグナにはなんて言うかな………」
とりあえず持っていけるものをリュックに積めて、ベッドの下に隠したレイ。ベッドに戻れば、シグナが部屋に戻ってきた


シグナ「伝えてきましたよ」
レイ「あぁ………」
考えていた。どうするかを…………

シグナ「どうしたのですか、レイ。何やら考えているようですが……」

レイ「……シグナ…僕………」




つづく