連載小説
[TOP][目次]
从依夂











大ちゃん、今なにしてるの?


まだ、泣いてるかな?
それとも…今までみたいに、隣であたいのことを見てくれてるのかな?


…正直、ずっと考えてるんだ。これが夢だったらいいなって。
目が覚めたら、寺子屋に行って、勉強して、大ちゃん達と一緒に遊んで……そんないつも通りの日常を過ごせたらなって。



……あの頃に戻りたい。

…こんな弱いあたい、見たくないかな?…それとも、大ちゃんは知ってたのかな…あたいのこういうところも、全部。

…もう、前を見ないといけない。

大ちゃん、見てて。あたいが必ず……
















チルノ「ア゙ア゙ア゙ア゙ァァァァァァ!!!!!」


コイツ等を、やっつけるか

ら!!








爆風の中から現れたのは、黒装を纏ったチルノだ…顔に装着されたマスクを見る限り、Lv1だろう。
そのまま目の前にいる上位天使の首を右手に装着されたアームブレードで切り裂く。斬り落とすまではいかなかったが、斬られた箇所から血が吹き出ている。

「GAAAAA!!!」

見るからに苦しそうな声を上げて、斬られた箇所を手で押さえている。出血は止まってきており怪我も塞いできている…が、塞ぎきる前にチルノの方を向いて走りだし、腕を振り下ろして爪で斬り裂こうとしている…。
すかさずチルノは天使の攻撃を左手で弾き、アームブレードで天使の胴体をXのように斬り裂く。天使体から再び血が吹き出る。


アリス「…あれって…文と同じ、黒装…!?」
こいし「なんで、チルノちゃんが…?」

上空にいる者達も含め、その場にいる全員が驚いており止まってチルノが戦う姿を見ている。チルノは思念石を持ってる様子は無かった、文の思念石も見ていたが知っているような素振りは見せなかった。一体、何故…?


アームブレードを一旦消して、黒氷で作られた鋭い爪と手足に複数のカッターを作り出して。

「Grrrr…!!!GAAAAA!!!!」
まだ傷が治りきっておらず、体から血を流しながらチルノに向かって猛進する。チルノはそれに全く動じることはなく、静かに構える。天使との距離が縮まり、カウンターを狙う…その時をじっと待つように、その目は真っ直ぐに天使を捉えており…


「GAAAAA!!!!」
天使が飛び上がり、噛みつき喰い千切ろうとしているのか口を大きく開けている……そのタイミングでチルノが動きだし、天使が着地するのとほぼ同時で居合いのように天使の横を通りすぎ、少し離れた場所で止まる。






チルノ「………。」
「………」
背中を向けたまま二人とも動かず、ただ静寂だけが鳴り響く。その場にいる全員が、どちらの攻撃が決まったかはわからず…自分の仲間であるチルノが勝利したことを願って見続けている。


「…g………a…」
天使が静かに、弱々しく掠れた声でそう呟くのが聞こえる。それと同時に前に倒れる。倒れる途中、チルノに斬られたであろう腹部から血を吹き出し地面を赤く染め、天使は真っ二つになり地面へと落ちる。


チルノ「……。」
チルノの右手には天使の体内にあった白い思念石が握られており、体勢を元に戻すと思念石をじっと見つめ…握り潰す。思念石は粉々になって消えて、思念石を失った天使も消滅する。


アリス「…勝った…?」
こいし「すごい…すごいよチルノちゃん!」

少しの沈黙を破り、チルノが勝利したことを認識できた一同は喜びチルノに対しての賞賛の言葉を送る。この異変が始まって、逃げ続けてた…だが、逃げではなく攻めへと変わり、今漸く勝利することができた。
思念石の適合者については文から聞いていたが、実際に見たことはない。チルノが適合者だったことに加えて、上級天使を圧倒する程の力を有していることを知って驚いているだろう。

アリス「すごいわ、チルノ!あなた、いつの間に思念石を…」
チルノに話しかけて違和感を覚える。これだけ周りが喜び賞賛の声を送ってる中、チルノの反応がなく全く動いてない。

アリス「…チルノ……?」
そう声をかけた時、チルノが少しのふらつくのが見える。力や意識がないかのように…その直後、チルノが前に倒れようとしている。

アリス「!チルノ!!」
急いでチルノに駆け寄り、なんとか間に合い倒れる前に受け止める。チルノは静かに目を閉じており、黒装化が解けて元のチルノに戻り。

鈴仙「チルノ!」
こいし「チルノちゃん!」
皆がアリスの後に続いてチルノに駆け寄る。






























「…現在の状況は?どんな感じ?」
とある場所にて、天使含めた複数の人が集まり何かを報告し合っている。
「…そうね、今日だけで幻想郷住人の半分近くを討伐できたかしら。あとの奴等は逃げてるか、それとも隠れてるかくらいね…。…博麗の巫女は?」
報告していた少女が、皆に問いかける。これだけの異変が起きていれば、必ず動くはず…だが、それらしい動きが見られない。
すると、ある者が口を開き
「残念ながら、逃げられました。前からこの"思念石"について探っていた妖怪の賢者に別の世界へ…。今現在妖怪の賢者は博麗の巫女を送り出す際に居た鬼人正邪に守られている状態です。黒装使いでLv2、天の邪鬼にしてはやりますが満身創痍、あの二人が死ぬのに時間はかからないでしょう。」

「そう…伝え忘れたけど、私達に歯向かう連中が複数いるわ。中には、黒装使いも混ざってる。」

「ふむ…そうですか。」
少し考える素振りを見せて、その後全員の方を向き。
「思念石適合者は、黒装を狩ることを重点して行動してください。上級天使は天使を引き連れ、引き続き住民の駆除を。」

その場にいる全員が返事をして、それぞれ行動を開始する。指示を出した人物は、視線を動かさず後ろにいる人物に話しかける。
「…先程の話、ちゃんと聞いていましたか?」
「あー?きいてたよ、要はさぁ」



































Killer「黒いの、ぶっ殺せばいいんでしょ?」


つづく




〜おまけ〜

『エレンの幻想郷滞在記録』


ここ最近の記録を見返して思うことがあります。それは、私が特にこれといった不自由がなく平和に暮らす農家の娘みたいになってきていること。
これはよくありません、当然目的を忘れてるわけではありませんが…仲間が来ることをただ待ち続ける訳にもいきません。この記録も到底見せられるようなことを書いてませんし…。

以前この辺りのことについてアルヴィンから少し聞きましたが、どうやらこの近くに廃材が溜まっている場所があるそうです。機械ばかりなため、どうしたらいいか等と話し合ったものの何も決まっておらず、そのままにしているようです。今だけは、先住民の堕落さに感謝しましょう。

こう見えて私は、機械の扱いが得意でしてね。まぁ、力を供給していた人の影響でしょうけど…。なので、ここにある廃材を使って武器を作ります。非力な私では近接武器を扱えない…なので、遠距離武器である銃を作ります。

え?天使が使っているあの拳銃を持っていないのか、ですって?あんな2発しか撃てない銃、単独で使えるわけでもないですし、元々私は戦闘用ではないので持ってません。
あの拳銃の欠点も踏まえて、何発も撃てる小型の銃がいいですね…。となれば…







エレン「…Complete.」
なんとか完成しました。大口径の拳銃…残念なことに、弾を一発ずつしか装填できませんが…あのやたら装填に時間がかかる拳銃よりも装填時間が速いので、よしとしておきましょう。廃材だけでここまでの物ができたんですから。まぁ、今の私はこれが限界なんですが……
弾は思念石の力で作りましょう。弾の表面は思念石と同じ材質にして、中に大量の弾幕を詰め込めb

ガチャッ

アルヴィン「エレン、御飯の時間だよ」
エレン「ッ!!」
ビクッ

考え事をしてる最中、ノックもなしに扉を開けたアルヴィン。そしてエレンは急いで銃を後手に回して隠して
アルヴィン「…?どうしたんだい?」
エレン「な、なんでもありません!」
アルヴィン「そ、そうかい?」
エレン「それより、女性の部屋に入るときはノックくらいしてください!」
アルヴィン「え?…あ、ごめん!一人暮らしする時間が長かったから、つい…」
苦笑いしながら謝罪したアルヴィンは、エレンの部屋を後にした。
エレン「…」
まったく、アルヴィンは…デリカシーもなければマナーもありませんね…。
…とにかく、仲間もすぐには来ないでしょうし…ゆっくり弾を作りましょう。あとは、試し撃ちもしないと…





あれ、私…日本語で喋ってませんでしたか……?

つづく



23/04/16 20:58更新 / 青猫
前へ

TOP | RSS | 感想 | 目次

まろやか投稿小説 Ver1.53c