【悪魔対策機関】
某日、悪魔対策機関にて
規則正しく椅子と机が配置されており、目の前には大きなモニターがある広い部屋…会議室だろう。その会議室の椅子に全員座っており、モニター前に1人の男性が立っている。
「…揃ったな。まずは、これを見てくれ…」
モニター前の男性が、机の上にあるパソコンをいじり…あるデータをモニターに映し出す。モニターには、地図が…所々にグラフと数値のようなものが表記されている。
「これは、今月に入っての悪魔のデータだ。赤で表記されている方が悪魔が新たに現れた、被害を受けた数だ。青が、我々が悪魔を討伐した数となる。」
各都市に3つずつグラフと数値がある。S1、S2、S3…これは、悪魔対策機関が定めた悪魔の強さのことを指す。S1はSレート、S2はSSレート、S3はSSSレートとなっている。
「S1の悪魔は、都市によっては討伐数を上回ってきている。S3は数が少ない上、表立った動きはない…だが、警戒はするように。問題は、S2の悪魔だ…」
グラフや数値のほとんどを占めてるのが、S2の悪魔だ。討伐数を上回っており、活動も活発になっている。
「我々がここまで討伐しても、まだ増え続けている…今後の対策として、S2を討伐するための部隊を多めに編成、加えて悪魔を作り出す施設を調査する部隊を編成し、S2の殲滅を狙う…」
モニターが消える。
「以上だ…各部隊の代表は、後で私にどの都市への調査を希望するか、伝えるように…」
そこで会議は終了し、それぞれの部隊へ帰っていく隊員達。
「とりま、会議お疲れだな」
自分の部隊へ帰る最中のイルゼに、ある男性が話しかける。
イルゼ「…ディーノ隊長」
この男性は、イルゼが所属する第1討伐部隊の隊長を務めている。ちなみにイルゼは副隊長を務めており、2人とも先ほどの会議には参加していた。
ディーノ「それで、どっか行きたい都市があっt」
イルゼ「A市がいいです。」
まだディーノが全部言い終わっていないにも関わらず、即答するイルゼ。そのイルゼを見て、少しため息を吐き
ディーノ「やっぱりなぁ…そうじゃねぇかと思ってたけどよ…A市って、S2が一番多い都市だろ…」
イルゼ「……」
そう、目撃情報や先ほどのデータから、S2が一番多く、活発に活動しているのはA市…そこへ自ら進んで行きたいと言う者は、あまりいない…いや、イルゼくらいしかいない。
ディーノ「…アイツのことだろ?幻獣タイプで、半適合者の…お前が進んで行きたいって言う理由は、それくらいだからな…」
イルゼ「えぇ、当然です…」
左の義手を握りしめる…
イルゼ「イヴ・グレモリー…必ず、私の手で…葬ってやる…!」
A市にて
イヴ「ふぅ…ここはやっぱいいね、私くらいの悪魔がいっぱいいるからね…」
イヴの足元には、悪魔の亡骸が複数転がっている…イヴが倒したのだろう。
イヴ「私からすればありがたいことだけど、これだけ倒してもまだわんさかいるってことは……ここに施設でもあるのかな?それか、強い奴と戦いたいとかでここにいるとかかな…?」
複数の亡骸を見て呟く…施設がある方は考えにくい。ここに機関の人間が何度も調査に来ていて、イヴも施設を探している方だが…そんなのは見つからない。それに、適合者ならば施設の悪魔を辿って、そこへ行けるはずなのだが…何も感じない。特殊な結界が何かでもあるのだろうか?
イヴ「…わからないことだらけ、か。しゃーない、もうちょいここにいようかな。」
複数の亡骸をどこかへ運ぼうと、少し移動する。
それに、ここにいれば…あの子にも会えるだろうし。あれからどれくらい強くなったかな…あっちで戦ったのが、最後だっけ。何にせよ、私の命まであと数歩ってところかな…けど、まだ超えられたら困るかな。もっと強くなってもらわないと…。
…私を倒した後、あの子に何かが残ればいいなぁ……
亡骸を自宅へ運び終わり、家の中に入る。
イヴ「そういや、最近あっちに行ってないなぁ。どうしてるんだろ、あの子…今度、様子を見に行こうかな。その時までに、お土産用意しとかないとだね。」
そう言って、扉を閉めた…
ディーノ「よし、準備は出来たな。」
ディーノが第1討伐部隊の前に立ち、隊員に向けて話す。
ディーノ「俺達の目的は、A市の悪魔を殲滅することだ。今回それに力を入れてるから、違う部隊からもいくらか回してもらっている。複数の部隊を編成し、各個討伐へ向かうように。」
「はい!」
部隊の全員が返事をする。
ディーノ「よし、それじゃあA市に向かうぞ…気を引き締めていけよ!」
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17/06/17 20:09更新 / 青猫