第10話
病院から出た椿は、ある場所を目指してずっと走っていた……何故その場所を目指しているか、具体的なことはわからないが……誰かが、椿を呼んでいる。それが誰なのかはわからない…けど、その声は懐かしく感じる…さっき頭の中に映った人の声と、一緒だ。
知らないはずなのに、なんで懐かしく感じるかなんてわからない……とにかく、その場所へ行かなきゃいけない……自分の「何か」が、待ってる気がするから……
今は、その場所へ向かうことだけを考えて走っていた…
「こんな夜遅くに、何処へ行くつもり?」
前方から声が聞こえて、足を止める椿。複数の気配を感じる……
その気配の正体が、姿を現す。椿の前に、紫、藍、橙、レミリア、咲夜、美鈴、文が現れる。
レミリア「椿…ずいぶんと変わったわね…見た目も、雰囲気も」
紫「椿ちゃん、ここから先へは行かせないわ。大人しく、私達と一緒に来なさい。」
椿「…………」
椿は無言で木刀を構える。それを見た紫達も、戦闘の準備に入る。
藍「どうやら、やるみたいですね…!」
美鈴「私から行きます!!」
美鈴が椿に急接近し、上段の蹴りを仕掛けてくるが、かわす。
美鈴「はぁぁぁ!!」
そこから連続で攻撃を仕掛けるが、全てかわしている。
レミリア「身体能力も上がってるわ…美鈴の攻撃が一発も当たってない…!」
咲夜「美鈴!離れなさい!」
その発言の直後、美鈴は急いで椿から離れる。咲夜はもう空中にいて、能力を発動して時を止める。
隙はついた…!あの状態から避けることはできない!前の戦闘で、来るのがわかってたかのように防がれたけど…今回の攻撃がわかっていても、避ける暇なんて、な……っ!?
目の前の光景を見て驚く。時が止まっているはずなのに……椿がこちらに向かって走ってる。
咲夜「何故…!?何故動ける…!?」
椿は咲夜のところまで飛び、木刀で咲夜を叩き落とした。
咲夜「あぁっ!!」
美鈴「咲夜さん!?」
能力が強制解除され、全員が動けるようになる。能力を使ったはずなのに、咲夜が倒れてるのを見て、驚く一同。
レミリア「…!美鈴!後ろ!!」
美鈴「え…?」
バシッ
美鈴の後ろにいた椿が、木刀で後頭部を殴り、気絶させた。紫達の方を向く。
藍「能力と体術が通じない…でも、スペルカードなら!いくよ、橙!!」
橙「はい、藍様!」
紫「待ちなさい二人とも!」
紫がそういう前に、二人はスペルカードを発動していた。
藍「行符「八千万枚護摩」!!」
橙「鬼神『鳴動持国天』!!」
二人のスペルカードが、椿の方へと飛んでいく。
藍「二人同時に放った…避けることは不可能!!」
こちらに飛んできてるにも関わらず、防ぐ体勢に入らない。それどころか…そのスペルカードで放たれた弾幕に向かって走ってきている。
橙「な…!?」
藍「自ら突っ込んで…死ぬ気!?」
紫「……いや…違うわ…」
二人の放った弾幕が椿に当たる瞬間……
すべての弾幕が消えた。
二人「!?」
椿「っ!!」
何が起こったかわからないというような二人の間を居合いの速さで通り抜ける。通り抜けた後、二人は倒れた…
文「……あの四人を…」
レミリア「こんな短時間で倒すとは………!」
レミリアがあることに気づく。椿の右手の甲に……妙な紋章があることに
レミリア「あれって…!」
紫「なに…?何があるの……?」
二人はレミリアを見る。
レミリア「…前に似たような紋章を見たわ。あの異変の時に…」
文「異変って……少し前に起きた、第二の紅魔異変に?」
レミリア「えぇ……間違いないわ…あれは、椿の能力を意味している紋章よ。」
前に起きたとき、その人物のことを思い出して……わかったことを口にするレミリア。
紫「なるほど…でも、なんとなく能力はわかったわ。」
レミリアと紫は、少し前に出る。
レミリア「ブン屋、すぐにあの花の妖怪を…椿が行くと思う場所に案内しなさい。」
文「え…でも、あなた達は…?」
紫「……ここで時間を稼ぐわ」
ここで止めると言わず、時間を稼ぐと言ったということは……二人がかりでも、椿に勝てそうにないということ…
紫「霊夢は、先に目的地についてるわ。勘のいいあの子なら、能力もわかってるはずよ…幽香に教えてあげなさい。椿ちゃんの能力を」
レミリア「わかったの?能力が何なのか」
隣にいる紫を見上げる。紫は静かに頷いた。
紫「さっき起きたこと…あの従者の能力が効いてないこと、藍と橙のスペルカードが消えたこと……それらで考えられる能力は……」
紫は少し間を置いて、能力の名前を口にした………
"ありとあらゆる物を消滅させる程度の能力"
現在ノ修復率…70%…
つづく
16/06/22 20:39更新 / 青猫