連載小説
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第3話 リベンジマッチ!VIVIOvsFD3S
カウント係「カウント行くぞー!10秒前!」

その声がかかると同時に、二人はギアを一速に入れ、サイドブレーキに手をかけエンジンを吹かす。



















GO!


ガチッ とサイドブレーキを下ろし、アクセルを床まで踏みつけたゆいと啓介。
それと同時にFDの後輪、そしてVIVIOの四輪が地を蹴り、車体を前に進ませた。

涼介「スタートダッシュは、やはり啓介のFDが上だな。目測からして、FDは350馬力、VIVIOはよくて80馬力。藤原のハチロク同様、啓介が言うようなモンスターとは程遠い。やはり、モンスターなのはクルマではなく、ドライバーなのだな・・・」

スタート地点にいるギャラリーの耳に入る2台のエキゾーストが、徐々に小さくなる。

ギャラリーA「は、速い・・・高橋啓介のFD!350馬力は伊達じゃねぇぜ!クラッチミートもバッチリだ!」
ギャラリーB「勝負にならねぇよ!VIVIOのフル加速なんて、まるで止まってるようにしか見えなかったぜ!」
ギャラリーC「でも、ドライバーは秋名のハチロク並の腕の持ち主なんだろ?啓介も油断してられねぇよ!」

2台は、最初に来るコーナーに突入していく。ものすごく大きな差になった。

啓介「二度とバックミラーには映させねぇ!」
ゆい「どんな突っ込みだろう、見せてもらうよ」

啓介はクルマを減速させ、ヒールアンドトゥ、そして4速から3速、2速への素早いシフトダウンをし、ステアリングを切り込んだ。
たちまちFDのリアは滑り出す。啓介はステアリングを逆に切り、マシンコントロールをしていく。

ギャラリーD「おおーっ!のっけから見せてくれるぜ!」
ギャラリーE「VIVIOも来るぞ!」

ゆいもブレーキペダルを踏み、かかとでアクセルを踏みつつ4→3→2とシフトダウンをしていく。
そしてコーナーの方向にステアリングを切り、アクセルを踏みつけカウンターを最小限にしコーナーを抜けていく。

ギャラリーD「VIVIOもすげぇ!もしかしたら、コーナーはFD以上に速いかもしれない!」
ギャラリーE「いつすっ飛んでもおかしくねぇ!見てるほうがゾッとするぜ!あんなスピードで曲がるやつ、今まで見たことねぇ!」

そして啓介のFDが2個目のコーナーに進入。

啓介「今度こそバックミラーから消してやるぜ!」

アウト、イン、アウトと見事なラインで華麗にコーナーを抜ける啓介。

その直後、それを超える走りを見せ付けるVIVIOが現れこれまた華麗にコーナーを抜けていく。

ギャラリーF「どっちもすげぇー!秋名のハチロクを彷彿とさせる走りだ!」

啓介「ふっ、さすがにもう付いてきてねぇだろ・・・ん?」

啓介のFDのバックミラーにヘッドライトの光が映り込んだ。

啓介「・・・まさか!?VIVIOが・・・ヤツのクルマが!?いや・・・気のせいだ、そんなバカなことあるわけねぇ!」
ゆい「見えた!」

少し焦りを覚えた啓介。しかし走りは一片も乱さず3つ、4つとコーナーを抜けていく。
しかし、そのたびにバックミラーに映るヘッドライトの光が大きくなっていく。

ゆい「近づいてる・・・このまま追いつく!」
啓介「嘘だろ・・・俺は限界まで攻めてるんだ、なのに、なぜ追いついてきやがる!」

そして・・・6個目のコーナーを抜けたときだった。

啓介「ぐっ・・・追いつかれた!?何が起こってんだ、気がヘンになりそうだぜ!」
ゆい「追いついた!ここから・・・離されない!」



FDが鬼キャンに見える&ボディ歪んでるように見えて仕方ない
ちなみに後ろの青いのがゆいのVIVIOで前の黄色いのが啓介のFD3S


ギャラリーG「おおーっ!何が起こってんだ!啓介が煽られてる!レッドサンズのナンバー2の啓介が!」

ストレートでは離れるものの、コーナーに入ればすぐにその差は無くなる。

啓介「ここだ・・・5連続ヘアピン!俺が抜かれた場所!藤原のように、道路脇の溝を使ったコーナリングで抜かれたんだ!二度も同じパターンでやられてたまるか!」
ゆい「溝落としは通用しない・・・インをしめてくる!なら・・・」

5連ヘアピンのうち、3つ目に入った。その立ち上がりの後、ゆいは啓介のブレーキングを狙いマシンを横に並びかけた。
いわゆるサイドバイサイドだ。

啓介「並んだ・・・だと!?そっちはアウト側だろーが!何考えてやがる!」
ゆい「ここからだ・・・」

ゆいは、この5連ヘアピンの4つ目と5つ目の境がパッシングポイントと考えたようだ。
啓介とゆいは並んでコーナーを抜けていく。お互いラインは制限されているので立ち上がりも互角。

しかしここで、ゆいが驚くべき行動に出た。立ち上がった後の短いストレートでクルマを滑らせ始めたのである。

啓介「ここでスライドさせた・・・まさか!?」
ゆい「行け・・・!!」

ゆいはそのままクルマを逆方向に振り、5つ目のヘアピンにそのまま突入していく。普通の曲がり方では考えられないスピードだ。

啓介「か・・・慣性ドリフト!?」

そのまま啓介の視界から青い影は遠ざかったいった。

ギャラリーG「うわぁーっ!啓介が抜かれた!!慣性ドリフトで!おい、無線で連絡しろ!」
ギャラリーH「あ、ああ!」

全ての無線にこの知らせが行き渡り、場は凍りついた。信じがたい出来事が起こったからであろう。

最終コーナーにいるこなた達も、信じられない、と驚きを隠せない様子。

こなた「本気の走りをしている有名なドライバーを、こんな狭い道で・・・しかもドリフトで!?」
かがみ「信じられるわけがないわ・・・」
みなみ「・・・事実か嘘か・・・すぐに分かります」

啓介「こいつ・・・まさに第二の藤原の名がふさわしいぜ」

先行、後追いのポジションが逆転し大きなマージンがついた状態のまま最終コーナーにヘッドライトの光が現れる。

ゆたか「来た・・・」
ひより「逆転劇は・・・真か偽か!?」

ギャラリーI「来た・・・どっちだ!?」

現れたのは・・・青い影。

ギャラリーI「VIVIOだ!すげぇ、どうなってんだ!?」
ギャラリーJ「啓介のFDも来た!けどこれだけ離されたら、もう逆転できない!VIVIOの圧勝だ!」

そして、ギャラリーの中にまぎれているこなた達の目の前を駆け抜け、ゴールラインを駆け抜けていく。」

ギャラリーJ「今ゴールした!啓介が負けたーーっ!!」

この無線の知らせを聞き、こなた、かがみ、つかさ、みゆき、みさお、あやの、みなみ、ゆたか、ひより、パティは抱き合うほどの勢いで
喜びをあらわにした。

「やったぁーーー!」

ゆたか「信じられないよ、ゆいお姉ちゃんが2回も勝っちゃうなんて!」
こなた「姉さんは本当にすごいよぉ」
ひより「いやぁ、本当に感動っすよ!漫画の世界みたいっす!」

涼介「秋名のハチロクが、もう一台現れたようなものだな・・・負けは負けだ、いさぎよく認めよう」
ケンタ(レッドサンズの下っ端)「まさか・・・啓介さんが・・・たかが軽自動車に・・・」

こなた「いやぁ、すごく感動したねぇ!あ、みんなウチ来なよ、姉さんの勝利のお祝いしよーよ!」
つかさ「あ、いいねぇそれ!焼いたクッキー残ってるから持っていくねぇ〜」
パティ「Nice idea!もちろんイキマスよぉ〜!」

感動で胸が躍ったまま、皆でゆいに駆け寄り、拍手を贈った。

???「とんでもないやつがもう一人現れやがったか・・・また楽しみが一つ増えやがったな」
15/03/20 12:14更新 / マグナム
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■作者メッセージ
何度も何度も言いますが分からない用語はコメントに書いてくださればお教え致します。

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