【はづぱん】(少女恋愛綺譚EXTRA)前編
作者:銃太郎さん


……夏休みのある昼下がり、東葉月の自宅の一室で何やら淫靡な溜め息とともに蠢く人影が一つ……

「あ…はあん…あん…はあはあはあ」

昼間っからベッドに横たわりスカートの中に手を入れて股間をまさぐっているのは…

「あはん…葉月ぃ…好き…好きなのぉ…」

リリスである。 彼女の黒いストッキングは片方がガーターベルトから外れて膝下までずり落ちている。
白いブラウスの胸は開けられて豊かなバストが西瓜のような丸い姿を晒し、先端の二つの突起はつんと硬くなって天井を向いていた。
白い乳房に光る汗の粒が夏の光を浴びてキラキラ輝いていた。

「すーはー…すーはー…」

リリスは股間を弄りながら片手に何やら白い布を持ち、それを顔に宛てがってなまめかしく喘いでいる。

「ああん…葉月のパンツ…いい匂い…葉月の匂いがするぅ…葉月のいろんな汁の匂い…大好きなのぉ…」

どうやらリリスはどこからか葉月のパンツを手に入れて、その匂いを嗅ぎながらオナニーをしているらしい。

「ああん葉月ぃ…葉月葉月葉月ぃ…リリスちゃんを犯してぇ…」

リリスは葉月の汗と尿と愛液の入り混じった匂いに陶酔しながら、自らの秘裂に指を突っ込んで膣内を掻き回すのに熱中していた。

「ああ〜んリリスちゃん葉月の匂いでイっちゃう〜」

【バタン!】

その時、突然部屋のドアが乱暴に開き、長身の少女が大声で叫んだ。

「リリス!ボクの下着盗んだだろ!って、何してんだ?
あっ!それボクのパンツじゃないか!返せ!」

葉月である。葉月はなぜか水色のブラジャーとビキニパンツだけというセクシーな姿で部屋の入口に仁王立ちになってリリスを睨み付けた。
その年齢からは想像つかないほどの見事な肢体が、僅かな布に覆われただけの姿であらわになっているのにリリスは一瞬見とれてしまったが…

「うわあ!葉月!ここここここ…」

リリスは恥ずかしさと罪悪感で気が動転してニワトリのようにどもってしまった。

「これは〜、廊下に落ちてたのを拾ったのよ〜。
葉月に返そうと思ったんだけどその前にちょっと使わせて貰っただけで〜。決して盗んだ訳では…」

リリスが慌てて弁解するが、葉月は怒りをあらわにしてなおもリリスを問い詰める。

「嘘をつくな!脱衣所の洗濯籠に入れてあった二週間分の下着がごっそり失くなってるんだ。
しかもなぜかボクの下着だけ。そんな事するのはリリスしかいないだろ!」

「あたしが拾ったのはこの白にバナナのワンポイントが付いたビキニパンツ一枚だけよ〜、信じて〜。」

「昼間っから人のパンツを嗅ぎながらオナッてる変態の言うことが信用できるか。」

「ひど〜い、葉月だってしょっちゅうオナニーしてるくせに〜。」

リリスが頬をぷっと膨らませて拗ねる。

「う、五月蝿い!ボクの事はほっとけ。」

葉月は顔を赤らめて言葉を濁す。

「ていうか二週間も洗濯物溜め込んでるんだ〜、葉月って案外ズボラなんだね〜。」

「だ、だから今シャワー浴びるついでに洗濯しようと思ったんだ。そしたらボクの下着だけが消えてた。
泥棒が入った形跡はないから内部の者の犯行だろ?そうなるとリリスしかいない。」

「何でよ〜、おでこちゃんも居るのにあたしだけ疑うわけ?
まあ…疑われても仕方ない状況なんだけどね〜…(汗)」

「さあ早く全部出せ!」

「だから〜リリスちゃんは知らないの〜、葉月のいじわる〜。え〜ん…」

嘘泣きをして葉月の追求を交わそうとするリリス。

「リリス姐さんは無実でっせ、葉月姐さん。」

その時二人の前に不幸のキイロイトリ…じゃなくてケンちゃんが現れた。

「リリス姐さんは悪魔やけど泥棒するような度胸はおまへん、ワイが保証します。」

「ちょっと〜、アンタ庇いながらさりげなく失礼なこと言ってない?」

(しもた、ここでリリス姐さんに恩を売ろうと思たのに、つい日ごろの怨みが出てしもた…)
焦るケンちゃん。

「そういうケンちゃんもグルじゃないのか?いつもセクハラばかりしてるし。」

「そんなに疑うんやったら家捜しでも何でもしなはれ。
それにしても葉月はんの下着姿が拝めるやなんて、ワイはなんて幸せ者なんやー…ぐえっ!」

ブラジャーの胸にしがみついてほお擦りするケンちゃんを葉月の手が捻り潰した。
それから葉月はリリスが寝泊まりしているその部屋を始め、家中を捜索したが、消えた下着は発見出来なかった。

「これだけ探して見つからないとなると〜、やっぱりおでこちゃんの部屋が怪しいわね〜。」

「初美がそんな事する訳ないだろ!いい加減な事を言うな。」

「だって、捜してないのはあの娘の部屋だけでしょ〜?」

「そ…そうだけど…」

葉月は渋々初美の部屋も捜す事にした。

「ああ…初美の…いい匂い♪」

「ちょっと葉月、枕の匂い嗅いでうっとりしてる場合じゃないでしょ〜、あの娘が夕飯のお買い物に行ってるうちに早く捜さないと〜。」

「あー、わかったわかった。」

明らかにやる気の無い葉月。
初美は買い物に行くとお茶を飲んだり公園でマターリしたりして中々帰って来ないのだが、他の部屋の捜索に時間を食ってしまったのでリリスは焦っていた。

「じゃあここから捜すよ。」

葉月がクローゼットの扉を開けると、中にうずたかく積まれたA4大の長方形の箱が目に飛び込んだ。

「何だろ?」

葉月がそのうち一つを手に取って見ると、箱にはかわいらしい少女達のイラストが描かれており、更にタイトルらしい文字も書かれていた。

「【コンビニ戦士ラブリーぷりん】?何だこれ?」

「あ〜これはエロゲね〜。」

「エロゲ?って何なのさ。」

「18禁のエッチなPCゲームの事よ。それにしてもいっぱいあるわね〜。ざっと100本はあるんじゃない?」

「何だって初美がこんな物を?」

いぶかる葉月をよそにリリスがはしゃいでいる。

「あ〜【ヤミと帽子と本の旅人】これは超名作なのよね〜、[ボクが望んだ永遠]に[顔のある月][超勤病棟][大アクメ][Maidイン・ヘブン][お姉ちゃんといっしょ][いもうと奴隷][カスタマイズド隷嬢][ツンデレ妹調教授業][お姉ちゃんボクをいぢめて][Two Heart3][Slave Princess美緒][らぶすれ−恥辱めての夏休み][よいこのとしょかん][御主人様が見てる][最終痴漢専用車両]…[セーラー服奴隷志願…堕ちた美肉][男女共同三角木馬][巨乳でポン][メイドおおきに〜うちは京都のメイドはん]…この辺になると訳解んないわね〜。」

「って何全部広げてんだ?」

「一本6千円から1万円ちょっととすると〜…全部合わせると100万円近くになるわね〜。ていうかこれ全部プレイする時間あんのかしら〜。」

腕組みしながらつぶやくリリス。

「いやに詳しいなリリス。」

「まあね〜、エロい事は何でもお任せよ。」

「にしてもそんなお金どこから…初美のお小遣を遥かに超えてるし…」

「ねえ葉月、下着が消えたのは今日が初めて?」

「いや、一枚くらいなら何度もあったけど、干してるうちに風で飛ばされたと思ってあまり気にしなかった。
でもこんなに大量に消えたのは初めてだ。」

「初美は最近日曜日になると一人で出かけるわよね〜…やっぱり何かあるわよ葉月。リリスちゃんの勘に狂いはないわ。」

「う…うん…そう…かな」

葉月は初美だけは疑いたくなかったが、目の当たりに疑わしげな品々を見せられては看過することは出来なかった。
そうこうしている間に初美が帰って来てしまったので、捜索を打ち切って初美の行動を見張ることにした。

「ところで〜、[ボクのぞ]の水樹って葉月がポニーテールにするとそっくりなのよね〜。」

「そんな事ボクが知るかー!」

−−−−−−−−−−−−
次の日曜日、初美は朝食を済ませるといそいそと外出の仕度をして玄関ホールに降りて来た。
裾の広がった黒のワンピースにはひらひらした白いレースの飾りが至る所に施され、お揃いの黒のニーソックスにも太腿部分に白いレースが付いている。
首にはこれまたレース付きの黒リボンのチョーカー、頭にもお揃いのヘッドドレスというゴスロリのファッションでキメて来た初美。

「葉月ちゃん、お姉ちゃん、私出かけるからお留守番お願いね。」

廊下の奥から見守る二人ににこやかに声を掛けて初美はいそいそ出掛けて行った。

「見た?葉月、おでこちゃんおっきいかばん持ってたでしょ〜?」

「あれにボクの下着が入ってるのか?」

「リリスちゃんの推理だと〜、あれを誰かに売ってお金に替えてるのね〜。」

「そんなこと初美がするなるて信じられないよ。」

「だから尾行して確かめるのよ〜。こういうのは取引の現場を押さえなきゃダメだからね〜。頑張ってね〜葉月〜。」

「だからってこの格好は恥ずかしいよ…。」

葉月が恥ずかしがるのも無理は無い。リリスが用意した葉月の服装は、ターコイズブルーのタンクトップにローライズのジーンズというセクシーなファッションだからだ。
露出した肩とお腹がたまらなく色っぽいのが葉月自身にも解ってしまうくらいだった。
しかも浅い股上から露出した腰骨のあたりに黒いTバックのパンツのヒモが見えてしまっている。

「パンツ見えてるじゃん…」

「こういうファッションなの。わざと見せるようにしてるのよ〜。
これくらいイメチェンしないと葉月ってばれるからね。」

「かえって目立つんじゃないのか?」

葉月が頬を赤らめて尻込みする。

「大丈夫、仕上げにこの帽子を被って〜眼鏡も…」

リリスは葉月の漆黒の長い髪を纏めて紺のキャップの中へ納め、眼鏡を掛けさせて言った。

「素敵〜!これで誰も葉月とは気付かないわ〜♪
じゃあリリスちゃんはお留守番してるから頑張ってね〜。」

葉月の首に抱き着くリリス。

「わ、わかったから離れてくれリリス。」

「お出かけのキス…して。」

唇を突き出すリリス。

「あほか!」

リリスの頭をぽかりと叩いて葉月はそそくさと初美の後を追った。

「ふ〜、やっと行ってくれたわ〜。さてと、リリスちゃんは高見の見物といきますか。」

リリスが体の前に両手を翳すと、空中に人の頭大の透明なスフィアが現れた。
そこに葉月の姿が映し出されているのを確認すると、居間の長いすに腰掛けて優雅に紅茶を飲み始めた。


一方葉月は…
初美を尾行して電車に乗っていた。
車内は混んでいたので初美に気付かれる心配はなかったが、ドア付近に立っているとどこからともなく手がお尻に伸びて来て葉月の張りのあるヒップを撫で回す。
さらに別の手が葉月の胸を揉み始める。
葉月の身体はとっても感じやすいので、思わず(ああん)と声を出しそうになったが、初美に気付かれてはいけないので懸命に声を殺して弄ばれるまま快感に耐えていた。
そんな葉月を知らない初美は電車を乗り継ぎ、とある駅へ降り立った。
その駅の名は秋葉原。
アキバ系と呼ばれる人々が集う萌えの聖地だ。
ここに着くまで痴漢に触られ通しだった葉月は、何度も立ったままイッてしまい、ふらつく足取りで人込みの中を初美を追跡する。

「うー…まだ身体中がジンジンしてる…みんな触るの上手過ぎだよ…しかしこの街はリュックをしょってる男ばかりだな。」

葉月は自分のギャルっぽい服装がこの街では激しく浮いているのを感じていた。

「これじゃかえって目立ってしまうじゃん…」

しかし、道行く人達は皆葉月には見向きもしないでゲームやアニメグッズを物色するのに夢中だ。そこには独特の熱気が渦巻いていた。
萌えを追求する男達の熱気にすっかりあてられながら、葉月は初美を追跡した。

一方初美は、葉月に尾行されているとも知らずに裏道へと足を進めた。
人通りのない狭い路地を歩いて行くと、ビルの陰から四人の男が初美に声を掛けた。

初美はニッコリ笑ってかばんを開けて中身を男に見せる。

「うふふ、今日のは上物だよ。」

「葉月たんの生下着キターーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

「いつもと違って洗う前だから匂いも濃いんだよー。」

「はははは、初美たんグッジョブっすー。こいつは末端価格一枚●百万円は下らないぜ、スゲー。」

「ああ、芳しい葉月たんの匂い…激萌えっす。」

葉月のパンツを嗅ぎながら興奮の色を隠せない男達。

「(ガーン!!)やっぱり初美がボクの下着を密売してたのか…末端価格●百万って…暴利だ(滝汗)」

物陰から見守りながら呆れ返る葉月。

「刀があればこいつら纏めて成敗してやるのに。」

葉月は初美を疑いたくはなかった為に丸腰で来た事を後悔した。

「こ、こんなの見せられたら俺、もう我慢できないよ。」

「俺も…相棒がやばいっす、ねえ初美たん、俺達と…いいっしょ?」

葉月のパンツの匂いに発情した男達が初美の身体を触り出した。

「あ…ダメだよ…こんなところで…人に見られちゃうよ。」

「かまわないさ…ハアハア…あんなの見せられたらもう我慢出来ないよ…ハアハア…」

男達が初美のスカートに手を入れたその時…葉月が男達の前に躍り出た。

「待て!初美に何をする!!」

「だ、誰だあんた?」

葉月は男達がうろたえている隙に下着の入ったかばんを奪い取ろうとしてもみ合いになる。
その弾みでキャップが取れて美しい黒髪が露になった。

「は、葉月ちゃん!」

「葉月たんキターーーーーーーーーー!!!」

「しまった!ばれた!」

「すごいよ初美たん、葉月たん本人まで連れて来てくれるなんて!感激っす!しかも眼鏡装備で激しく萌えっすよー!」

男達は狂喜乱舞しながら葉月の身体を触り始めた。

「や、止めろ…それ以上すると…ああ…」

「それ以上するとどうするんだ?」

男の手が葉月のジーンズのチャックを下ろし、股間に侵入する。

「もうこんなにびっしょり濡らしちゃってる癖に、こういうの期待してたんじゃないの?」

「ああん…そこはダメ…」
パンツの上から指で恥丘をなぞられて葉月の身体はビクッと反応する。

(しまった、電車で触られまくったから濡れちゃったんだ…そんなに触られたら変な声出ちゃう…)

男達の手で胸や尻を触りまくられて、葉月は痴漢されて火照った身体が再び疼き出したのを感じていた。

「助けて初美…このままじゃボク…変になっちゃう」
初美に助けを求める葉月、しかし…

「ごめんね葉月ちゃん、勝手にあなたの下着を持ち出して。
でも仕方ないの、わかって。お詫びに葉月ちゃんも気持ちよくしてあげるから…ね?」

両手を顔の前に合わせて天使のようにニッコリ微笑む初美。
葉月はこの笑顔を見せられたら逆らえないのだ。

「そういう訳だからー、みんなちゃんとした場合でしよ?」

初美の提案で4人の男達は葉月を抱き抱えてラブホテルへ連れて行く。
葉月は彼らの愛撫で身体の力が抜けてしまい、逆らう事が出来なかったので、すんなりと部屋へと連れ込まれてしまった。

>後編へつづく


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〜TVアニメ『ヤミと帽子と本の旅人』より〜