Page:15『 一夜限りの恋人〜ミトコンドリア・イブ〜』 エピソード原始時代:エバ 2006年4月17日更新 |
「なんだこれは!!!!」 此処はガルガンチュアの世界、アルカディア。 最近ではお馴染みになった朝食でのガルガンチュアの叫び声であった。 「どうなさいましたか?ガルガンチュアさま」 美しき歌姫であり、妖魔であるセイレンが尋ねた。 「おぉセイレン、見てくれたまえ・・・ このブロッコリーを 事もあろうか、生湯でなのだよ!!」 「ご主人様〜申し訳ございません〜新しいのを今すぐ用意いたしますぅ〜」 3バカがガルガンチュアに脅えながら申し出すのだが… 「生湯でのブロッコリーは硬すぎて食べずらいと、 いつもいつもいつもいつも言ってるだろうがぁ!!!!」 ガッシャンッ〜〜〜 すでに毎朝恒例となった、ガルガンチュアのちゃぶ台返しである。 もっとも、アルカディアに朝は来ないしちゃぶ台と言っても 西洋式のテーブルだから、少し違う気もするが。 「ふんが〜〜」 「逃げろ〜〜〜」 また始まったガルガンチュアと3バカの鬼ごっこの始まりである。 セイレンは皿に残ったブロッコリーをほおばると コリっコリっと音を立て、飲み込む。 舌で口についたソースをペロリとぬぐうと 空を見上げた… 「こう言うものはタイミングが大事… 私は生湯でのブロッコリーの方が好きですけどね」 ガルガンチュアにボコボコにされながら、3バカが少し嬉しそうに セイレンにラブコールを送る。 「しかし、セイレン…」 「ふふふ、分かっていますわ ガルガンチュアさま。 彼らは失敗ばかりですものね…怒りたくなる気持ちも分かりますわ。 ともあれ、そんなクズに頼らずとも私(わたくし)めに お任せあれば、イブを見つけ出す事など容易な事」 セイレンは3バカを見下すように言い放つ。 「おぉセイレン、やはり頼れるのはキミだけだ」 ご自慢のガルガンチュアダンスが始まる。 「俺達が100年も200年もかかって見つけれれないイブを〜 すぐに見つけ出すなんてできるワケないじゃないかぁ〜〜」 3バカが反論するも、シカトするセイレン。 「そうそう、イブのソーマを宿したイブの忘れ物の一つが 見つかりましてよ。」 「おぉ素晴らしい!!で、何処にあるのだいセイレン」 「原始時代の世界…イブが人類を生み出す最初の世界。 すでに、刺客を送り込んでありますわ」 不適な笑みを見せるセイレン。 ガルガンチュアは左腕に巻きつけたジルのリボンを握り締め 歓喜に満ちていた。 「そうか、遂にイブへと繋がる道が開くのか! はははははは はーははははははは」 アルカディアを照らす、月の光がガルガンチュアの影を映し出す。 その影には、再び暗黒が宿っていた… セイレンは空を見上げ笑みを浮かべる。 「以前図書館に忍び込んだときに、イブのソーマを封印するための しおりを入れた本があるのよ…まさか、あれが役に立つとき来るなんて。 リリスはイブのソーマを感知する為、逆にソーマを感じない本には 一切の関心を示さないのよね…まさか本に細工がしてあるとも知らず。 それが仇となって、せっかくのイブのアイテムを手にし損ねる… ほ〜〜ほほほほほ 今度はリリスとあの忌々しい小娘に邪魔される事もないわ!! 私がイブのアイテムを入手すれば、こんな世界ともおさらばよ ほ〜〜ほほほほほ」 「ははははは、は〜〜〜〜はははははは」 セイレンとガルガンチュアの高笑いがアルカディアの空にこだまする… Page:15 一夜限りの恋人〜ミトコンドリア・イブ〜 エピソード原始時代:エバ 葉月達を追って、猿人の少女とコゲちびは小さな洞穴にたどり着く。 そこには、初美(イブ)が描かれた壁画があった。 それを見た猿人の少女は葉月が見せた初美の写真を思い出し 葉月にこの壁画を教えるべく、 再びコゲちびと葉月探しの冒険が始まるのだが… 二人が去ろうとした瞬間、 そこに供えてあった古ぼかしいリボンが輝きに満ちる。 おそらくそれは、コゲちびとの共鳴を起こし 本来のイブのソーマを放ち出したのである。 そう、このリボンこそがこの世界にイブが来ていた証拠である、 イブのアイテムの一つであった。 コゲちびはそのリボンを猿人の少女の尻尾に縛りつけ 葉月の元へ届けようとジェスチャーをする。 猿人の少女はコクンと頷き、洞穴を後にした。 所変わって、原始人達に連れられ集落に辿りついた葉月一行。 その集落は大きな岩山を切り崩し居住区を造り出していた。 一風どの時代ともつかない構造式をしていた。 良く見ると、カッパドキアを連想させるような水洗式トイレすら完備されており 彼らの風貌からは想像もつかない高い文化水準を持っていた。 葉月は巨大な岩山を切り抜かれた建物に入ると、 最初に驚いたのはその涼しさであった。 外は日が照っており、風は無く生暖かい感じであったが、 この建物には明らかに冷房を連想させる機能があった。 それは岩山の高さを利用し、上空の強い風と冷たい空気を それぞれの部屋へと流す様に岩を抜き込まれ冷房として機能しているようである。 同時に地下には食料を冷蔵保存する機構まであり、葉月を驚かせた。 葉月はクィルに一通り案内されると、大きなホールへと向かった。 「あのさ、クィル・・・この人達ってクィル以外にボクらの言葉を 話せる人間はいないみたいなんだけど…クィルはどーして ボクらの言葉が話せるの?」 葉月はこの高い文化水準にしては、言葉に共通性の無い原始人達を 疑問に思い、それをクィルに尋ねてみた。 「?それは、戦士さま達が神様の言葉を話されているからです。 私は神に仕える巫女ゆえ、言葉を授かっているのです。 笑顔で答えるクィル。 それを見て、腑に落ちない葉月であったが。 この巨大な岩山を切り抜いた建物には、中央には巨大なホールが作られていた。 そこは儀式の間であると、葉月は瞬間理解していた。 リリスはそのホールの舞台の台座に座り、様々なもてなしを受けていた。 「さぁ戦士さまもどーぞ」 クィルに葉月も台座に向かわされるが、 リリスを崇めるように平伏す住民達の奥には、 リリスが美味しそうに食べる食事を指をくわえ見つめる子供達の姿が目に入ってきた。 「リリスのバカ・・・・」 葉月は、そのもてなしがいかに貴重な品々か理解していた。 「戦士さま?いかがなされました?」 クィルが葉月の顔を覗き込む。 「もしボクの分があるのなら、それをあの子達に食べさせてあげて欲しい」 葉月を目を細め、その痩せこけた子供達を哀れに思った。 「戦士さま・・・・戦士さまはお優しいのですね。 はい、後でそのように諮らせて(はからせて)いただきます」 「あぁ、そうしてくれ」 葉月はそう言うと、リリスの無神経に腹が立ち、建物を後にした。 葉月はあても無く、森の方角へと向かった。 そんな時、遠くの山奥から謎の獣が葉月達を睨みつけていた… 「戦士さまぁ〜〜」 クィルが豊満な胸をぶるんぶるん振りながら、葉月の元へ走ってくる。 「クィル…いいのか、リリスの側にいなくて」 「はい、あちらは村長達に任せてあります。 戦士さまはどちらに行かれるのですか?」 クィルは葉月の側を離れたくなかったのだ。 「どちら…そうだなぁ 人を、探しているんだ…」 「人?ですか?」 「あぁ、姉がボクの前から姿を消してね…それを探すために この世界にやってきたんだ」 「お姉さんが、ですか? ・・・・・私は妹が小さい頃に居なくなってしまいました… ですから戦士さまの気持ちがよく分かります」 笑顔を向けるクィルだが… 「ボクは必ず探し出す!」 葉月は少し大きな声で怒鳴るように言った。 少し驚いたクィルは申し訳無さそうにしている… 「あ、ごめん・・・」 葉月は同じ悲しみを持つであろうクィルに当ってしまったのが ハヅかしくもあり、どうしてそんな事をしてしまったのか困惑した。 「あ、そうだ この人を見た事無いかな?」 葉月は話題を変えるためにも、携帯の待ち受け画面の初美の写真を クィルに見せるのだが… 「!!!!!!エバさま」 「エバ・・・・さま? 知ってるのか初美を!!!!」 「あ・・・その方かは分かりませんが… そうだ、見せたいモノがあるのでご案内します」 クィルは笑顔に戻り、葉月の腕を取ると走り出す。 「おい、クィル 初美の所に案内してくれるのか!?」 「行ってのお楽しみです!」 そう言うと、はしゃぎながら葉月を森の奥へ連れ込むクィルなのだが。 一方その頃、リリスは贅沢の限りを尽くしていたり コゲちび達の冒険は続いていたりであった。 泉のほとりの花畑にやって来た葉月とクィルであったが。 「戦士さま、少し休まれませんか?日も沈み出していますし」 気がつくと夕暮れ時となっていた。 「戦士さま」 葉月がはっとすると、クィルが葉月に抱きついてきた。 「暖かい…戦士さま…の体とても温かいです…」 そう言うと、おもむろに葉月の唇にクィルの唇が近づくと 葉月はクィルを引き離した。 「やめてくれ…ボクにそんな気は」 顔を赤らめながらも、体の火照りは隠せない葉月… 葉月は何時しかクィルの持つ、不思議な魅力に惹かれていたのだった。 クィルは真剣なまなざしで葉月に言う。 「では戦士さま、ご案内します」 そう言うと花畑の奥にある、洞穴へと葉月を誘った。 「ここは!?」 その洞穴には夜でも輝くコケが生えており、あたり一面を照らしていた。 奥に進むたびに葉月のドキドキは止まらなくなる。 葉月の前を進むクィルが今までとは打って変わり真っ直ぐに目的地へと 向かう姿は、神々しくも映った。 コケの光も相まって葉月の体の火照りは最高潮に達していた。 葉月は自分のあそこをいじりたい衝動に駆られるのだが それをなんとか理性で抑えていた。 そんな中、クィルが歩きながらおもむろに喋りだす。 「この洞穴はエバさまを祭る神殿なのです。 エバさまは誕生の女神。 この洞穴に来た夫婦は、必ず子宝を授かる神秘の場所なのです」 葉月はその言葉を聞き気付いた。 そうか、このコケは一種の麻薬…恐らくは人体の性欲を強める… 葉月はその場に膝をつき、もだえだす… 「ダメ・・・我慢できない」 葉月はスカートから下着を脱ぎ出すと、一人自慰行為を始め出した。 「戦士さま?」 「クィルみないで、お願い ・・・・うっ」 葉月は涙を浮かべながら、必死にコケによる効果で火照り出した 肉欲と闘っていた。 「戦士さま…お手伝いします」 クィルはそう言うと葉月の股間にや胸に手を伸ばし 発情した葉月を抑え出す。 クィルにされると、不思議に発情は収まっていた。 もっとも、数回にわたりクィルにより絶頂を迎えた後ではあったのだが… そんな葉月の目の前に驚くべきものが入り込む。 「そんな・・・・はつ・・・・初美!!!!!!」 葉月の目の前には、美しい初美の壁画が飾られていた。 「絵・・・いや、壁画? でも、なんで初美の」 そう言った瞬間、絵とは言え初美の目の前で他の女の子に体を 許してしまった事の罪悪感と自己嫌悪に陥る葉月。 「彼女が、誕生の女神 エバ様です」 葉月は驚きを隠せない。 「いた・・・・初美」 クィルはエバさまの事を話し出す。 「エバ様は遠い昔に現れた我々人類の女神なのです。 エバ様の祝福を受けた猿の少女は人間を次々に生み出したと 伝説では伝えられています」 葉月ははっと思った。 「そうか…初美がイブがミトコンドリア・イブなんじゃなく 初美のイブの祝福を受けた存在が…ボクらの先祖… つまり、人類の祖ミトコンドリア・イブだったのか」 葉月は少しガッカリしながらも、一つの疑問が浮かぶ。 「あれ?この絵って・・・誰が描いたんだ? 見た限りでは、そんな古く感じないし なにより、この掘り方の技術を考えれば… そんなに昔じゃない気が・・・」 クィルは葉月にそこに座って下さいとお願いをする。 すると、彫刻刀を出し 少し大きめな石に葉月の似顔絵を書き始める。 「クィル・・・それ」 クィルが書き出した葉月の絵は葉月そっくりであり その技術こそが、目の前の初美の絵を描いたものだと悟った。 「この初美の・・・エバ様の絵は、クィルキミが描いたんだね?」 笑顔で頷くクィル。 葉月はクィルを抱き寄せ、 自分がクィルに惹かれた理由がようやく分かった気がした。 クィルは葉月に抱きしめられた喜びを味わっていたが、 その場に供えてあったモノが無い事に気付く。 「あ・・・・エバ様の宝物が無くなっています!」 「なんだって?」 葉月はそう言われ、その宝物があったであろう場所に触れると かすかに残るソーマを感じる・・・・ 「!!!!これは いや、まだ無くなってからそんなに時間はたってない… ん?この・・・足跡は」 葉月は台座に残った小さな足跡を見て気がついた。 「コゲちび・・・そうか、コゲちびが持っていったのか」 「戦士さま?」 「ん?大丈夫だよ…恐らくは、それはリリスのところに向かってる」 「神様のお使い様のところにですか?」 「あぁ、ボクらも出よう…此処にいるのは少し辛いから」 葉月達は洞穴を後にした。 葉月は今日は此処で夜を明かしてから、明日山を下りようと言った。 クィルと焚き木にあたりながら夜を過ごす葉月… 葉月に体を密着させるクィルを思わず抱きしめ、キスをしてしまう。 葉月はクィルの中に初美の面影を見ている事は分かっていた。 しかし、そんなクィルへの愛しさは止まらなかった。 二人はどちらとも無く、服を脱ぎ捨て互いの体を求めあっていた。 「ごめんクィル・・・・今晩だけ、この一時だけ ボクの恋人になって欲しい…」 乱れあう二人に、時間は許してはくれなかった… 集落の方角から、クィルを呼び寄せる煙があがっていた。 二人は抱きしめ合いながらも、この瞬間を忘れぬよう 深い口付けを交わし、集落へと戻る事にした… 葉月は濡れてしまった下着をその場に残しセーラー服のみを纏っていた。 そんな葉月の残された下着が、後に人類初の女性モノ下着の祖となるのだが、 それはまた、別のお話。 NEXTpage⇒原始時代・後編 |