オムニバス
ミキティ
作:葉月の神官さん

※18禁小説です。

ミキティ


ミキティ

(ミキティ…ミキティ…)

私を柔らかい腕で包む人は花の様に可憐で薄い唇で何度も私にそう呼びかけていた

ミキティ

それは私の名前がミキだから名乗ったHN
でもこれは東先輩にだけ呼んでもらうために考えたの

東葉月先輩…

貴女が中等部の頃から私は貴女の事を憧れていました

いいえ…こんな事言うと気持ち悪いと思われるかもしれないけれど迷惑かもしれない…
でもこの気持ちを抑えることが出来ない
私は東先輩を一目見たときから好きになりました。
東先輩…貴女を愛しています

貴女の流れるような髪の一筋一筋が…
宝石の輝きさえも失せてしまうような綺羅の瞳と…
ほっそりとして抱きしめたくなるような腰に…
男じゃなくても顔を埋めたくなるような胸元と…

いつも影があるその表情は皆を照らす太陽の輝きじゃないかもしれない
むしろ太陽が昇った後も抵抗するかのように輝き続ける金星のように孤高の煌きかもしれない
私はそんな貴女がとてもいとおしい

私はいつも貴女だけを見続けていた
廊下ですれ違って…貴女が通った後東先輩が靡かせた長い黒髪から流れる香りが好きでした

貴女が高等部に進級した時…少しだけ距離が出来たので泣きました
どれだけ私が貴女に深い愛を抱いていたか気付いてしまったのです
…だから…私決めたのです

少しづつでもいい
貴女に私の事を知ってもらいたい

今は私のことを知らないかもしれない
それでもいい
ただ何時かは貴女に私の全てを知ってもらいたい

そう思って下駄箱にラブレターを入れました

私…嫌われちゃうかな?
女の子なのに気持ち悪い…多分そう思われたと思う
だけど…だけど…貴女に憧れる他の女の子達みたいに見ているだけなんて出来ない

だから…だから思い切って…
思いの丈をラブレターに込めました
不安は勿論ありました…というか自分で自分が普通じゃないと思います
そんな事はわかっている…わかっている…だけど
こんなの初めて…しかも幾ら格好良いからって東先輩も同じ女の子だし

でも何事も挑戦しないであきらめるよりは挑戦してみるものですね

神様の気まぐれ?
それとも運命だったのかな?

どこまで本気か分からないけど…取り敢えずOKもらえたみたい
まだ顔も知ってもらえていないけれど…今はこれでいい
はじめの一歩は踏み出したから後は少しづつ距離を縮めていけばいい

そういえば東先輩…好きな人居るのかな?
先輩ぐらい美人ならとっくに初体験済みでも驚かないし、むしろ彼氏も居ないほうが不思議ですよね
でも先輩に限ってそういう浮ついた噂の一つも聞かない

なんとなく先輩に彼氏が居ないのは分かる気がする…
もしかしたら…私と同じなのかな?
周りが聞いたら怒るかもしれないけれどどこと無く先輩と私は似ているところがある
理由は何か分からないけれど…

東先輩が携帯を持っているのは意外でした
硬派な先輩にはどことなく携帯が似つかわしくない
実際先輩は殆ど携帯を使ったことが無いみたいです
先輩のアドレスに登録されたのは私が第一号だったみたい
・・・なんか抜け駆けしたみたいで悪いや
後で知ったのだけど待ち受け画面のクマの縫いぐるみはまるで魂がこもっているみたいで可愛かったのが印象的でした
先輩にもそんな女の子らしい可愛い一面があるんだ…って何故か感心しちゃった

ゴメンネ先輩

先輩…先輩は一人エッチするとき何を考えているの?
私は先輩のえっちいで可愛い体でするよ?
貴女がいつも巻いている包帯…
意味は分からないけれど貴女にとって何かとても神聖で大切なものだということは分かります
だけど…貴女がくれたこの包帯で貴女を想像しながら一人エッチしちゃった


朝私は東先輩と同じ電車に乗りました
先の駅から乗車していた東先輩は手摺に寄りかかって眠っていました
寝顔も可愛いな…
なんて考えながら私は東先輩の隣でずっとその顔を見つめていました

寝顔にキスしたい衝動を人前だから抑えながら見つめていると東先輩の小さな口から何か言葉が漏れました

小さくて聞き取れない

苦悶の表情でうなされている様な呟き

私は不安になって先輩の口元に耳を寄せました

(はつみ・・・)

今度ははっきりと「初美」と聞き取れました

初美って・・・誰なんだろう

玉響に消えたその名前の響きに、私は何か先輩にとって神聖で侵すことの出来ないものを感じました

なんだろう…私…東先輩と文章だけでもお付き合いできて物凄く幸せなのに…
この説明出来ない不安と焦燥感はなんだろう

私は…先輩にとって知られたくないことかもしれないけれど…真意を知らずにはいられませんでした


私はどんどん貴女との距離が縮まっていくのを感じます
トイレの壁越しに…
誰よりもいとおしい貴女が居ます

ドアを開けて…

私は胸の鼓動を抑えることが出来なかった
トイレのドアを開けると私のすぐ目の前に憧れの東葉月先輩がいました

私の顔を知っていたのか少し驚いた様子でした

私には何の躊躇いもありませんでした
厚い胸元に頬を寄せると薄いセーラー服越しにその温もりを感じることが出来ました
クールで知られている東先輩が動揺しているところを始めてみたけれど…嫌そうじゃないことは分かりました
私は思い切ってまなこより小さくしっとりとして潤んだ唇にそっと私の唇を重ねました

東先輩の…舌を…奥歯も…歯茎も…

長い…長い口付けの後甘い唇から名残惜しみながら唇を離すと二人の舌先から一筋の光の緒が引きました

これは神話のように幻想的で儚い夢…
ただ一度でもいい
私は貴女にこうしたかった
いつも一人の夜はこんなことばかり考えていました
夢にまで出た東先輩の唇
触れた唇に貴女の感触が残っている
この時が永遠であればいい

でも…いきなりこんなことして私嫌われちゃったかな?
私はおそるおそる先輩の顔見上げたら…少し戸惑っているみたいだけど
…錯覚かもしれない。勘違いかもしれない…だけど少しだけ嬉しそうにも見えました
これで…私は恋人になる資格を得られたのかな?




放課後…体育用具室で私は貴女を待っていました
東先輩は少しも遅れることが無く来てくれました

ちょっと埃臭い体育用具室で…こんなの東先輩の好みじゃないかもしれないけれど…
私の事をもし好きで居てくれるのならば…すべてを受け止めてほしい
東先輩の幸せは私の幸せだよ
勝手かもしれないけれど「初美」さんの代わりになれるのならば…

全裸の私に少しびっくりしたみたい
それはそうだよね。今日始めて「ミキティ」が私であることを知ってもらったばかりなのに
でもこれが…本当の私だよ

私が貴女にしたいこと全てを今…
東先輩とキスするのは今日二回目だけれど…何回だって百万回だってして見たい

ゴメンネ

貴女の秘所に手を伸ばしました

(やめて…そんなところ触られたら…ボク…)
(やめて…いや…やめないで…)

東先輩は矛盾する言葉を発しながら積極的にというわけでもないけれど従容と結局は私を受け入れてくれました

セーラー服を脱がす私の手に特に抵抗することもありません
ブラジャーのホックを外すとたわわに実った二つの果実が姿を現し私は息を付きました
大きいけれど型が崩れることも無い艶やかで張りがある上向きの乳房は私が夜に想像しているものよりずっと綺麗

素敵…素敵だよ東先輩

貴女のスカートを脱がしながら私は貴女の乳首を指と歯で抓んで…
思う存分東先輩の体中を舌先で味わって…
こんなこと普通しないと思うけれど切れ長で綺麗な臍まで舐めちゃった

上半身から下半身に攻めを移すと
赤子のように抵抗も無く脱がされたパンティーの下から現れた東先輩の秘所は薄っすらとした繁みで覆われていました

私は繁みのピンクの花弁に指を入れると東先輩は形の良い顎先を上げて微かに呻きました
ここが東先輩のクリちゃんかな?
先輩もやっぱりここには弱いんだね。私とおんなじなんだ。ちょっと嬉しいな
剥いたりもどしたりしていると膣が明らかに湿ってきて…
私は舌先でその神秘の泉から湧き出した液を掬い取る

愛液を含む私の口で再び東先輩と唇を重ねあう
貴女の愛液と…私の唾液が混ざりあった液を貴女の口に流し込む

そう飲んで…
同じようにして私にも飲ませて

互いの指が重なり合う
互いの胸が重なり合う
互いの唇が重なり合う
互いの秘所が重なり合う

私たちは幾たびも幾たびも時が流れる事を忘れて重なり合った




どうしてだろう…何回重なり合っても貴女は私を見ていると思えない
イッちゃってるのは分かるけれど…どこか上の空と言うか
何か他の人に対して申し訳なくしているような気がする
やっぱり初美さんが忘れられないのかな


どうしたの?どうして泣いているの?
私じゃ…私は初美さんなれない?
ミキティが何でその名前を知っているの?

貴女が電車の中で寝ているとき…一度だけ寝言でそういっているのを聞いたことがある

…そうなのか…ゴメン…そのとおりなんだ…誰にも出来ないんだよ…初美の代わりは…
泣かないで
人を好きになるって不思議なことだって前にボクに言った人が居るんだ
本当にそうだよね
もう泣かないでよ
だから君にもまだまだ不思議なこと素敵なことが起きるよ
僕が言うようなことじゃないかもしれないけれど
それは本当のことなんだよ


でも私は涙を止めることが出来なかった
後にはただ失恋という事実が残っただけだから…



それから数日経った日曜日私は東先輩の家を訪れた
また貴女とよりを取り戻そうと言うのではない
貴女との気持ちを整理する為に…

東先輩はいつもより優しく接してくれました。
いいえ。普段から優しい人だけれど…今日はなにか必要以上に気を使ってくれているような気がする

その優しさが今の私にはかえって辛い
いっその事肉体関係になる前に断ってくれた方がどれだけ気が楽だったか
そんな恨み言さえ言いたくなるのを口をつぐんで我慢しました

その代わりに貴女に一つだけ我侭を言わせてください
貴女が焼いた…完全に失敗したと言うそのホットケーキを一口でも良いので食べさせてください

東先輩は最初難色を示しました
でも私はどうしても食べたかった

渋々だけれど東先輩はとても美味しそうに焼けているホットケーキを食べさせてくれました

天使のホットケーキ

そんな表現がぴったり合いそうな今まで食べたことが無い美味しいホットケーキでした
どこが失敗なのか私には全然分かりません
このケーキは宇宙一美味しい…
誇張なんか抜きに本気でそう思いました
さっきまで少しは思っていた恨み言も吹っ飛んでしまいました

ただ…一つだけは分かったことがあるの
これは貴女が大切な誰かに食べさせてあげたくて焼いたホットケーキなんだって事
その大切な人が私では無いのは確かだって事が…


「ミキティ」

貴女にだけ呼んでもらうためのHN
このHNで呼ばれることは二度と無い

でも貴女の記憶の片隅にでも…
貴女の人生において一時の間でもミキティが存在したのを
貴女の事が大好きなミキティが居たことを忘れないで

移ろい行く日常に垣間見た白昼夢か儚い幻だったのかもしれない
私にとっては短いけれど神話のような時間をくれた

先輩…素敵な思い出をありがとう

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