ヒロインが死ぬ物語が多いのにも訳がある

楽でいいな、寝てばっかりで。
なぁ、不眠症は治ったのか?
ずっと寝てればずっと現実逃避できるやってか?
このトンカチンカが。お花畑見したろうか?
いい加減目を覚ませ
現実を見ろ

僕は黒羽が好きだった。いや今でも好きだ。好きで、好きで、好きで、好きで、好きだった。近すぎて分かんなくなったり、遠すぎてイライラしたり、何してても幸せで何してても美しかった。美少女というほどではないが、整った顔立ちをしていて、ぼんやりしているようで、実は頭が良くて、色んな才能を持ってて、モテモテで、僕にはなんだか冷たいけど、嫌いなわけじゃないよって言ってくれたから、そこは気にしてない。欲張りにも好きでいてほしいなんて思ってしまうが。
あーよくラノベやボカロやドラマなんかではヒロインが亡くなったりする。それを見ていても、そっか死ぬんだ、とか、これもそういう系か、とすら思ってしまう。だが実際に起こったら、認めることすら出来ないものだ。涙なんか出なかった。葬式の時は透明人間だった。それからずっと空っぽで、食欲も湧かず何をする気も起きず、こういうのをやるせないというんだなと思いながらただベッドに横たわり続けた。携帯は持っていると気が触れてしまいそうになったのでガラケーに戻してから一切触っていない。
何もしないでいることも疲れてきた頃から夢日記を書くことにしていた。たまに本も読むが、読み終える前に意識が飛んでしまう。空腹のせいもあるだろうが、きっと今はおかしくなっているのだ。

二ヶ月ほどしてから、大学に通うことにして、意識半分の状態で、日々を過ごしていた。
4ヶ月ほどで、空腹せいで大学の帰り道、倒れてしまい、病院に運ばれ、精神がどったらこったらになったらしくしばらくは病室で過ごしている。
そのあたりから夢日記を再開した。暇すぎるのだ。

夢に黒羽は全然出てこない。出てくるのは恐ろしく目が冷くなった羽痕や、アニメのキャラクターばかりだ。

そして黒羽が死んでから一年後、僕は羽痕の家に来ていた。
もちろん何をするのかと問いはしたが、答えになっていなかった。

「愛すべき妹の誕生日パーティーをするんだよ」
18/04/15 10:31更新 / 浮空

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まろやか投稿小説 Ver1.53c