ある夜のこと、それは夢なのかもしれない、妄想かもしれない、でも僕は見たんだ。
窓が眩しく光った。いや、僕の瞼の裏が紅くなって目を開くと、窓があいて、
美しく綺麗で優しそうで嬉しそうで悲しそうで、僕の事を分かっていそうで。そんな顔をしたお姫様みたいな貴女が、僕に手を差しのべていた。
僕は寝ぼけていたし、寝惚けていたので、貴女の手を取った。
そのまま手を引かれて、空を飛んでいる。
今考えると、これは夢だろう。でも夢というには、鮮明に聡明に覚えている。
普段の事より覚えている。
あの嬉しそうな顔を。
理解者が欲しかったんだろう。分かって欲しかったんだろう。
僕は助けを求めているんだって。誰か連れていってよって。
そんな僕の思考が見せてくれた、魅せてくれた貴女を僕は未だに覚えている。
その夢を見るために、今日も眠りにつく。
そんな、現実逃避で。夢という夢に逃げる。
好きな人など、現実にいないと、嘘をつく。
頭の整理をする。
目を覚ます。
あの貴女が見えた。(気がして)
僕は、
窓から
勢いよく飛び出した。
君は
笑っていた。
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