ジャッキーが消えた。
一番最初に気付いたのはマルセルだった。最初、マルセルは展望台を見て回っていたが、展望台内を3周したところで、ジャッキーの姿が見当たらないことに気が付いたようだ。僕とリーはそもそもずっと同じ場所にいたのでジャッキーの行方を知らない。最初は「トイレだろう」ということでしばらく待っていたが、15分経ってもジャッキーは現れなかった。
続いて僕たちは、二手に分かれて行動した。僕たちは消えたジャッキーを探しに行くことになったが、入れ違いになるとまずいので、僕がは展望台に残り、マルセルとリーの二人が下に探しに行くことになった。僕はチャットで、そして仕事で使うメールでもジャッキーの安否を確認したが、反応がない。
展望台内にはトイレがないので、一階の方のトイレを二人に探してもらったが、ジャッキーはいなかったらしい。僕たちは打つ手なしの状態に追い込まれた。
いったん展望台で三人で集まる。
「メールは送ったんだよね?」
リーが僕に確認をする。
「うん。仕事で使う方だよね?送ったけど返信は来てない……」
僕は改めてメールボックスを確認する。新しいメールは届いていない。
「メールで送っても返信来てないのか……いよいよ心配だな」
基本能天気なマルセルも緊張が見え隠れし始めていた。
「まさかとは思うけど……生命体と交戦中、なんてことはないよね」
リーが不穏なことを口にした。まさかな……。
「それはないと思うぞ。もし交戦に入ったなら俺たちに救難信号を送るはずだ。ほら、スマホの電源ボタンの話。あれ5回押したら救難信号だせるだろ?」
マルセルの話の通り、僕たちは万が一の事態に遭遇した場合、スマホを使って救難信号を出せる。それが来ていない以上、その線は薄いだろう。
リーがそんなことはない、と食い気味に言う。
「私は急に襲われたときそんなことする余裕はないよ。忘れたの?今日だってそうだったじゃん。相手が人間だったから使えなかったとはいえ……最悪の事態はいつだって起こりうる」
リーの言うことは確かにもっともだ。とりあえず、最悪の事態を想定して、僕たちはランチバーク市街の周りを散り散りに捜索することにした。
捜索開始から15分後。ジャッキーから返事があった。今から電波塔の方へ戻る、とのことだった。
僕はとりあえずジャッキーから返事があったことに安堵し、電波塔に戻った。
戻ると、マルセルとリーの姿が見えた。だが、その場にジャッキーの姿はない。
「……あれ?ジャッキーは?」
「まだ来てねぇな……どこ行ってんだ、あいつ。」
「…………」
リーの顔は真っ青だ。心配しているんだろう。
すると、ジャッキーが遠方から走ってくるのが見えた。リーがそれに走って駆け寄る。僕とマルセルもリーに続いた。
「ごめんごめん、心配かけちゃったね〜」
呑気に駆け寄ってくるジャッキー。まあ、元気そうで何よりだった。
リーは駆け寄ってしばらく黙ってジャッキーを見ていた。
「?リー、どうしたの?」
不思議そうにジャッキーがリーのことを見る。
パチン!
ジャッキーに一発平手打ちをお見舞いしていた。
ジャッキーの右頬が赤くなる。目元は髪に隠れ、当たりの暗さもあいまってよく見えない。
「私たちは命をかけた仕事をしてる。もしジャッキーが襲われてて連絡できないくらい危険な状態にあったら、ここにいる市民も、ジャッキーも、私たちも手遅れだったかもしれない。オフの日だから気が緩むのはわかる。けどそれとこれは違う。無事なら連絡くらい寄越
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