Interlude---004

私は、お店の前でフェルディのトイレを待った。持っているものの量が多かったのが目につくのか、通りすがる人にすごくみられる。まあぬいぐるみ抱えて両手にこの店の袋を持ってたら、そりゃ気になるよね……格好もゴスロリだし。

私はその視線に耐えられなくなり、お店の横の人通りが比較的少なめな小道に移動してフェルディを待つことにした。

フェルディはいい子だなと、今日買い物を通して改めて思った。ジャッキーやマルセルが興味を示さないような私の趣味にも興味を持ってくれるし、話も聞いてくれる。この前私が勝手に入れたチャッピーちゃんのゲームも続けてやってるみたいだ。実際にそういうのが好きな子なのかもしれないが、それでも共通の趣味を持つ子が近くにいると嬉しいものがある。フェルディはかわいい小動物の日常系のものが好きなのかもしれない。今度、「モンスター・ウォーキング」を教えてあげようかな。

私がフェルディに次に勧めるアニメを考えていると、男二人がこちらに近づいてきた。最初は通りすがりなのかと思ったが、目が合うと、片手をあげてこちらに近づいてきた。私目的みたいだ。

ランチバークはその人の多さが故、変わった人間もたくさんいる。特にこういう人目のつかない小道は要注意だ。

とはいえ、さすがはエラムのお膝元の街なだけ、監視カメラは道のありとあらゆるところに設置されている。なので、ランチバークでの暴力事件は年に数回程度。私が今いるところも監視カメラが設置されていて、しっかり監視されている。よっぽど荒事はないと思うが……。

「ようお姉ちゃん!こんなところで何してるの?」

「もしかして、今暇?俺たちと遊ばない??なんでも奢っちゃうよ〜??」

私は無視してスマホを確認した。めんどくさそうなのが来たのでフェルディにトイレを催促する。

「おいおい、無視するなよ〜!つれないツンデレちゃんだな〜?」

私を挟むようにして二人は私に逃げ道を作らないようにしていた。厄介だな……。

「………人を待ってるんで」

私は一言、短く返しておいた。

「え?俺ら以外に待ち人がいるの???」

「それって男??俺らと遊んだほうが絶対楽しいって!!」

二人は私との距離をどんどん縮めてくる。片方の男が私の太ももをいやらしく触ってきたので、私は男の腕を強めに払いのけた。

「気持ち悪い。ナンパするにしても、もう少しやり方を考えたらどう?」

「……ッ!!こいつ……言いたい放題嫌がって!!おい!!」

男が叫ぶと、もう片方が私のツインテールを引っ張ってきた。私はバランスを失いよろめいた。その一瞬の隙を逃さず、私の顔面―――鼻中央に拳を打ち込んできた。片手でガードしようとした時、後ろの男に羽交い絞めにされる。とっさの判断で抱えていたぬいぐるみや買ったものを手放し、ぎりぎりで首を絞められる前に自分の腕を相手の羽交い絞めの内側に回した。

(こいつら………慣れてる!!)

私たちT型生命体対策本部は、あくまで対生命体のプロであって、対人のプロではない。おそらくこの二人はその手のプロだ。今回私を標的としてるから襲ったというわけではなさそうだが、おそらくそちら側の仕事もしているのだろう、動きが機敏で迷いがない。私は軍の服役経験はあるが、長らくそちらの訓練をしていなかったので、油断しきった状態では対処が追いつかなかった。首に腕を回されたときに自分の腕を内側に回し、気道が締められるのを防ぐことしかできなかった。

それに、私たちは生命体の存在が秘匿されている以上、その能力、特に市民への暴力行為は如何なる時でも禁止され
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