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橋上に着くと、ジャッキーが橋上でタバコを吸っていた。
ジャッキータバコ吸うんだ……。
ジャッキーはこちらに気が付くと、タバコを持った手をさっと後ろに隠した。
「あはは…見られちゃった。でもね、ちょっと言い訳させて?一応うちの人たちはみんな吸ってるんだよ?マルセルも人畜無害そうな顔をしてるけど全然しっかりすってるんだからね??」
「おいおい人をダシにすんな!」
あ、マルセルも吸ってるんだ……。
僕がマルセルの方をじっと見ると、僕の視線に耐えられなかったのか、あきらめたようにため息をして答えた。
「…まあ、吸ってるよ。なんか悪かったな。」
マルセルは少し委縮していた。少しかわいい。
「この話はこれくらいにして、もう時間も時間だし、始めるよ。」
ジャッキーが空気をかえ、本題に移ろうとする。
「まず、私とフェルディの二人で職質みたいな感じでマトに接触する。マルセルは犯人を私たちとで挟む感じで柱の陰に隠れて待機。で、ちょこっと話をしたら検査をする。白って出たらそれで終わり。今日はもう捜査はできそうにないから、明日からまた捜査に移る。一応マトは現地警察に引き渡す。黒って出たら戦闘開始。私が切りかかるから、それに応じて後ろから奇襲をかけて。もし検査に応じずに戦いになった時も同じ。でも、その場合は吸血鬼としての力の片鱗を見せるまでは様子見。見せたら速攻で潰しにかかろう。フェルディは戦闘になったら私より後ろに下がってて。自分の身を守ることだけに徹してね。いい?」
ジャッキーの説明にうなずく。マルセルも同意したようだ。
「じゃあ、その通りに。配置に着こう。マトはこの橋の下。ファイルの写真よりやさぐれてるけど、喫茶店店主その人だった。」
その言葉を最後に、僕とジャッキーはマルセルと別方向へ移動した。

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「電灯の下にめちゃくちゃ缶おいてる人いるでしょ?あれがマトだよ」
ジャッキーと一緒に柱の陰から犯人―――マトの様子を見る。なるほど、かなりやさぐれてそうだ。
「よし…マルセルも配置についたみたいだし、詰めに行こうか」
そういうと、ジャッキーは柱の陰から出て、一歩ずつマトと距離を詰める。僕もそれに付き従った。
「すみませ〜ん!ちょっといいですか?」
ジャッキーがマトに元気に声をかける。マトは疎ましそうにこちらをみた。僕とジャッキーを交互に見据え、しばらくするとマトが口を開く。
「……また今度にしてくれないか。今日はもう眠いんだ。」
「いや〜おじさんこんなところで床飲みっすか?しかも一人!なかなかヤンチーっすねえ!」
ジャッキーがダルがらみっぽいことをしている。距離感がつかめないのだろうか。
マトはさらに機嫌をわるくしてしまっている。
「嬢ちゃん…そこの坊ちゃん連れてさっさと帰りな。今なら悪いことは言わねえぞ」
「あぁすみません。お気を悪くされてしまいましたか。実は私たち警察でして。近頃近隣で物騒な事件が多発しているのでパトロールをしてたんですよ」
『警察』というワードを出した瞬間、空気が凍り付いた。マトのまとう空気というか、雰囲気が明らかにおかしい。
「へぇ……にしちゃあ嬢ちゃんたちスーツじゃねえか。警官ってのはもうちょっとそれっぽい服着てねえか?あんたらの格好はどっちかというとホストっぽいぜ?」
「私服警察ってやつですよ。まあ少しお話したら帰るんでちょっと付き合ってくださいよ」
そう言って、ジャッキーはマトの隣に腰を下ろした。不用心すぎないか
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