非常に大きなチャイムのような音が鳴り、僕はベットから起き上がる。
壁にかかった時計を見ると、7時を指していた。
意識が少しずつ覚醒し、昨日のことを思い出す。
昨日は3人が帰ってから……そう、疲れたのでシャワーを浴びてそのまま寝たんだったな。
この部屋にはクローゼットと箪笥があるが、中には部屋着のようなものだったりスーツだったりTシャツだったり下着だったりと、生活に必要そうな服が大体常備されている。便利なものだ。
ベットから起き上がり、洗面台に向かい顔を洗う。顔を上げると鏡に映る自分が目に入った。
偶然とは不思議なものだ。ついこの前まで僕は村に迫害され、ろくな服を与えられず、寝床すら与えられなかった。人ともまともにかかわることがなかった。そんな人間に今は誰かよくわからない人たちに良くされ、衣食住を与えられている。改めて考えると、よくわからなすぎる展開だ。
……………………。
ここで、一つ僕は疑問を感じた。明らかにおかしい、僕の人生に矛盾した記憶。
「僕はどこで『朝になったら顔を洗う』なんて覚えたんだ………?」
独り呟くと、それに反応するように僕の腹が鳴った。そういえば、昨日から何も食べてないな………。
「衣食住……」
またぽつりとつぶやくと、タイミングを見計らったかのようにドアからノック音が聞こえる。ドアを開けると、例の三人がドア前で待ち構えていた。
「ようフェルディ!まだ着替えてなかったのか!早く着替えろ!」
マルセルの元気な声は朝でも変わらないようだ。
「着替えろって……今からどこに行くんだよ……」
「決まってるだろう!朝メシを食いに行くんだよ!」
僕が気だるそうに答えたことなど気にも留めずに大声で伝えてくる。
「ごめんねフェルディ…そういえば食事どうするかを伝えてなかったってのを今日の朝気付いて、丁度マルセルが朝食誘ってきたからいい機会だと思って」
横からジャッキーが申し訳なさそうにフォローを入れてくる。
「そういうこと。じゃあすぐ着替えるから待ってて」
そう言って窓を閉めようとすると、レイラの声がボソッと聞こえた。
「早く」
非常に気まずい朝食になりそうな予感がした。
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着替えを終え、4人でエレベーターに乗る。
「今日の朝メシは何にするかね〜」
「はい!私はパンケーキの気分です!」
「パンケーキかぁ〜〜〜……俺ァ今甘いものの気分じゃねえからなあ…」
ジャッキーとマルセルが楽しそうに話している。その後ろで、僕とレイラはだんまりしていた。その様子に気付いてか気付かずか、マルセルがこちらに話題を振ってくる。
「お前らは何にするよ?」
「う〜ん…まあ無難にパンでも食べようかな」
適当に答えておく。
「パンかぁ〜確かに無難だな〜〜。リーはどうするんだよ。てかしゃべらなさすぎだろ!フェルディに人見知りするのはわかるけどなぁ〜いくらなんでもテンション変わらなさすぎだぞ??」
え、レイラってそんなに普段は元気なのか。なんかショックだ。嫌われてるのだろうか。
「別にいいじゃん…………ごはんとみそ汁。」
レイラはそっぽを向いて答えた。しかも意外なチョイス。この場にいた全員がそう思ったのか、ジャッキーもマルセルも吹き出す。
「ははははは!!また想像の斜め上の返答だな!!お前もパンケーキとかそこらへんだと思ってたよ!!」
「あぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜もうこういう反応が嫌だったから会話に入らなかったんだよ……あとで覚えとけ
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