しばらくすると、車が止まったのがわかる。目的地に着いたようだ。
「さあ、降りて」
ジャッキーに降りるよう促され、車の扉を開いて降りる。そこは森の中で、目の前に森の中には似つかわしくないいかにも近代的な巨大高層ビルがただ一つだけそびえたっていた。
自動ドアをくぐると、だだっ広いエントランスがあり、いろんな人がせわしなく歩いていた。
「とりあえずエレベーターに乗ろう。ボスの部屋は44階だから、さすがに階段を上がるのはきついでしょ?」
ジャッキーにそう言われ、僕は無言でついていく。
エレベーターの入り口前に立ち、二人でエレベーターが来るのを待つ。
「どう?こんな森の中にこんな建物があるなんて驚いた?」
ジャッキーが何だか楽しそうに聞いてくる。車の中での重い空気はどこへ行ったのか。
「そうだね……不思議な感じだった」
「ふふっそ〜でしょ〜!私も初めて来たとき不思議だったもん!!」
なんだかうれしそうだ。
そうこうしているうちにエレベーターが来た。
ドアが開くと、そこから一人の男性が出てきた。茶髪の体格のよい男性だ。歳はジャッキーよりも上に見える……ジャッキーが16歳ほどに見えるので、およそ20歳前後だろうか。目つきが鋭く、タンクトップを通してもよくわかる筋肉付き、そして褐色肌が特徴的だ。
男性がジャッキーに話しかける。
「ようジャッキー!任務からのお帰りかい??」
「おはよう!まあそんなところかな!マルセルはその姿を見ると…トレーニング?」
「おうよ!今から森の中を3時間くらい走ってくるわ!!」
元気に男性とジャッキーが会話を交わす。僕ははたからその様子を見ていた。
するとマルセルと呼ばれた男性が僕の視線に気付き、僕の方に向き直る。
「ジャッキーが戻ってきたってことはこいつが例のロブエ族の生き残りか?」
「そうだよ!この子マジで図太いんだよ〜、普通の人間なら死んでるくらいのケガをしてたのに今全然ピンピンしてる!!」
ジャッキーがマルセルにそう伝えるとマルセルはがっはっはっと大きな声で笑った。
「そうか!流石はロブエ族だな!強いやつはどんな人種でも大歓迎だ!特にウチの部隊はな!!一緒にやりに行くのが楽しみだ!」
そう言って僕の背中を勢いよく叩く。バン!と派手な音が鳴った。
「じゃあまたお披露目会でゆっくりはなそう!…………」
じっとこちらを見たままマルセルは静止した。名前がわからないからだろうか。
「………フェルディです…」
「フェルディ!なんだか気弱そうな感じだな!まあ戦ったらそうでもないのかもしれんが!」
そういってマルセルは走ってビルの出入り口へと去っていった。最後の一言は余計だったが明るくてしゃべりやすそうな人だ。
マルセルと別れると、僕とジャッキーはエレベーターに乗り込む。ジャッキーは44と書かれたボタンを押し、扉を閉じるボタンを押した。
「あの人も私たちと同じ職場で働いてる、フェルディの同僚になる人だよ!元気で話しやすい人だよね」
ニコニコしながらこちらに話しかけてくる。確かに良さそうな人ではあったが、それよりも今のやりとりで気になることがたくさん出てきた。
「確かにその通りだけど……今の会話でいろいろ聞きたいことができた」
「あぁ〜〜……まあそうだよね!私でよければ何でも答えるよ!って言いたいけどまあそこらへんの話はボスが教えてくれるよ!結構長い話になるから!」
やんわりと逃げられた。そのボスと話す前に状況を知っておきたかったのだけど。
………………まあいいか。
そうこうしているうちにエレベーターが44階に着いたらしく、ドアが開いた。
「じゃ
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