「ところで、君は"ゼウス"なんだよね?神話の……」
「違うよ。名前は自分でつけたの。人間たちが使っている最も強そうな神の名前を使っただけ。神話なんて人の妄想に過ぎないよ」
僕たちは互いの心臓を交換していた。
というのも、僕には知ることのできないこと、つまりは神のみが知ることらしいので、彼女に全てを任せている。これで僕と彼女のつながりを作るだとかなんとか………
「それに、言っていなかったけれど、あくまで本当の意味で倒すのはひとりだけなんだ、他からの介入がなければね」
「………ぇ?」
だって、今さっき世界を制服するとか……
「元は私、世界で、この次元の中で一番の神だったんだ」
「その座が奪われたのか……」
「そ。そういうこと」
「誰に?」
世界で絶対の神を堕とすのだ。とても気になる。
「君も名前だけなら知ってると思うよ。破壊が得意で、世界に不幸を散らし、それでできた幸せを独り占めする女だよ」
……パンドラ、か。でも神話の中では、別に破壊が好きというわけではないはずだし………
その"パンドラ"も、自分で名付けたのだろうか。
「さて、心臓も交換したことだし、早速、会いに行くよ」
「………誰に?」
「あれ、言ってなかったっけ?ええとね、まず、パンドラを叩く前に、一柱の神と一匹の妖怪に会いに行くよ」
「とは言っても、もう夜だ。寝ないのか?」
色々としてたら夜になってしまった。全く、時間はすぐに経ってしまうから困る。
「夜だから会いに行くんだよ。だって相手は
吸血鬼だもの」
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