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無人の公園に着いた。
「じゃあ、ここらで初めまして」
その女の子は、僕に向き合ってそう言った。
「私の名前は、ゼウス。ギュルナ・ゼウスだよ」
「馬鹿にしているのかな?」
「していないよ。見た目で神だとわかるでしょ?」
「おかしい人に見えるね、ぼくには」
「でも、私は人に視認されていない。それは気がついたでしょ?」
確かに、これほど存在が浮いているのに誰も彼女を気にしないということは、そういうことなのだろう。



でも、ここで1つの問題が出てくる。


「………なんで僕には君が見えているんだ?」


「君には私を見れるだけの霊力があったんだよ」
………嘘っぽいけど嘘だという確証はないから信じておくとしよう。
「まあ、そんなことはどうでもいいとして」
いや、どうでもよくないんだけど………
「私からお願いがあるんだけど…」
う。こういうのって『世界を救って』とか言ってファンタジー世界を駆け巡って世界を平和にする物語になる感じだよね!?
「世界を一緒に制服して欲しいの」
…………………………。
………そういう言い方もあるのね、なるほど。
「正確には、世界のあらゆる神や妖怪と戦って世界を平和にする私のパートナーになって欲しいんだけど」
「いいよ」
「えええええ!?」
「なんでそんなに驚くの!?」
「いや……もっと交渉は難航するかと思っていたから……」
「じゃあ、いいじゃん」
「うん………でも、なんで引き受けてくれたの?」
「………………」
答えたくなかったから、僕は押し黙った。人には言いたくないことがあるのだ。
彼女もそれを察してか、無理に詮索はしなかった。
さすが神様だな、と思った

16/04/10 12:52更新 / Catll> (らゐる)
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