しょうもない体育の時間だ。嫌いな教科ベスト3に入る体育。
まあ、そんなことはどうでもいいのだ。今問題なのは―――
――――七草がいない。
1〜4時間の授業、給食、昼休み―――、かかさず異様な存在感を放っていた七草がいないことには、みなすぐに気が付いた。
先生「学級委員、呼びに行けっ!」
先生はそういったが、学級委員は女子だ。男子の中に紛れているはずがない。(渾身のギャグのつもり)
というわけで、体育係の山本が校内へ向かった。
――――――数分後。
放送「…『校庭の』皆さんこんにちは。急で申し訳ないですが、『オニゴッコ』を開始します。」
……は?何を言っているのかな?
放送「ルールは簡単です。殺(や)られたら負けです。さて、鬼は、皆さんご存知、七草君にやっていただきます。」
この声、どこかで聞いた―――反吐が出るような、でも、よく知っている声。
刹那。校舎の二階から窓を割って飛び降りた生徒―――七草。山本の姿はないが、おおよその見当はついた。
七草の鮮血に染まった学生服…
―――――殺されたんだな。
放送「皆さんに逃げていただく時間は十五分!では、スタート!」
Bad endの一項が、始まろうとしていた。
逃げる。みんなが四方八方に散った。だが、一人動かない人物。
――――――――――――――先生?
先生「貴様ッ!お遊びもいい加減にしろっ!停学処…」
先生の罵声が聞こえなくなって、振り向いたのが、
―――――――――――――僕の運のつきだった。
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