いったい逃げはじめてから何分が経過しただろう。
背後からせまりくる恐怖から逃げることが精いっぱいだった。
目の前に階段が現れた。僕は二段飛ばしで駆け上がる。少女も僕に続く。
――――――――が。
少女「イタッ!!」
少女が転んだ。
幸人「立てる!!!???」
僕は振り返る。彼女は立っていたが、膝からの出血が凄い。
少女「―――私を置いて、逃げて。」
幸人「…え?」
彼女の顔をしっかりとみる。その表情は…………
――――泣き笑い。左目を閉じて笑っている。泣きながら。
少女「…お願い、生きて。」
幸人「………………ッ!!!」
僕は逃げた。すぐに廊下が曲がったので、彼女の死角に入った。
僕は、彼女の事を知っている…。あの特徴的な泣き顔、何も変わってないね。
そう。彼女は。
僕の最も好きだった人、川崎理奈だ。
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