ドンッ!ドンドンドンッ!
ミケとアリアがいる部屋の扉が、勢いよく叩かれる。二人とも扉の方を向いて
ミケ「なんじゃ、騒がしいな…………」
アリア「私が行きます」
アリアが扉の前まで行き、扉を開く………そこには、レイがいた
ミケ「なんじゃ、少年……」
どうしたのかと聞かれたレイは、口を開き
レイ「…しばらく、シグナのことを見ていてよ。」
アリア「え……?」
二人とも、少し驚いた表情になる。何故、レイがそのようなことを言うのか……
ミケ「ワシ等があのお嬢さんを見ている間、お前さんはどうするんじゃ…?」
レイ「…………………」
ミケを見上げて、こう言った
レイ「聖書グリモアを取りに行く」
二人「…!」
二人は、更に驚いた表情になる。聖書グリモアのことを知ってると同時に、その聖書を取りに行った者は、還らぬ者となることも知っている二人。レイももちろん、その事は知っている
ミケ「お前さん…正気か…?」
レイ「うん…当たり前だよ」
先程までの、現実を受け止められなかった顔をしていない、覚悟を決めた顔をしている
アリア「で…でも!聖書グリモアがある神殿に行った人は、みんな死んじゃってるんだよ!?自ら死ににいくようなものだよ!」
心配した表情で、レイの前に立って話すアリア。こんな小さな子供を、見殺しにするわけにはいかない……そういう思いだろう。
レイ「…ボクのことも、約束も…何も覚えていない……青を無くした、鋼色の空……こんな世界………
死んでるのと同じだ!!」
アリア「…!」
ミケが、アリアの肩に手を置く
ミケ「やめておけ…この少年に、何を言っても無駄じゃ…」
アリア「でも、それじゃあ…!」
ミケ「…死んでしまう……じゃがそれは、全部自分のために動いておった者だけかもしれんぞ?」
アリア「え…」
ミケ「この少年と、あのシグナというお嬢さん……どんな関係かは詳しく知らんが、相当信頼し合って、絆を深めとると思わんか?それに、この少年の目……『誰かのために』という想いが強く込められておる…………そういう目に見えんか?」
アリア「…」
ミケが、アリアの隣からレイの前まで歩き
ミケ「行ってこい、少年。きっとお嬢さんも、お前さんがやってくれることを待っておるはずじゃ…」
レイ「…!」
一度頷くと、ミケの横まで歩きながらこう話す
レイ「必ず…シグナを取り戻すよ…!」
そう言ってレイは、宿屋から出て……走り続ける
シグナ「さようなら……」
レイ「絶対に、さようならなんかさせない…っ!必ず、連れ戻してやるからな!シグナ!!」
つづく
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