第12話








ドンッ!ドンドンドンッ!



ミケとアリアがいる部屋の扉が、勢いよく叩かれる。二人とも扉の方を向いて

ミケ「なんじゃ、騒がしいな…………」
アリア「私が行きます」
アリアが扉の前まで行き、扉を開く………そこには、レイがいた

ミケ「なんじゃ、少年……」

どうしたのかと聞かれたレイは、口を開き
レイ「…しばらく、シグナのことを見ていてよ。」


アリア「え……?」
二人とも、少し驚いた表情になる。何故、レイがそのようなことを言うのか……



ミケ「ワシ等があのお嬢さんを見ている間、お前さんはどうするんじゃ…?」


レイ「…………………」
ミケを見上げて、こう言った















レイ「聖書グリモアを取りに行く」
二人「…!」

二人は、更に驚いた表情になる。聖書グリモアのことを知ってると同時に、その聖書を取りに行った者は、還らぬ者となることも知っている二人。レイももちろん、その事は知っている


ミケ「お前さん…正気か…?」
レイ「うん…当たり前だよ」

先程までの、現実を受け止められなかった顔をしていない、覚悟を決めた顔をしている


アリア「で…でも!聖書グリモアがある神殿に行った人は、みんな死んじゃってるんだよ!?自ら死ににいくようなものだよ!」
心配した表情で、レイの前に立って話すアリア。こんな小さな子供を、見殺しにするわけにはいかない……そういう思いだろう。


レイ「…ボクのことも、約束も…何も覚えていない……青を無くした、鋼色の空……こんな世界………
























死んでるのと同じだ!!」


アリア「…!」


ミケが、アリアの肩に手を置く
ミケ「やめておけ…この少年に、何を言っても無駄じゃ…」
アリア「でも、それじゃあ…!」

ミケ「…死んでしまう……じゃがそれは、全部自分のために動いておった者だけかもしれんぞ?」

アリア「え…」

ミケ「この少年と、あのシグナというお嬢さん……どんな関係かは詳しく知らんが、相当信頼し合って、絆を深めとると思わんか?それに、この少年の目……『誰かのために』という想いが強く込められておる…………そういう目に見えんか?」

アリア「…」
ミケが、アリアの隣からレイの前まで歩き

ミケ「行ってこい、少年。きっとお嬢さんも、お前さんがやってくれることを待っておるはずじゃ…」


レイ「…!」
一度頷くと、ミケの横まで歩きながらこう話す

レイ「必ず…シグナを取り戻すよ…!」
そう言ってレイは、宿屋から出て……走り続ける








シグナ「さようなら……」








レイ「絶対に、さようならなんかさせない…っ!必ず、連れ戻してやるからな!シグナ!!」













つづく
15/02/23 16:00更新 / 青猫

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