レイ「…え……………」
ミケ「…」
その言葉が、直ぐに受け入れられない……いや、受け入れられなかった……
レイ「え……どういう……こと…?」
ミケ「……そのままの意味じゃ…記憶を失う……つまり、自分のことも、何もかもを忘れる……もちろん、お前さんと過ごしてきた時間も…」
うつ向いた状態で、話し続ける……レイは、ミケに近づいて…
レイ「…治してよ……」
ミケ「………」
レイ「…ねぇ…治してよ……治してよ…っ…!」
アリア「レイ君……」
少し戸惑うが、レイを止めようとするアリア。そのアリアの方を向く
レイ「このおじいさんは、治せない物は無いんだろ…!傷も治せたんだ…なら、記憶を失わないようにすることくらいできるんだろ…ねぇ…!!」
アリア「……………ごめん…なさい………」
うつ向いて、レイに謝る
レイ「何で謝るんだよ!!何でも治せることは、間違ってないんだろ!?」
アリア「………」
レイ「「おじいさんは凄腕だから、大丈夫」って言ったのは、お前だぞ!!」
アリアは、静かに涙を流した……レイが責めてることではなく、この現実を受け入れないためにこんなことをしていることに…
ミケ「…少年……ここからどうするかは、少年が決めることじゃ…」
レイ「………」
その言葉を聞いて、責めるのをやめた………
シグナ「……………」
部屋に入ったレイは、シグナを起動させた………シグナの表情は、前みたいに感情があるような表情ではなく……空っぽで……まさしくアンドロイドというような表情をしていた……
レイ「…シグナ………ボクがわかる…?」
シグナ「………」
その空っぽの表情で、レイを見るシグナ。すると、口を開き
シグナ「…あなたは…誰ですか…?シグナとは…私のことでしょうか……?」
レイ「………本当に…忘れちゃったの…?」
シグナ「…忘れた…?………あなたは、私の知り合いですか…?」
レイは、シグナの肩を掴み
レイ「忘れたの…!?レイだよ…!一緒に施設から抜け出したじゃないか…一緒に過ごして、ボクが倒れたとき、町の医者まで運んでくれただろ…!?それに…約束だってしたじゃないか…っ!」
シグナの肩を揺らしながら、泣きそうな顔で話す。シグナは、まだ空っぽの表情のままだ
シグナ「…すみません、わかりません……それに………
約束って、何ですか…?」
レイ「…………」
レイは、シグナの肩から手を放し…涙を流した…
レイ「………」
ベッドの上に座り、シグナと過ごしてきたことを思い出していた
……ボクの面倒、よく見てくれたよね……こんな体で、よく体調崩すし……それでも、ずっと一緒にいてくれたよね…
逃げてる最中、倒れて……町まで運んでくれた…そこで……シグナは、人間っぽく見えたなぁ……
何故か、シグナは「人間になりたい」って言ってたよね……ん…?そもそも、何でそんな話に…?
あぁ…ボクが本を読んでって言ったんだっけ…
レイ「何の本?」
シグナ「聖書グリモアの本ですよ」
……っ!!
レイ「…聖書…グリモア……!」
つづく
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