鴉になってしまった私の影に包まれて、姿が変わった私。
力が溢れ出る感覚の他に、私の今の状態についての情報、私の影から出来た鴉、あの結晶のこと。そして…目の前にいる天使達の"弱点"が、頭の中に流れ込んできた。
あの結晶は「思念石」と呼ばれる物……思念石を所持している物の一番強い思念が極限まで達した時、所有者に適合する。恐らく私の「自分がどうなってもいい、皆を護れる力が欲しい」という思念に反応した…そう、【不屈】の思念に。
あの鴉は「黒影」、適合者のイメージ、若しくは強く関係している物に姿を変える。私は鴉天狗だから、鴉になったのだろう…。
そして、今の私の状態のことを「黒装」と呼ぶ。適合するきっかけとなった思念を強く持ち、黒影と一体化した姿のことだ。まだこれくらいのことしかわからないが、底知れない力を感じる…。
そして…奴等の弱点。
よく見ると奴等の体に、思念石に似た結晶がついてる。あれが弱点だ……あれさえ壊せば…!!
文は右手に力を集め、一番近くにいる天使の結晶を掴む。
文「…!!」
天使が抵抗する暇も与えず、結晶に圧力をかけて砕く。結晶が砕かれた天使は、その場に倒れて消滅してしまう。
やっぱり、この結晶を破壊すれば消滅する!
コイツ等の弱点もわかった…これなら…これならいける!!
「All-out Attack…!!」
武器を持たない天使…上位天使が、他の天使達に指示を出す。指示を出された天使達は文に銃口を向け、一斉に発砲する。文目掛けて複数の弾幕が飛んできて、砂煙があがる……。
天使達の銃の弾が無くなり、弾が装填されるのを待ちながら砂煙の中にいる文をじっと見ている…。
砂煙が晴れた時…
「……!!」
そこには、黒く大きな翼に包まれた文の姿があった。先程の弾幕は文に命中しておらず、全て翼で防いでいた…。
翼を広げ、翼から黒い羽を複数放つ。前方の天使達に命中し、羽が黒い炎に変わり全身を燃やし始める。体にある結晶に炎が移るのに、時間はかからなかった。
「Attack…!!」
再び天使達が銃を向け、引き金を引く。だが……弾幕が出ない。何度も引くが、「カチッ」という音が鳴るだけ…
文「…どうやら、弾切れのようですね。」
再び翼を広げて、空へ舞い上がる。
文「当然です、そんな高火力の弾幕を何発撃ったことか…!」
文の右手に影が集まり、1枚のカードになる。
文「黒符【天狗道の開風】!!」
天使達目掛けて、黒い竜巻を放つ。その竜巻は、本来ののスペルカードの竜巻を遥かに超える大きさ、触れた物全てを切り裂く程の威力だった。
当然、天使達は逃げる間もなく竜巻に飲まれる。全身を絶え間なく切り裂かれていき、結晶が壊されるのに、時間はかからなかった。
竜巻が止んだ時、天使達の姿は無かった。恐らく、消滅したのだろう…だが…
「…Dan…ger……」
上位天使が生き残っていた。身体中、先程の竜巻で斬られた時にできた怪我があり、頭にある結晶もほとんど壊れていた。
上位天使がこちらを涙目で睨む中、文は地上へ降り立ち天使にゆっくりと近づいていく。
文「…まだ、やりますか?」
そう言うと文は、右手を前にかざして黒炎を集めていく…。
「…!!!」
それを見た上位天使は青ざめた顔になり、文目掛けて光を放つ。ダメージはないが、前が見えない…。
文「………。」
光が消えた頃には、天使の姿が無かった。恐らく、逃げたのだろう…。
もう周りに天使がいないことを確認すると、黒装化を解いて、文の体から出た黒影は文の影に戻る。
文は近くの
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