ヴァイス達は今、とある街に来ていた。
リンネ「ようやく着いたな!ここまで来るの、長かったぞ!」
晴天の空にある太陽に照らされた、その街に入って、軽く背伸びしながら笑顔でそう言う。隣にいるヴァイスは表情を替えずに
ヴァイス「まずは、宿の確保か…」
リンネ「ヴァイス!腹が減ったぞ!あれ食べたい、今流行りの"たぴおかみるくてぃー"!」
ヴァイス「あれは飲み物だろう。宿が先だ…」
駄々をこねるリンネを適当になだめ…というより、そこまで相手にせず宿探しをする。リンネは渋々ヴァイスについていく。
宿屋に着き、部屋の手続きを済ませる。
宿屋「お二人さん、随分若いねぇ?もしかして、兄妹かい?」
宿屋の店主が、ヴァイスとリンネを交互に見合ってそう尋ねる。
ヴァイス「…まぁ、そんなところだ。」
宿屋「へぇ、いいねぇ!兄妹で旅行!けど、気を付けた方がいいよ?」
ヴァイス「…何をだ?」
宿屋が少しヴァイスに近づき、少し声を小さくして伝える
宿屋「ここの近くに、廃墟になった町があるんだけどね、そこを通った人はみんな行方不明になってるんだよ。噂じゃああそこに、殺人鬼がいるって話だよ。あくまで噂だけど…まぁ、あそこはいつも霧で覆われてるから、いてもおかしくはないと思うけどねぇ…」
ヴァイス「…ほう。」
リンネはその話を聞いて、真剣な顔になる。恐らく、その殺人鬼の話で何か気づいたことがあるのだろう。恐らく、ヴァイスもそれに気づいている。
ヴァイス「…助かる。気を付けるようにするよ…」
二人とも部屋に向かい、荷物をベッドの近くに置く。
リンネ「…ヴァイス。」
ヴァイス「あぁ…殺人鬼だけ聞けば、ただの狂った人間だと思うな。だが…」
"あそこはいつも霧で覆われてるから"
ヴァイス「この辺は至って普通の天候…霧なんかできるはずもない。そんな近くの場所が、いつも霧で覆われてるのはおかしい……恐らく、悪魔か契約者の仕業だろう。」
リンネ「ということは、その殺人鬼も悪魔か、契約者になるな……」
ヴァイス「可能性は高い。その殺人鬼が霧を出しているか、若しくは二人で行動しているか……二人の場合、厄介だな…」
ヴァイスは鞄から拳銃を取り出し、手入れを始める。
ヴァイス「明日の早朝に、その町へ向かう。今のうちに、そのタピオカとやらを飲みに行ってこい。」
リンネ「タピオカミルクティーだ!」
ヴァイス「なんでもいいだろう……」
気が付くと俺は、燃えている町の中にいた。どこを見ても、炎の海に包まれている。
崩れ落ちる家、上がる黒い煙、炎に身を包まれ、最期の力を振り絞り…助けを求める人々…。
こちらに助けを求め、手を伸ばす人が視界に映る。どこかで見たことあるような…燃えていて、よくわからない。
俺は助けようとした…だが、体が動かない。
体が鉛のように動かない……目線も低い…俺は、倒れているのか…?
地面が冷たい…液体……?いや、血か…?これは…俺の血か……?
様々な音が混ざる中、足音が聞こえる…しかも、こちらに近づいてきている…
そして、俺の目の前で止まった……俺の視界に誰かの足が見え、その人物を見上げる…
………ぼやけてて、よくわからない……だが、何故だろうか…何かが、込み上げてくる…。なんだ?まるで爆発しそうな、この感情は……?
…怒りか?…いや、違う……だが、なんだ…コイツを見ていると、どんどん"ソレ"が強くなる……
…あぁ……わかったぞ………
俺は…コイツを………
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