【自分】









ヴィネ「…………」
機関内の廊下の窓から、ぼーっと空を見ているヴィネ。でもどこか、何かをずっと考えてるような表情に見える……
ロクドウ「どうした、ヴィネ。何か考え事か?」
近くを通りかかったロクドウが、ヴィネに話しかける。話しかけられると、ロクドウの方を向き
ヴィネ「うん、ちょっと気になることがあってね………」
ロクドウ「気になること?」
ロクドウはヴィネの隣に歩み寄り
ヴィネ「…ここ最近、遭遇した悪魔のほとんどが…私のことを知ってるみたいなんだよね…」
ロクドウ「それはそうだろう、機関にいる悪魔の情報は奴等にも出回っているだろうな。」
ヴィネ「ううん、そういうのじゃなくってさ……」
少し俯きながら、否定する。
ヴィネ「私を見るなり怯える悪魔もいれば、私の特徴を口にして急に怯え出す悪魔が多くて……」
ロクドウ「………」
ヴィネ「イルゼは気のせいとか、誰かと間違えるって言うけど……本当にそうなのかな。私と似てる悪魔がいないか、調べてみたけど……そんなのいなかったし……」
ヴィネはこれまで、この機関にある悪魔の資料を読みあさっていた。討伐対象の悪魔から、討伐完了した悪魔の資料まで……だが、ヴィネと似ている悪魔なんて、いない。

ヴィネ「もしかしたら、私の過去と何か関係があるのかも…そう思っててね……」
ロクドウ「過去……か。」
窓から空を見上げながら、そう呟く。少し間をあけて、再び口を開き
ロクドウ「今は、そこまで気にしなくてもいいんじゃないか?」
ヴィネ「え?」
ロクドウの方を向く。

ロクドウ「今、焦って過去を知ろうとしても、手がかり一つない状態では何かわかるわけでもない…なら、気にせず記憶を戻る日を待ってみたらどうだ?」
ヴィネ「うん…けど、仮にやばい過去だったら…?」
ロクドウ「その時はその時だ。それに、いい過去かもしれんぞ?何にせよ、出たとこ勝負…といったところだろ。」
ヴィネ「そっか……」
それを聞くと、クスッと笑うヴィネ
ロクドウ「どうした?」
ヴィネ「ん?いや…ロクドウがそう言う事言うイメージじゃあないなぁって思ってね。」
ロクドウ「そうか?俺はこう言うことは、よく言うぞ。今度弟達に聞いてみるといい、余計なことまで言いそうだが……」
苦笑いしながらそう答える。ヴィネはその顔を見て、笑みを浮かべた。

ロクドウ「そろそろ昼だな。どうだ、一緒に食堂に行かないか?」
ヴィネ「うん、いいよ。」
にこりと笑って、ロクドウの隣に行き一緒に食堂へ向かう。

ロクドウ「………」
とは言ったものの、俺もヴィネの素性は気になる……。いろいろと不自然な点がある。恐らく、最近機関に入ったばかりだ…なのに何故、いきなりレートがS2に?それに、核を使おうともしない…悪魔だから身体能力は高いが、それにしてはやけに戦い慣れてるように見える…本当に、S2か…?気づかれないように、調べてみるか……

ヴィネ「…あ、あれエンジュちゃんじゃない?」
ロクドウ「ん?どこだ?」
ヴィネ「ほら、あの廊下の曲がり角から少し見える…」
ヴィネが廊下の曲がり角を指差す。エンジュの後ろ姿が見える。

ロクドウ「本当だな…何してるんだ?あそこで…」
2人がエンジュに近づく。
ロクドウ「エンジュ、そこで何を…」
曲がり角を曲がって、エンジュに声をかける…だが、エンジュの目の前に誰かがいることに気づく。
身長は恐らくシズマと同じくらい、長髪の気が弱そうな少年だ。
その少年がこちらに気づくと

「あ、あの、返事は今度でいいから…それじゃあ!」
と、足早に去って行った。

ヴィネ「
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まろやか投稿小説 Ver1.53c