椿「ここって……」
扉を開け、その先に待っていた物は……真っ白な空間。そう、まるで椿がいつも夢の中にいる空間のような……いや、恐らく夢の中の空間と同じ空間であろう。
椿「どこなの…?夢の中と同じ場所なの?じゃあ、私がいつも見てた夢って……?」
見覚えのある空間を前にして、考えた。夢と一緒の空間なのか?それとも別なのか?もし同じ空間だとすれば、なぜ夢でこの空間に?考えれば考えるほど、謎は増えていく…
考えて答えを出す前に…あの黒い点が現れ、広がっていく…
椿「黒い点……もしかして、また何かの映像が…?」
呟いた直後に、映像が流れ始めた……
これは、幻想郷ができる前の映像。古そうな建物ばかりで、住民も着物のようなものを着ている。この映像で流れている光景は、いつ頃のだろう……?
ある家に視点が移る……正確には、屋根に。屋根の上に、銀髪の髪と、黒い耳と尻尾の犬の妖怪がいる……いや、妖怪とは何かが違う…
どことなく、椿に似ている……何者なのだろうか?何故屋根の上にいるのだろうか?
子供「お母さーん、あの屋根の上に乗ってるの何〜?」
母親「ん?あぁ…狗神よ。憑いた家に幸福をもたらす…要は、幸せにしてくれるのよ。」
子供「へぇ〜!いいなぁ…うちにも来ないかなぁ…」
狗神「……」
その会話が聞こえたのか、その親子を横目で睨む。だが、すぐに前を見た。
人々には、狗神はいい憑き物と思われているが……実際は違う。確かに幸福はもたらすが…それはほんの一時のみ…憑いた家の住民を皆殺しにする…恐ろしい霊なのだ
ふと、昔の記憶が一瞬脳裏を過ぎった。自分が幼い頃の、ある記憶が……
狗神「……クソッ…」
決して、いい記憶ではなかった…
なにやら、下から視線を感じる。何気なく下を見てみた……
そこには、小さな女の子がいてこちらを見上げていた。最初の夢で見た…あの燃えてる家の前にいた子だ。
狗神「あのガキは確か…この家の…」
今現在憑いている家の子供。この子供の名前は「霊華」、まだ幼い子供だ……
霊華は、じーっとこちらを見ている。こんなことは、子供によくあること。少し珍しいものがあれば、特になにも考えずじーっと見続ける……狗神はそう思って、その子を見るのをやめた。
どうせ、もうすぐ無くなる命だ。いちいち気にしてられない。
映像が変わる。そこには、先ほどまであった家が燃えている……家の前には狗神と、霊華がいた。
狗神「……」
霊華「…?」
霊華は燃えてる家から、狗神へと視線を変える。狗神は霊華の方を向く……狗神の目は、獲物を狩るような目をしていた。持っていた刀を振り上げ、その子目掛けて振り下ろした。
だが、途中で手が止まる。その子はまだ不思議そうにこちらを見ていた。狗神の目は、いつもの目に戻っていた……
狗神「………チッ」
刀を鞘に収め、その場から離れる。
何故殺すのを止めたのか…映像を見ている椿にはわからない。相手が子供だったから?でも、それなら子供だけ残すのはおかしい…一思いに親のところへ逝かせた方がいいはず……
また映像が切り替わる。先ほどの映像は夜だったが、昼の映像になる。狗神が歩いている……その後ろから、霊華が付いて行ってる。
狗神「……………」
狗神は気づいているようだ。立ち止まって、霊華の方を見る。
狗神「…おい、ガキ。お前…親戚とかいないのか?」
霊華「……」
霊華は黙って小首を傾げてる。あの家は、親戚
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