天使となったカムイから逃げてきたノノ達。
街の近くの森に入り、木にもたれて座っていた。
ベル「………」
ベルはノノを見上げた。ノノは泣いていた……無理もない、ずっと味方でいてくれたカムイが、天使になって自分達を襲ったのだ。……もうあの優しいカムイは、戻ってこないと、そう思ってるかもしれない……
……このようなことが、前にもあった…
1年前
ノノはある施設に入っていた。身寄りのない子供達が集められた施設……これだけ聞けば、孤児院か何かと思われるが、実際は違う。子供達を実験材料にして、生物兵器を創る施設なのだ。
だが、当時のノノは……いや、そこの子供達はそんなことは知らない。ただ「病気を治すためにしてる」としか、聞かされていない。一部はそんなことはないと気づいていたが……病気になんかなっていないのに。
ノノ「……」
大きな水槽の前にあるソファーに座って、ぼーっとしているノノ。特に何か考えているわけでもなく、ただぼーっとしている。
「レイ、体調があまり優れていない状態で出歩くのはよくありませんよ。」
レイ「うるさい、ポンコツ。どうしようがボクの勝手だ。」
シグナ「ポンコツではありません、シグナです。」
目の前を赤髪の少年と水色の髪のアンドロイドが通り過ぎた。この施設には、世話役並びに監視役のアンドロイドが、子供達に一体ずつついている。当然、ノノにも
「ノノ、こんなところにいたのかい?」
ノノは声がした方向を向いた。
ノノ「あ、ビット!」
そのアンドロイドに笑顔で近づく。ビットも笑顔だ。
ちなみに、ビットは男性型アンドロイドで他のアンドロイドよりは少し表情豊かである。ノノが笑顔で近づくところを見る限り、ビットのことを信用している、
ビット「そろそろお部屋に戻ろっか?」
ノノ「うん!」
部屋に戻ってきて数分後、扉が開く。そこには、見慣れた少年とアンドロイドが
ノノ「あ、アレックスお兄ちゃん!」
アレックス「よぉ、ノノ!元気してるか〜?」
アレックスは、ノノの兄貴分のような存在。
アレックス「いや〜、さっきレイの奴に追い返されちまってよ〜」
ノノ「レイ?」
アレックス「あぁ、お前と歳が近くて、赤髪の少年だよ。水色の髪の女アンドロイドと一緒にいる…」
その特徴が当てはまる人物を思い出すノノ
ノノ「さっき見たよ、水槽のところで」
アレックス「ホントか、どうだった?レイを見て」
ノノ「ん〜………」
特に気にして見てなかったため、これといった感想もない。だが、彼の言動を思い出す。
ノノ「ポンコツって言ってた、アンドロイドのこと」
アレックス「ホントか!ったくあいつは、シグナさんはいい人だろ……いや、人ではないけど」
アンドロイド「アレックス、そろそろ……」
アレックス「おぉ、もうそんな時間か!じゃあな、ノノ!また遊びに来るぜ!」
ノノ「うん、またねー!」
最悪な施設だが、いい人たちに囲まれてノノは幸せに暮らしていた。
あの日までは……
つづく
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