カムイが出掛けてから、半日が経っていた。すぐに終わる依頼だから、早く戻ると言っていたが……
部屋の隅で座って、カムイの帰りを待っているノノ。ベルが左手の袖から顔を出す。
ベル「遅いな、カムイ殿………」
ノノ「…………」
暗い顔で、少し落ち込んでいる様子。重たい…口
を開いた。
ノノ「…捨てられたのかな……私…」
ベルはノノの方を向いた。
ベル「そんなことはない、カムイ殿は優しい人間だ。悪魔である我がいるとわかっていても、ここまで世話きをしてくれたのだぞ?」
ノノ「…でも…覚えてないけど、私のパパとママも私を捨てたんじゃ…」
ベル「…君と我が同じ体に宿る前のことはわからないが、きっと違うと思うぞ。君のように、優しくて人想いな子が産まれてきたのだ、両親もいい人間に違いない」
ノノ「そうかな…」
ベル「あぁ、そうに違いない。」
それを聞くと、先程よりは少し明るい顔になり「ありがとう」とお礼を言った。するとベルが、何かに気づいたように外を見る。
ノノ「どうしたの…?」
ベル「……天使の気配がする。真っ直ぐこちらに向かってきている。」
ノノ「え…!?」
ベルは驚いてるノノを見る。
ベル「まだ遠い、向こうに気づかれてるなら戦闘は避けられない。昨日戦闘した天使かもしれない……町から離れた方がいいだろう」
ノノ「う…うん!」
かけてある上着を取り、外に出て家の鍵を閉めて町の外に向けて走る。
町外れまでやって来たノノ達。ベルは天使のいる方角を見ており、ノノもその方角を見た。ベルは指を刃に変えて、いつでも戦えるように構える。
ベル「…もうすぐだ……もうすぐで姿を現す…」
ノノ「うん…」
足音が聞こえてくる、普通に歩いているような足音だ……
その足音がどんどん近くなり、その足音の主がノノ達の前に姿を現した。
ノノ「…!?」
ノノとベルは、その天使を見て驚いた………
ノノ「カムイ…!?」
そう、目の前にいるのはカムイだ……朝、依頼主の元へ出掛けたはずの……
ベル「どういうことだ…何故カムイ殿が天使に……」
ノノ「え、えっと…どうしたの?お仕事は…?」
カムイ「…………」
語りかけても、なにも返事をしない。だが、少し経つと口を開く。
カムイ「何故だ、何故左手だけ悪魔がいる」
ノノ「え……な、何言ってるの…ベルがいることは、知ってるでしょ…?」
カムイの声は変わらないが…天使らしく、感情のない話し方だ。顔だって、人間らしさがない。何も感じ取れないような顔だ……
カムイ「この情報を聞いて、少し疑ったが……まさか、本当とはな。」
ベル「……」
カムイ「まぁいい、ここで始末する。」
天使が持っている剣が現れ、刃をこちらに向けている。
ノノ「嘘……だよね………!?」
ノノの問いかけに耳を貸さず、カムイは襲いかかる。やはり剣から光が現れ、飛んでくる。ベルはその攻撃を刃で防いでいる。
ベル「…っ!」
一体どういうことだ……以前から天使の気配は、カムイ殿になかったはず………いや、今はこのことを考えてる場合ではない。前戦った天使に比べれば、大したことはないが……
ベルはノノを見る。いまだにこの状況を理解できてない……いや、したくないという顔だ。
ともかく、逃げる必要があるな…!
ベルは相手の攻撃の隙を見て、強く攻撃して怯ませる。
カムイ「……」
ベル「逃げろ、ノノ!!」
ノノ「え…」
ベル「走れ!!」
ノノはベルの言うとおり、その場から逃げ出す。カムイは、それを見てるだけで追うことはしない。
カムイ「……奴等を倒すには、まだ実力不足か。
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想