……………
………………………
…あれ………ここって…
気がつくと、辺り一面真っ白な空間にいた…そう、前に来たことがある場所だ。
椿はゆっくりと半身を起こして、周りを見た。
…夢…なのかな……?前も見たけど…今日も同じ夢を見るなんて、変だよね……?
前、この夢を見たことを思い出す。ここには静音も紅葉もいない、椿だけがいる空間だ………
そういえば、前に…目の前から変な映像が現れたんだっけ……じゃあ今回も、出てくるのかな?
そう呟くと、前と同様に目の前の白い空間から、黒い何かが広がっていく…その黒いのから、映像が流れる。その映像は、空が広がっていて視界の下側に黒かった。
空…?やけに遠く感じる…何か小さい物の視点なのかな?この黒いのは…箱?箱の中にいるの…?
その小さな何かは、空をボーッと眺めているだけだ。空には多少雲があるだけで、曇ってはいない。晴れていて、明るい空だ。
だが、その空…というより、周りが黒くなる。影がかかったような…誰かが来たのだろうか?その小さな何かは、その方向を見た。
…!
その小さな何かが見たものを見た椿は、驚いた。が、すぐにそれを睨んだ…
幽香…!!
そこにいたのは、昨日椿を襲った妖怪「風見幽香」がいた。幽香は日傘を差して、こちらをじっと見ている。
幽香「お嬢さん、どうしたの?こんなところで」
と、幽香は恐ろしい笑みを浮かべてそれに話しかけた。
怖…!
椿は普通にビビってます。
幽香は、その何かを両手で抱き上げた。
幽香「…流石に、ほっとくわけにはいかないわね……仕方ない…」
幽香はそれを抱いて、近くの家に向かった。恐らく幽香の家だろう。
少し映像は飛び、目の前に幽香が見えた。視点が少し高い…恐らく抱き上げてるのだろう。
でも、なんであの妖怪が…?この間の夢も変だったけど…
幽香「私が育てていくなら、名前が必要よね……花の名前がいいかしら?」
その何かに名前をつけようとしている幽香。少し考えながら呟いた。
幽香「バラは…変ね。スミレ…も違うし…………」
花の名前を口にするが、ピンと来るものがない様子。だが、何か思い付いたような顔をした。
幽香「決めたわ……今日からあなたの名前は
椿よ。」
…!!!!
椿は勢いよく体を起こした。朝日がカーテンの隙間から差し込んでいる………時計は、7時を指していた。
椿「なに…今の……!」
信じられないような夢だ。自分を襲った妖怪が…自分の名前をつけたことを。恐らく、自分を育てたのも幽香……本当に椿のことを知ってて、連れ戻そうとしていたのかもしれない…だが、今の椿にはそんなことを考える余裕は無かった。
10分程経って落ち着いたのか、着替えてリビングへ向かった。静音はもう起きていて、朝食の準備をしていた。
椿「おはよ、静音…」
静音「おはよう、椿…あら?元気ないわね?眠れなかったの?」
椿「ううん…ちょっと変な夢を……あれ…?」
周りを見て、紅葉がいないことに気づく。
椿「静音、紅葉は?」
静音「紅葉は…確かジョギングに行くって昨日言ってたわね。いつ出掛けたかはわからないけど…」
昨日のことを思い出すように静音は答えた。椿は、何か嫌な予感がした……はっきりとはわからないが、何故かそういう気分に…
椿「紅葉を探してくる…!」
静音「え?…ちょっと、椿?」
静音の話を聞かずに、そのまま外へ出ていってしまった…
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