傷を負ったが、騎士を倒したミミは自分のアジトへと戻ってきていた。もうとっくに帰ってきていたクライヴとイリアは、いつものように出迎えてくれた……が、ミミが負った傷を見ると、明るい表情じゃあなくなる
クライヴ「ミミ…どうしたんだよそれ?あの騎士にやられたのか?」
ミミ「大した怪我じゃないよ。その騎士は倒してきたし……」
ミミは片手でその傷を塞いだ。イリアは「ちょっと見せて」と言ってミミの手をどけて傷を見る
ミミ「いいって、本当に大した怪我じゃないんだから。それより、早く届けに行こうよ。」
クライヴ「でも治療しないとダメだ。それに、町の人達もその怪我を見たら心配するぞ?」
ミミ「………」
町の人のことになると、黙ってしまう。イリアはミミの傷を治療する。
イリア「とりあえず、届けるのは治療が済んでから。早く届けたいのはわかるけど」
ミミ「…わかったよ」
ミミは二人の言う通り、治療してから届けることにした。その間、「大丈夫かな…町の人達。食料やお金尽きてないかな…」と、町の人の心配ばかりしていた。
ミミ「そういえば、食料はどうする?流石にあたしの怪我が治るまで届けなかったら傷むよ?」
クライヴ「そうだなぁ……じゃあ、食料だけ運んどくわ。」
クライヴが食料の入った袋を持って、二人を見る。
クライヴ「イリアはミミと一緒に居てくれ、すぐ戻るから」
イリア「うん、わかった。」
イリアが頷いたのを見れば「じゃ、いってくるぜ」と言って、クライヴは出ていった。
ミミ「………………」
椅子に座ってボーッとしているミミ。ボーッとしているように見えるが、頭の中ではあの町の人達のことを考えていた。
みんなが幸せそうな顔をしていて、活気溢れる町並みを想像していた……その後、かつての自分のことも思い出す。その町のことと、過去の自分を重ねたのかもしれない。
「私も、お姉ちゃんみたいになりたい!」
あの時子供が言った言葉を思い出す。
ミミ「…そういえば、あたしも似たようなこと…言ってたっけ……」
あの子が、かつての自分のように思えた。その子供にとって自分は、目標にしている人……過去の自分が、目標にしていた人と同じ……
ミミ「…あの人みたいに、なれたかな……あの子には……私と同じ目にはあってほしくないな……」
前を向くと、人が。光の影でよく見えないが、自分が目標にしていた人に見えた
ミミ「…!」
イリア「どうしたの?ミミ」
その声で、目標にしていた人に見えた物がイリアに変わった。ミミは我に帰り
ミミ「…ちょっと、昔のことをね」
イリア「…そっか」
イリアが、隣の椅子に座る。ミミと同じ、前を見る
イリア「…もうすぐだね、あの町…」
ミミ「うん……」
二人で遠くを見ていた………すると、入り口から足音が聞こえる。その方向を向くと、クライヴがいた。少し息を切らしている
ミミ「おかえり、クライヴ…どしたの?」
クライヴ「実はな…帰ってる途中、いい情報が入ってな!とんでもない金持ちがいる町を教えてもらった!」
イリア「とんでもない金持ち…?」
それを聞いたミミは、明るい顔をして立ち上がる
ミミ「次の標的はそこだね!そこで大量に盗めれば、活気ある町になる!」
イリア「その前に、このお宝渡さないとね?」
ミミ「あ、そうだった」
その様子を見れば、二人は笑った
もうすぐだ…もうあの町の人達が苦しい生活をしなくて済む!
つづく
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