「どうしよう、葵…私死んじゃうかも…」
不安そうに言う紫苑ちゃん。
「大丈夫、きっと大丈夫だから…!!」
根拠のない言葉だが、紫苑ちゃんは私の言葉を聞き少し安心した様で、椅子へと歩き出した。
そして
ガチャ
3人は固定された。
「それではゲームスタートです。」
今回のゲームはどうなるのか予想がつかない。
野々村さんは、クラスのみんなと距離を置いている。いつも一人で本を読んでいたり、勉強していたり…。
特定の人と仲良くしているところなんて誰も見たことがない。だから、紫苑ちゃんが助かるのか助からないのかそれすら分からない…
カチッ
ボタンが押された音がした。
そしてテレビ画面には
《2.溝口緋里》
という文字が映し出されていた。
「あら、溝口さんになっちゃったか。」
野々村さんはさらっと言った。
「別に、誰が死のうと私には関係ないから同時にボタンを押させてもらったわ。溝口さんは不運だった。たったそれだけのことね。」
野々村さんがそう言い終わると
ビリビリビリッ
「ギャァァァ…!!!」
緋里ちゃんの悲鳴が聞こえた。そして緋里ちゃんは長田くんの時と同じように倒れて動かなくなった。
一度人が死ぬのを見たからといって、そう簡単に慣れるものではない。クラスの中には泣きすぎて嘔吐する人も出てきた。
だけど、国際関係担当は表情ひとつ変えずに、緋里ちゃんを回収した。
ガラガラガラ
ドアが開く音がする。
緋里ちゃんもわたし達の前から居なくなるのか…
ダッダッダッダッ
後ろから足音。誰かが扉に向かって走っていった。
「どけぇぇぇ!俺はここから出るんだっ!家に帰るぞっ…!!」
そう言いながら、扉まで走っていったのは学級委員の岡本くんだった。
パンッ___
微かな火薬の匂いと乾いた音が教室に響きわたる。
バタッ_____
岡本くんは扉の一歩手前で紅い液体をダラダラとたらしながら倒れた。
そして…
いやぁァァァァ!!!
クラスから聞こえる悲鳴
オエッ___
血を見て嘔吐する子
ヒック…ヒッ…
襲いかかる恐怖に耐えられず泣き出す子
岡本くんの死はわたし達にとって恐怖を膨張する原因となってしまったのだ。
「いけませんね、ルールを守ってもらわなくては。今日は、もう遅いですしゲームは終わりです。夕飯は、後で届きますのでそれを食べてください。教室の後ろのスペースに簡易トイレとシャワー室がありますのでそれを使ってください。それでは、また明日。」
と言い残し、緋里ちゃんと岡本くんと共に教室を後にした。
みんな精神的ショックが多過ぎて、言葉を発するものはいない。
そして、なによりもショックだったのは明日も続くこと。このゲームは一体いつまで続くのだろう…
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