終わりの始まり〜

〜1side〜

 私の考えてることなんていつも同じ気がする。考えていることといえば、
『人なんてどうでもいい』

 これだけ。ただ単に、友達だの作るなんて面倒だしいらない。必要性も感じない。

 表の顔は控えめな中学1年生。裏の顔はすべての人間の事を信じてもいない
超冷酷少女。

 そう。私は”サイコパス”脳はあっても心はない。ただの人間…?よく分からない。

 いつも学校に行って、授業受けて、給食食べて、帰りの準備をして、帰る。これだけ。そう、今はそのスケジュールの途中、『帰る』の途中。学校の中。私は校舎の中を通って帰るのが嫌い。皆の声が聞こえてくる……男子だ。

「おい!あれを見ろ。IQ180の園城寺だ………」
「本当だ…。名前しか聞いたことなかったけど、実物を見るのは初めてだよ」

私は見せ物か。
どうやら世界でIQが200に近いのは天才らしい。というか、そんなのどうでもいい。頭がいいのがうらやましいなら、自分で努力しろ。
 まだ聞こえてくるみんなの声。今度は女子。

「莉夏、見てよ。玲ちゃんだよ!!」
「え!?真菜ちゃん本当!?写メ撮ろう!」

 なぜ私を見るだけで写メ撮らなくちゃいけない?というか、みんなうるさい。「すごい」だの「珍しい」だとか、有名人みたいにがやがや言って、ハッキリ言うと………、

「ウザい………」

◆     ◆     ◆

やっと、校舎をぬけることができた。校舎の外に出てしまえばこちらのもの。
皆が絶対に通らない、秘密の抜け道を使えばいいから。

「………?」

ちょうど家の前まで来たとき、玄関の前に何かが置いてあるのに気付いた。

「リング…?」

 おいてあったのは土星のような形をした入れ物と手紙。
入れ物の中にはリングが入っている。

「意外と、きれいに出来てる」

リングは赤と黒をモチーフにしたどちらかというとクール系のリング。
後に分かることとなったけれど、これは、地獄の始まりだった。

「開けてみようかな?」

そんなことも知らずに私はこの時開けてしまった。地獄の始まり、普通の終わり。

〜2side〜

 僕はこの生活に不満を持ったことはない。ましてや、人がばかばかしいとも思っていない。

「零!サッカーやろうぜ!」
「うん。すぐ行くよ」

優しくて頼りになる友達もいる。時には助けてくれる、大切な友達。

「神崎君!これどうすればいいの?」
「えっと…それは2部コピーして、委員長に渡して!」
「わかった」

時に居は他人の存在も必要になる。クラスメートだからね。ボクは人をどうでもいいとは思ってない。もちろんね。

「零!速く!先に行っちゃうぞ!」
「あっ、まってよ!」

そんな僕にも、そんなことが考えられない日が来るなんて……思ってもみなかった。

◆     ◆     ◆

 ある日の事、家の前に何かが置いてあった。

「指輪…?じゃなくてリング?と、手紙かぁ」

 僕の家族はわけあって、ハワイにいる。つまりここに来た手紙は間違いなく僕のものという事になる。
 リングは緑とオレンジが混ざったどちらかといえば、フレッシュな感じのリングだ。すごくスポーツが好きな僕にとってはかっこよく思えるリングだ…。

「開けてみようかな」

僕は何のためらいもなくその入れ物を開けた。

「?」

僕は家の中に入った。後から分かったことだからこそこの時の自分に言いたかった。

―これは地獄の蓋だよ………と。
12/11/27 17:23更新 / 伊集院ゆり

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