「ゼオライト君て、いつも珍しそうに私の装備見てるよね」
「ああ、空飛んだこと無いからな」
「ふぅ、なるほどねぇ」
やはり、ソーマというのはアイオライトの住む世界でしか知られていないようだ。
ゼオライトの住む世界に持ち込めば高い値が付くであろう。
そしてそのソーマの中でもアイオライトの持つ飛行型はとても珍しいので、ゼオライトが珍しがるのも無理はない。
「何なら一緒に飛んであげるけど?実はこれ翼だけを出すこともできるの」
「一緒に飛ぶって、どうすんだよ?」
「私が抱いて飛ぶわ」
「でも、俺は重いぜ?」
「大丈夫よ、私、お父さんも軽々持ち上げたんだもん、ゼオライト君なんか余裕余裕大余裕!♪」
確かに、いい年したおっさんよりも青年の方が軽いだろう。
「それじゃ、外出てね、飛んであげるから」
「ああ。頼むぜ」
外に出ると、アイオライトはゼオライトを抱え持ち、ソーマの翼を広げ飛んだ。
「おお、すげぇ、飛んでるぜ」
「ふふ、こういう景色をいつも見てるんだよ♪ まあ、あんまり空をゆっくり散歩したことは無いんだけどね・・・」
学園の中を飛行する二人。ゼオライトはすっかりハイテンション。
「すげぇもんだな、俺も使ってみたいぜ」
「だめ〜♪」
「そりゃそーだよな」
下を見ると、先ほどまで立っていた地面にあった草や木が小さく見える。
「そろそろ降りてもいいぜ、疲れただろ」
「うん、それじゃ降りるね〜」
ゆっくりと地上に降りた。
「楽しかった?」
「ああ、楽しかったぜ」
「そう、またやってあげるね」
楽しい思い出。・・・けれど、いつ最期が訪れるか分からない。きちんと記憶しておこう。
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